アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

大谷翔平さん談、「ワシは二刀流じゃ!」…ん?

2024年12月28日 | Weblog
 自分のことで恐縮ですが、我が家の子どもたちが小学生の頃までの私の一人称は…
「パパは、今朝78cmの鮭を釣ったよ」 
 一人称は「パパ」でした。

 子どもたちが、中高生ぐらいの時は…
「お父さんは今朝、港でクロガシラを釣ったよ」 
 一人称が「お父さん」に変わりました。

 そして、成人してからは…
「ワシは、山菜の王様はキトビロ(行者ニンニク)だと思うよ」
 一人称がワシ。ワシの期間は長かったです。
 現在は、「私」になっています。

 私の中年期の一人称、「ワシ」は、どこから来たのか?沢木耕太郎さんの影響ですね。
 沢木耕太郎さんが、自分のことを話すき、
「ワシは、キトビロよりタランボの芽が好きでござる」
 このようには、言うわけないですよね。

 沢木さんが「ワシ」について書いてあるのは…
 エッセー集「バーボンストリート」。その中に、「奇妙なワシ」という題のエッセーが入っています。

 バーボンの原料は穀物。ただし、トウモロコシを51%以上含まなければならない。アルコール度数は、62.5度(以下)なのだそうで。我が家に10年前に買ったジャックダニエル(バーボンウイスキー)がありますが、アルコール度数が高くて、なかなか減りません。

 閑話休題。「奇妙なワシ」では、スポーツ記者の手により、スポーツ選手の一人称が「オレ(ボク、ワタシ)」から「ワシ」に変わる過程が書かれています。

 名前が挙げられているスポーツ選手は、江夏豊、山本浩二、星野仙一、元横綱の輪島、初代の貴ノ花、元ボクサーの輪島。
「団塊世代、昭和22年~24年生まれ)」の方にとっては、懐かしい名前。この3年間の合計出生数は約806万人!

 どの顔も、「ワシは、キトビロと、ビールは10リットルたのむワ」「ワシは、タランボの芽の天ぷらと、日本酒2升ね」と、言いそう。
 しかし、実際は、彼らは自分のこと(一人称)を「ワシ」とは言わないのかも知れません。

 スポーツ記者が記事にするとき
「ボクは、ヒラメとバーボン2本」
 と、注文したとしても
 「ワシは、ヒラメと・・・」に変えてしまうというのです。

 スポーツ新聞に「清原が、ワシの打席で…と言った」と書かれたことがありました。元野球選手の清原和博さん、「自分のことを、ワシなどと言ったことはない」と、怒っていました。
 元野球選手の清原和博さんは、「ワシ」が似合いますけどね。

 沢木耕太郎は、(一人称で)「ワシ」というと…
「いかにも一匹狼の選手らしい。横綱らしい。その『らしさ』を装う道具が『ワシ』だ」
 と、書いています。沢木さんが書きたかったのは、ここですね。

 江夏が、「ここは、ボクが27球で抑えます」ではおかしい。「ここは、ワシが27球で抑える」
 これでこそ、江夏です。
「ワシ」は、「らしさ」を装う道具だったんだぁ!納得納得。

 となると、私が(家族内会話限定で)一人称を、「ワシ」と言ったのは、何か「らしさ」を装っていたのか?
 本当のところは、沢木さんの「威」をお借りして、時代劇のマネをしていただけなんですけどね。…武士らしさ…。