ピアノ講師は、多くの子どもや保護者の方と接する職業です。
小学校1年生から電車で塾通いで帰宅ラッシュの中を帰るお子さん、
毎日たくさんの習い事に追われるお子さん。
内心、それは本当に身になることなのだろうかと思っていました。
前回ご紹介した「発達障害と間違われる子どもたち」という本。
それには、十分な睡眠時間の必要性が書かれていました。
親が最初にやるべき事は、子どもがこの世を生き延びるための脳=からだの脳をつくること。それが立派に育っていれば、その後に発達するおりこうさん脳、こころの脳もしっかり育ち、人間として社会の中で生き延びることが出来ると。
からだの脳をつくる大切な時期に、夜を徹して勉強させたり、習い事をいくつもやらせたりして、十分な睡眠時間を取らせないと、いずれ社会生活が出来なくなると。
また、家庭での親子関係についても書かれています。
自分のことが分かる力は、自ら試行錯誤を繰り返すことで成長しますが、親が先回りして失敗させないでいると、子どもが自分で感じて考え、行動する機会を奪ってしまうと。
多くのお子さんや保護者の方と接していて、これらのことはよく感じます。
発達障害に関しては、10年位前と違い、保護者の方も知っています。
以前は学校教師もよくわかっていないことが珍しくありませんでした。
しかし現在は、親御さんも言葉はご存知です。
そして、本にもありますが、その言葉に振り回されて困っているご家庭があまりに多いと。
私の所でも、お一人だけですがそのような保護者の方がいらっしゃいました。
音符の読み方がなかなかわからず、そうのような発想になってしまっていました。音符を読むことは大人が考えるほど単純なことではありません。
線と間の違い、ステップとスキップの見分け、上行下行のドレミの順番など、大人なら考えるまでもなく理解できることが、就学前のお子さんにとってはたいへん難しいことなのです。
文字を覚える方が楽だと思うほどです。
楽譜が右に進むことも就学前のお子さんにとっては混乱のひとつです。
音は、ドレミの順番には進みません。あちこち行ったり来たりします。
それをひたすら右方向に書き留めるのが楽譜です。
小さなお子さんは、ド ミの次にレを書くとなったら、ミの右隣ではなくドとミの間に書こうとします。右に進まず、戻ってドレミの順番になるように書こうとするのです。
これはよくあることです。
それをすぐに、もしかしてと考えるのは早計です。
初めはわからなかったことでも、経験を積むうちにわかってくることは沢山あります。
また、反復して練習する、書くなどの作業も必要です。
それを飛ばし、やるべきことをまだしていない内に、この子もしかしてと考えるべきではありません。
先回りしてしまう親と同様、兄弟、姉妹でも、いつも手伝ってあげる面倒見の良い兄、姉がいると、それも自分で考えたり失敗する機会を大幅に減らしてしまう原因になります。
夜更かしせず、睡眠時間をたっぷりとって、ちゃんと失敗させる。
ピアノレッスンでは、手伝い過ぎないことを心掛けようと改めて思いました。
私は生徒が分からなくて練習できなかった、どうしよう とならないようにある程度分かるようにして帰すようにしていました。
しかし、そうしたにも関わらず、忙しくて弾けなかった、ヒマがなくてピアノが弾けなかったと言われることが少なくありませんでした。
イリーナ先生のレッスンを拝見して、思ったより予習の手伝いがあっさりしているので、私も参考にすることにしました。
不思議な音の国を弾いている生徒さんに対して、新しい曲は1回音を読んだらあとは自分で弾けるようにして来て、と言ってお終い。
どう練習すると良いかとういう話もしないことにしました。
レッスンで困っていたら手伝うことに路線変更。