アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

忌み言葉がある文化もいい

2024年12月13日 | Weblog
 ロッカーの利用の時など、「42番」は「死に」だからやめておこう。「49番」も「四苦(しく)」だからやめておこう。「13番」は、「13階段への道」だからやめておこう…。ついつい縁起を担いでしまいます。なぬ?それらの番号をはじめから使わないところもあるよって?そ、そうですね。 
 その昔は、忌み番号は使わなかったですね。

 旅館の部屋にも、「4号室」「9号室」は、なかった。1号室、2号室、3号室、5号室…の順でした。5号室に泊まるときなど、「この部屋は本当は4号室なのだ~。嫌だなあ」と、思ったりしたものでした。

 今は、4も9も42も49も関係なく使っているところが多いかも。むしろ、「13」が嫌われる。「欧米かーッ!」(古いかーっ?)。

 結婚披露宴では、何度か挨拶をさせていただきました。挨拶原稿を作って、忌み言葉のチェックを入念にしたものでした。「分かれ」「別れ」「切る」「割る」「去る」…忌み言葉です。

「新郎の太郎さんは、幼い頃父親と別れましたが、頭がキレ、竹を割ったような性格です。去る3月末には、上司の転勤のお別れ会でビオラを演奏…」こういう挨拶は顰蹙モノ。もっとも、今は媒酌人を立てないこともさることながら、忌み言葉などなーんも関係ないですね。お祝いの金額も、「二つに割れないように…奇数額」だったのですが。

 忌み言葉に注意を払わなくてもいい社会は、気楽です。
 しかし、過剰に敏感になるのはよくないでしょうが、日本人として、忌み言葉は大切に感じていたい言葉です。

「あたりめ」「あたり鉢」「ありの実」…日本語の豊かさを物語っています。「なんだそれ?」って?

「するめ(イカを干したもの)」は、「擦る目(する:大金を賭け事で擦る)」と同じ音なので、忌み言葉。だったら、「する」ではなく縁起よく「あたり」にしよう。と、言うわけで、「するめ」の別の呼び方として、「あたりめ」という言葉が出来ました。

「あたり鉢」もまったく同じ成り立ちで、「すり鉢」のこと。
「ありの実」は、「梨」のこと。「なし」なら「無し」と、同じ音なので、忌み言葉。思い切って、「無しではなく、有りにしてしまおう」。と、いうわけで、梨の別称を、「ありの実」としました。

「人間は考える葦である」…「葦(あし)」は、「悪し(あし)」と同じ音。これじゃあ可哀想だ、「良し」にしてしまおう。こんなワケで、「葦」の別な呼び方として「よし(葭)」があります。

 櫛(くし:髪を梳く道具)も、「苦死(くし 9&4)」と、同じ音。そのため、落ちている櫛を拾うことは「苦死を拾う」わけですから、縁起が悪い。えっ?ホテルの櫛を持ってきたぁ?「苦死を持ち帰った」…そりゃあ、大変だワ。

 まだまだあります。日本人は、このようにして忌み言葉と仲良くしてきました。この文化、大切にしたいものですが…「ありの実」を理解する人…消えていくでしょうね。

 どうしても、櫛を拾いたい場合どうするかって?一度踏んづけてから拾えばOKなんだと!だけど、どうして「踏む」と、拾ってもいいのか?
「悪運を断ち切る儀式のようなもの説」が、有力のようです。