アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

尿の合間に空気砲!?

2020年08月21日 | Weblog
 「馬上(ばじょう)、枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)」…なんの話かって?「古人の言葉」ですね。外山滋比古さんの、「思考の整理学」にも出てきます。文章を作るときに知恵が出てくるのは、「馬の上」「寝床」「便所にいるとき」なんだと。
 古人の言葉に逆らいませんが、私個人としましては、「厠上(便所にいるとき)は、文章の知恵など出るはずがない」と、思っております。このたびの手術のあと、特にその思いを強くしましたねえ。
 「厠上」…鍵をかけた個室。だれにも邪魔されない時間と空間がある…はず。但しそれは、自宅トイレの話であって、公衆トイレじゃ、思考できません。いつドアをノックされるか、そればかりが気掛かり。ドアを壊して入ってくるオバチャンの恐怖!なぬ?「オバチャンは、男子トイレのドアを壊して侵入しないやろ」って?スペイン旅行の時に実際にあったんですがね。女子トイレが混んでいると、オバチャン達は男子トイレに侵入してくるのです。中から鍵をかけているのに、「ドンドンドンドン、ガチャガチャ」古いドアだったこともあり、蝶番が緩んで破壊寸前でしたよ。ドアを壊そうとしていたオバチャンの顔が見えました!まったく、傍若無人です。日本人女性ではなかったです。
 手術の時、尿道に管を挿入して膀胱まで入れました。意識が戻り、ICUに移されたのですが…膀胱へ管を入れているのですから膀胱には尿は溜まらない。つまり、尿意を感じるはずがない。それなのに、尿意を感じるのです。漏らしちゃいけないと堪える。もうだめだぁ!看護師を呼んで訴えました。
 反応は「???」。(←看護師は、「導尿しているのに、尿意があるというのは、この患者(私なんですけどね)の気のせいのはず」と、信じていた。
 「(ベッドに寝たまま)お、おしっこしちゃっていいの?」
 看護師の反応は…
 「オムツを貸しますから…(オムツ装着完了)。おしっこ、どうぞ…」。
 「(ベッド上で放尿後)少し漏れたね!」
 反応は、「??? い、いえ、漏れてない…ですよ」
 (ここで中略。中略部分は、次回書きます。中略をスキップして、以下にその先を)
 
 ICUを出た2日後の夜・・・。
 おしりから気体(メタンガス)が出るのが「オナラ」。これは人類誰しもが出る。
 ところが、私の場合、おしっこからも…空気砲がっ?膀胱に突っ込んだ管の不具合で、膀胱に空気が入ってしまったのでしょう。それが、放尿の度に「シュパ、シュパ」と、空気砲となって」排出された…!空気砲は2日続いて終わりましたがね。
 これだもの、厠上で文章を作る知恵なんてもん、出るはずがない。

ラジオにツッコミ?!ICUの看護師がぁ?

2020年08月20日 | Weblog
 手術室で、麻酔から覚め、ICUへ。我が人生、二度目のICU。
 一度目は、国際基督教大学(International Christian UniversityのICU)。娘の卒業式に参列したんですがね。「日本に、こんな素晴らしい大学があったのか!」と、感嘆しましたよ。巨木の桜並木の道がICUの正門へと続いている。キャンパス内に路線バスのバス停がある。
 約62万㎡(東京ディズニーランドより広大)のキャンパスは、起伏に富ませ、ビルほどの築山まである。桜も多種多様が咲き誇っている。秋篠宮家のお嬢様たちが行きたがるのも宜なるかな。娘に言わせると、「皇室に荒らされている…」。確かに、週刊誌ネタになっちゃあ、イメージダウン。小室くんの件…落ち着くといいのですがね。
 さてさて、集中治療室のICU( Intensive Care Unit)のほうなんですがね。麻酔から覚めて、まずびっくりさせられたのは、「ラジオの番組が、大音量で流されていた」こと。番組は、パーソナリティの男が、「若者のみ御用達の用語」を連発して「しゃべりまくる」もの…。ICUって、静かなのかと思い込んでおりました。まさか、祭りの笛太鼓も裸足で逃げ出す、訳の分からない日本語らしき言語が大音量で飛び交う場所だったとは!日本の大学病院のICUって、すべてこういうことになっているのか???
 ラジオの話の内容は、リスナーのリクエストに応えて、「パーソナリティがどうでもいいことをしゃべる」…。
 そんな中、私の右手動脈の点滴針からの反応がおかしいというアラームが鳴った。(動脈に点滴針を刺して、血圧等の情報を得るようになっています。静脈と間違えて書いたのではありません)やってきたのは、20歳代と思われる男性看護師。髪の色が、「ペールオレンジ…」。
 ペールオレンジくんは、点滴針を止めているテープを剥がしている。彼の耳は、ラジオ番組に集中していることが、まだうつろな私の目にもよくわかった。だから、「ICUを集中治療室」というのか!
 ICUの大音量ラジオ番組の犯人も、この看護師かもしれない。自分が聴きたい番組を、ICU全体に流す。こうすれば、仕事をしながらにして大好きなラジオ番組が聴ける。
 さてさてラジオ番組。リスナーからのリクエストは…
 「××さん(パーソナリティのなまえ)、あなたの好きな寿司ネタはなんですか?」(ねっ!どうでもいい質問でしょ!)
 パーソナリティ:そうですねえ、白身魚…いや、貝がいちばんですね。赤貝、ホッキ貝…。エンガワも好きだなあ…。
 これを聴いたペールオレンジ看護師、私の動脈に刺さっている点滴針を止めているテープを剥がしたり貼ったりしながら、誰に語りかけるともなく…普通の声量で…こう言ったのです。
 「エンガワは、貝じゃないしぃ」
 嗚呼、ICU…!緊張感のかけらもない空間…。この大学病院だけのことであっていただきたい…。
 新型コロナウイルス感染患者について東京都は、ICUに入院している感染者は「重症者」としてカウントしていなかった。東京都のICUも緊張感がないという評価が定着しているのかなあ?

ブログの力

2020年08月19日 | Weblog
 10数年前にブログなるものを始めました。動機は、遠くで暮らす子どもたちに、「お父さんは、こんなこと考えながら、こうして生きてるよ」と、伝えるのに良い手段だと思ったからです。 
 ブログを始めた当初は、コメントが楽しみでした。子どもたちからのコメントは皆無でしたがね。
 ところが、1週間も経たないうちに、誹謗・中傷のコメントが目立つようになりました。朝イチの仕事は、心ない攻撃コメントの削除でした。特定の数人からだと思うのですが、誹謗・中傷は、「脅迫まがい」の内容へとエスカレート。身の危険すら感じるようになりました。
 「こんな思いをしてまで、ブログを続けなくてもいいかな。もう、やーめたっ」…そのとき、「コメントを受けない設定」にしておけばいいんじゃないか、と、思いつき現在に至っています。
 今、ブログの力を見直しております。「素晴らしい媒体だ」と、感じております。なにが素晴らしいか・・・
1 日本各地の風景が見られ、人々の息づかいまで聞こえる・・・聞いたこともない田舎町の路地裏、無人の商店街、田園風景…1枚の写真が、原稿用紙何枚分も語りかけてくれます。
2 九州から北海道まで、キャンピングカーで旅されている方、晴れた日は自転車で出かけられる方、情報と写真がアップされる。日本には、「そのような人もおられる」・・・ブログがなければ、知るよしもなかった。
3 折々の花を愛でることが出来る・・・花の写真のブログも多く、花の名前をずいぶん覚えました。画像の美しさには感嘆します。
4 城郭、英語、時計、キッチンカー、オヤツカフェ、お酒の紹介などなど、その道の達人から専門知識を得る(「垣間見る」というのが正しいでしょうか)ことができる・・・高齢者になっても、「知識を得る喜び」は、変わりないものなんですねえ。
5 日常のつれづれから・・・見知らぬご家庭の、食事内容から、親子関係から…のぞき見趣味はありませんが、「どこの家庭も同じなんだなあ」と、ほっこりさせていただいております。
6 ブログを通じて、私への応援まで・・・もの凄く驚いたのは、入退院を繰り返す見ず知らずの私に対し、「元気になって、またブログに戻ってきてね」などの、「応援ブログ」を書いてくださった方が数人おられたことです。コメントを受けない設定ですから、コメント欄にではなく、ご自分のブログにです。これには、ありがたいを通り越して「驚愕」でした。「人って、これほどまでに優しいのか!」
 今更ながらですが、人の優しさを知った。ブログなるものの力です。

手紙、メール、LINE…みんないい!

2020年08月18日 | Weblog
 できれば遠慮したいのが入院。40数年前、アキレス腱断裂で入院。1分でも早く退院したいと医師に懇願。願いが叶って、シーネ(ギブスが外れる一段階前の状態)のまま退院。その日の夜、階段を踏み外して再断裂。結局、合計で3か月近い入院。このときほど、「急がば回れ」「急いては事をし損じる」ということわざが身に染みたことはありませんでした。
 入院で、(病気、けが以外で)何が問題か?食事です。40年前の病院の食事は、「この食事じゃあ病気になっちゃうよぉ」「これじゃあ、傷口がふさがらないよぅ」という代物でした。外部との連絡は、遠くまで出かけていって「公衆電話」をかけるか、または、「郵便」。
 現代の入院、「便利になったもんだ」と、つくづく思います。食事も、改善されていますが、なにより、外部との連絡が簡単。病室では、スマホ等での「音声を発しての会話は出来ませんが」、メールは、自由に使える。これ、大きいですよ。あと、ベッドに居ながらにして、LINEで、孫たちの画像、動画も観られる。凄いぞ、40年!やるじゃないか人類!
 なぬ?「アンティークマンは、手紙の文化を廃れさせたくないんじゃなかったのか」って?
 それと、これとこれとは、話が別。入院中については、LINEなどの恩恵に浴するのがいいと思います。
 40年と言えば…「当用漢字」は「常用漢字」に(1981年)、「現代かなづかい」も86年に「現代仮名遣い」に引き継がれました。このとき脳裏をかすめたのは、「国語の過度の簡素化は、伝統文化の継承や読解力の低下をまねくのではないか」でした。なぬ?「いつもの繁体字、簡体字をもちだすのか」って?似たようなもんですけどね。
 「ゐ」「ゑ」って、見たことがあると思います。最近見かけないって?それもそのはず、70年前(1946年)に、「使うの止めようね」と、なってしまいましたから。でも、何とも言えない「いい感じ」ですよね…「ゐ」と「ゑ」。こういうのが消えていくんだよねぇ…。
 手紙って力があるなあと感じたのは、野口英世のお母さんが英世に送った手紙ですね。幼少時に覚えたであろう文字も忘れかけ、思い出しながらなんとか書いた。カタカナが混じったり、句点が「マル」になっていたり…しかし、子を思う母親の気持ちが溢れている。
 おまイの。しせ(出世)にわ。みなたまけ(驚き)ました。わたくしもよろこんでをりまする。はるになるト。みなほかいド(北海道)に。いてしまいます。わたしも。こころぼそくありまする。ドかはやく。きてくだされ。いしよ(一生)のたのみて。ありまする
 いつくるトおせてくたされ。これのへんちちまちて(返事を待って)をりまする。ねてもねむれません。
 手紙、素晴らしい。メール、LINEもいいけどね。

イスラム教はヤングな宗教

2020年08月17日 | Weblog
 初対面での話題の三大NG。「政治、宗教、野球」。
 政治はぁ…与党支持者とも知らずに、政府の悪口雑言は、喧嘩になりますよね。
 宗教など、新興宗教の悪口を言っていたら…相手の人が新興宗教の人だったりしたら喧嘩どころか血を見ることになるかも。野球も同様。ところが、それらは日本の話。
 中東地域研究者がエジプトでの体験を書かれておりまして…
 カイロ国際空港からタクシーに乗った。運転手が、突然話しかけてきた。
 「おまえの宗教は何だ?」
 「仏教徒だ」
 「なんだ、イスラム教徒じゃないのかっ?イスラム教は、いいぞ。すぐに改宗したほうがいい!」
 運転手は、道中ずっと、イスラム教の素晴らしさについて語り続けたという。また、そのあとも毎日、同様な体験をしたのだと。私もカイロおよびその周辺へ行っていますが、「おまえの宗教は何だ?」と、聞かれたことはありませんでした。もっとも、アラビア語など分かるはずないので…実際は、何度も聞かれていたのかも。エジプトの人たち、私を見ると、「山本山、山本山!」と。「日本人=山本山(日本の海苔の会社)」と、思っているらしい。
 閑話休題。
 くだんの中東地域研究者が、「なぜそんなに宗教の話ばかりするのか」とたずねたところ、「その質問の意図が理解できない。イスラム教徒にとって、宗教とは日々の生活とは不可分であり、信仰について話すのは、きわめて普通のことである。不思議に思うこと自体が不思議…」と。
 まあ、日本人とは、宗教や信仰に関する考え方や距離感が違うということですかね。イスラム教徒にとって、宗教は、生活に密着したものなのですね。
 密着かあ…さすがの、「三密警察」も、この密着には手も足も出ませんね。あの華僑ですら、イスラム圏へ入り込むのは大変なことのようですから。
 それにしても、なぜイスラム教徒にとって宗教や信仰がそれほど身近なものなのか?
 話は、7世紀の初めまで遡らせなければなりません。
 なぬ?「仏教だって、ヒンドゥー教だって、紀元前に成立していたぞ」って?はいはい、キリスト教も、1世紀前半には、始まっています。つまり、イスラム教はそれらに比べると若い宗教と言えます。
 創始者は、知らない人以外は誰でも知っている「ムハンマド」。いつから、「ムハンマド」になったのか?私が学校で習ったときには「マホメッド」でした。改名の連絡は私の所へは来ておりません。
 で、「唯一神アッラーが凝血から人間を創った」。アッラーの創造物は、森羅万象。この世とあの世の全ての創造主…なんですと!そうだったんですねぇ!勉強になりました。
 ムハンマドが伝えたアッラーの言葉を信じるものが、イスラム教徒。これで分かりました。
 「最後の審判」で、契約違反にならないために、神の命令に従って生きなければなりません。よって、イスラム教が宗教に対して持つ距離感が私たち日本人に比べて近い…のかも。

TVを通じての一期一会?

2020年08月16日 | Weblog
 入院中の8月3日、NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」で、「ブータン編の再放送がある」と、カミサンからLINEが来ましたので、観ました。
 私とカミサンが、ブータンへ行っていた時期とほぼ同じころ、笑福亭鶴瓶さんと水川ありささんが、「鶴瓶の家族に乾杯 ブータン編」のロケを行った。
 ブータンへ行って知ったことで、とりわけ意外だったことは、「一夫多妻」「一妻多夫」でしたねえ。最高は4人の妻を持っている男で、一人は前国王(大喪の礼の時に日本に来られた)、もう一人は、タクシーの運転手だということでした。
 「一妻多夫」の方は、二人の夫を持つ妻が紹介されておりました。こういうことも、「国民総幸福量世界一」と関係あるかも知れません。
 なお、夜這いの習慣は薄れてきたということですが…既婚者でも平気で未婚者にアプローチする。「一夫多妻」「一妻多夫」も、むべなるかな…。
 なお、ブータン農業の近代化に尽力した農業専門家で、国王から「ダショー」という爵位を贈られた(今でも外国人では唯一の受爵)西岡京治さんは、2人の妻を持っていたそうです。28年間もブータンで頑張ったのですから、妻が2人いてもしょうがないかな?同行していたはずの里子夫人を含めての2人だったのか?この情報は、ガイドさんからの情報です…私がいい加減なことを書いているわけではありません。なにしろ、「ダショー西岡」の名誉に関わることですから。
 ともあれ、ブータンの人々が日本(人)に大変好意的なのは、西岡さんの働きがあったからに他ならないと思います。
 ブータンと日本は、互いに大使館を持っていません。それにもかかわらず、日本とブータンの関係は良い。西岡さんが敷いたレールの上を、JICAやJOCVが誠実かつ着実に走っているからでしょう。
 パロ(ブータン唯一の空港がある都市)の街で、「日本からの方ですか?」と話しかけられた。長身の若い女性。気さくな笑顔に親しみが感じられました。
 彼女は、JICAから2年間の予定で、パロに派遣されているのだと。現在2年目に入ったところだという。任務は、ブータンの学校教育における美術科のカリキュラム作りだとのこと。ブータンの学校の教科には、「図画工作」も「美術」もないのだそうで。
 「新しい住まいへ引っ越すんです。今、これから引っ越し先の家の掃除に行くところなんです」。掃除の手伝いに20歳前後のブータン人の女の子を一人連れていました。なお、パロに住んでいる日本人は、10人とのことでした。
 掃除に行く忙しいところを、干しマツタケを買って雑貨屋から出てきた私どもを「日本人だな」と思い、声をかけてくださった。その気持ちが嬉しい。
 さらに嬉しかったのは、日本の代表のような大和撫子が、ブータンで、はつらつと仕事をしておられること。ブータン人にとって、「日本人は、美しくて、優しくて、元気で、笑顔一杯で、思い遣りがあって、頭が良くて、行動力がある。引っ越す前に掃除をする」…このように受け取られていると思われたからです。日本人に対するイメージは、グングン昇ります。
 8月3日、NHKの「鶴瓶に乾杯 ブータン編」。この女性、「カマノマリコさん(漢字が不確か…釜野真理子だったか?)」が、登場しておりました。番組の終わりには、帰国しているマリコさんご本人も出演。ブータン人と結婚し、その夫を連れて帰国。マリコさんは、高校・大学で美術を教えているという。
 私どもとマリコさん、「再会」と言う表現にはならないでしょうが、なんとも「嬉しい」のです。お互い見ず知らず。時間を経て、「ああ、お元気で活動しておられるんだなあ」と、知る。
 なぬ?「そうゆうのを一期一会というんだ」って?四文字熟語で片付けられたくないなぁ…。
 2011年6月に、日本政府は、ブータンに対し円借款を供与しました。何のためにって?ブータン政府が国家開発計画の重点課題としている「全世帯電化」を支援するためです。全世帯が電化されると、夜這いの習慣がなくなるかなあ?

絆創膏の「創」が、創造の「創」と同じかぁ…

2020年08月15日 | Weblog
 世の中「凄いなあ」と思う人がたくさんおられる。我が身を振り返ると「凄くないなあ」と、つくづく思います。なぬ?「自虐ネタは好まないんじゃなかったのか」って?自虐じゃなくて、本音・本心なんですがね。
 詩人の吉野弘さん、天才と言ってしまえばそれでおしまいですが、呆れるほど前頭葉が発達しておられる。脱帽です。脱毛とは言いません。自虐ネタだから。
 「創」という漢字なのですがね。創造、創設、創業…「つくる、はじめる」という、ポジティブの先端を行くような意味の漢字です。
 ところが、「きず」という、いわばネガティブな意味もある。絆創膏(ばんそうこう)の創に使われています。
 こういう不思議な漢字もあるのですねえ。だから日本語はおもしろい。私なりの解説もありますが、吉野弘さんのご意見には、目から鯛のウロコが。
 吉野さん・・・創造らしい創造をする精神は、そのいとなみに先立って、何等かのきずを負っているのではないか。きずを自らの手で癒そうとすることが創造につながるのではないか・・・
 「その通りで、ございますね。賛同申しあげます」と、納得させられます。吉野さんの「詩のすすめ」にでてくる「創」の例が、「植物の挿し木」。
 茎や枝を切って、地中にさし込めば、傷口から初々しい根が生えてくる。このことこそ、きずが創造につながることを示す姿ではないか…と。
 なぬ?「アンティークマンは、どんな解説を考えていたのかって?私は、メープルシロップでした。メープルシロップの幹に「創をつける」と、「シロップ」が流れだす。つまり、「創られる」。だから、「きず」と、「つくり出す」は、同じ「創」という漢字にした。なぬ?65点!?まあ…そんなもんかな。
 で、挿し木って不思議ですよね。知られていたのは、葉や茎を切ると、傷口に根など、「何の細胞にでもなりうる『幹細胞』が生じる」ということ。ですから、挿し木で植物は増やせる。本来の親とおなじに増えるわけで…「親と同じに?」と、いうことは、「遺伝子…」。
 この遺伝子研究(基礎生物学研究所など)は、日本が世界の最先端らしい。 ある種のコケの幹細胞化を起こす遺伝子が、哺乳類の幹細胞化で働く遺伝子と同じ仲間であると分かったのだと!つまり、動物と植物が共通の幹細胞化遺伝子を持っているということ!ど、ど、どっひえーっ!そ、それはありえへんやろー!しかし、事実なんだからしょうがない。
 ということは、人の体にも、「創」の遺伝子がある。病気、きず(創)を自らの手で癒し、そこから根を伸ばして、新たな生をつくりだす…!

七夕の願い

2020年08月14日 | Weblog
 私の住む地方では、七夕は、「8月7日」です。8月7日、入院中だったんですがね、病院の昼食に、「七夕の短冊」が付いてきました。短冊は食べられない。短冊ではなく、「七夕大盤振る舞いメニュー」とでも題して、「牽牛のステーキ」でも出してくれると、大いに喜んだのですがね。
 「短冊に願い事を書いて、正面玄関にある竹にかざってください。後日**神宮へ納めます」という催し。
 もちろん私も参加させていただきました。どんな願い事を書いたかって?家族の幸福を願いました。
 で、当然持ち前の野次馬根性で、どんな願いが書かれているかリサーチ。
 場所が病院だけに、どの願いも想定の範囲内。病気の回復を願うものが、半数を超える。あと、「新型コロナウイルス感染の収束(終息)を願うもの」も、目立ちました。短冊飾りに参加していた患者は、入院中の子どもおよびその子の保護者と思われる人でした。「面会お断り」なのですが、子どもの患者に限っては、OKらしい。
 学校で七夕飾りの短冊を書かせる場合、「勉強ができるようになりたい」「サッカーがうまくなりたい」「お金持ちになりたい」…これらが定番ですが、この種のものは見当たりませんでした。
 七夕の短冊で、いつも思い出すのは、「おかあさん、いなくならないで!」と書いた当時小学1年生の女児です。
 たまたま訪問したとき、小1のクラスで、七夕飾りの短冊を書いていました。児童は、思い思いに、願いを書いていました。そんな中で私が、「おやっ?」と、足を止めた短冊…。
 「おかあさんがいなくならないように」
 読み間違いかと思い、2~3度読み返しましたが、間違いなく「おかさんがいなくならないように」でした。これが小1女児の願い?正直びっくりしました。立ち止まったものですから、そのまま歩き始めるわけにも行かず…
 「お母さん、いなくなったら悲しいよね」と。
 「うん!」女児は、大きめの声で頷きました。
 おかあさん、いなくならないで!
 通常、小1の子がこのような願いを書きますか?私が小1の時は、「はやくかえって、とだなのぼたもちをたべたい」と、書いて、担任の渡辺ハナ子先生ににらまれたのですが。
 女児は、毎日時間をかけてヘアスタイルを整えてくる。洋服は、ファッション雑誌から抜け出した感じ。要するに、大切にされていることがよくわかる子…。その子が。母親がいなくなるかもしれない状況下にいるのか?
 女児は母子家庭でした。「母子家庭」は差別用語でも放送禁止用語でもありません。「ひとり親家庭」というのが、配慮した言い方なのだそうで…。同じことだと思うのですが。「父子家庭」という言葉もあるわけでぇ。「婆孫家庭」「爺孫家庭」だってあるよね。言葉としては聞いたことないけど。
 それらはさておき、女児は、物心ついてから父親と別れた。女児にとって、母親だけが頼りの綱。
 その母親に19歳の恋人が。恋人が泊まりに来たら、女児は一人で寝なければならない。そのことを母親に訴えたら、母親は、19歳の男と出て行ってしまうかもしれない。だから我慢している。父親は家を出て行ったわけで、母親だって、いついなくなってしまうか分からない。短冊に書くぐらいなので、こういう内心を吐露してくれる…。
 女児は、高校1年生になっているはず。どうしているのでしょうか…。
 それにしても、子どもに「お母さんがいなくならないように」と願わせてはなりません…。
 脊髄に四角い穴(一辺がほぼ15mm)を、3カ所も開ける手術から、生還しました。予想以上に大変な戦いでした。術後2週間での退院。術前よりも動けません。…もう少し生きたいです。