と言ってしまったが、ひょっとすると can が彼の中でひっかかっているのかもしれぬとその時に気づいた。
私が先に登り彼が後からついて来る形で登った。ここでは二つの表現を英語で書いているが、実際のところ「かろうじて」思い出したに過ぎないし、火床についたらどのように声をかけようかと少ない語彙を頭の中でひねりまわしていた。
あれよあれよという間に火床に着いた。後から登ってきた彼に私は風景を示し
You got it.(そのとおり)
と言ってしまった(笑)。なぜに?と未だに思うのだが、私の中では「This is it!(これだ!)」のつもりだったのだ。やはり英語での根本的な何か、情感としての理解があやふやだったせいに他ならない。まぁ、でもきっと彼もこの風景をすばらしいと思ったことだろうから、彼が言葉にする前に「そのとおり」と言い放って間違いはないと、自分をなぐさめる。
しばらく休憩し、互いに写真を撮りあって「ダイモンジには(頂上までの)続きがあるの?」と訊ねられたので、「15分、私についてきて」と返事し、再び二人で頂上を目指した。
頂上では少し彼も疲れたようだった。ベンチに寝転がり呼吸を整えていたが、私は時間的に先に下りねばならなかった。起き上がった彼に「大文字山 466m」のプレートを教え、