アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

野生の子ギツネ飼育は断念

2024年12月21日 | Weblog
 堆肥用コンポストの中から老夫婦が遺体で見つかるという事件(事故?)がありました。夫婦の死因は窒息。生ゴミを捨てに行った妻が、誤ってコンポストに頭から転落。助けに行った夫も頭から落ちて狭い場所で身動きできない状態になって窒息…。事件に巻き込まれての死や、事故死に、「いい死に方」も「悪い死に方」もありませんが…お気の毒すぎます…。

 農業をしていた当時は、我が家にもコンポストがありました。生ゴミを入れておくと、良質の堆肥ができました。難点は、ネズミが地下道を掘ってコンポストの底から進入し、生ゴミ食い放題…。我が家のコンポスト、蓋の蝶番(ちょうつがい)が壊れたので、蓋が飛ばされないように石を乗っけてあったのですが…地下からの侵入には無防備でしたね。

 地上からの侵入は、キツネ。キツネのコンポストへの侵入の様子を観察したのですが…。
 大人のキツネの場合は、重りの石を飛ばして蓋を開け、心ゆくまで生ゴミを食べます。そして、蓋を元に戻さず去る…どうしょーもない奴です。

 若いキツネは、蓋を開けるところまでは学習しています。が、コンポストの中に入り込むことについては、「(中が深いので)入ったら出られない」と、本能的に危険を察知するのか、中を覗くだけでおしまい。
 若いキツネは悔しいのですが、
「あの生ゴミは、まずいから食べないんだ!」
 と、捨て台詞を残して去ります。なぬ?「イソップ物語か」って?懐かしいでしょ!

 で、我が家のコンポスト、円筒の裾を広げた形状。直径(口径)およそ60センチメートル、高さは、70センチメートルほど。前述のように、蝶番が壊れた蓋がついている。

 そして先日・・・。外でガタガタと賑やかな音が…。しばらく止んで、またガタガタ。裏に住む90歳を超えるご婦人がなにやら始めたのか?このご婦人、救急車で運ばれた翌日、元気に畑仕事をしておりました…。ガタガタと音を立てるぐらいは、朝飯前?

 次の日、午前中で仕事を終えて帰宅したカミサン…緊張の面持ち…。
「あ、あの、昨日ガタガタと音がしたよね。今、家の周りを一回りしてみたら、コンポストの蓋が飛んでいて…。中を覗いたら…キツネがうずくまって…」
「ええ~っ!生きてるの?死んでるの?コンポストに入り込んで、もがいても出られずに一晩経ったんだから、死んでるねきっと」
「死体は、どこかに穴を掘って埋めようか?」
「市役所に連絡したら、引き取ってもらえないかなあ?『暮らし支援課キツネ係』とかあるんじゃないの。とりあえず、生死の確認してみるから」
 …私は外に出ました。

「うおぉ~っ!」と、大声を上げてしまいました。なんと、コンポストから、子ギツネが顔を出していたのです!死んでいるとばかり思っていたので、それはそれは驚きました。顔はだせても、身体は出られないでおりました。

 私は、子ギツネを逃がすために、スコップでコンポストを横倒しにしました。
 当然子ギツネは、自由の身になりまして…ヨタヨタと歩きましたがぁ…逃げない。子ギツネは社会経験が乏しいので、人間を怖いとは思っていない様子。
 私の顔をしげしげと見て、「遊ぼうよ」と…。目と目で会話しているうちに情が移って…一瞬ですが、「飼ってあげようかな」とさえ思いました。エキノコックスの心配があるので、飼えるはずもなく…。

 子ギツネにとって、命に係わる大変な経験だったわけでぇ…。私どもも、田舎暮らしながらぁ…「野生との距離が遠かった」ので、興奮させていただきました。
 思えば、同じ土地で暮らして居たという意味で、共生していたんだよねえ。
 なぬ?今時「野生動物との共生」などと言うと、秋田県知事さんから、野生動物のプレゼントがあるぞって?
「野生との共生」などという、おかしなことは言ってません。それに、秋田県知事さんを支持していますから、クマを宅配される心配もありません。