磁器装飾アトリエ&教室 ピアットスカーナ(東京)な暮らし

伊フィレンツエ18世紀からの伝統技法で磁器に装飾しています。「自由な発想で普段の生活は魅力的に変えられる」を合言葉に。

心のベクトルの向かう先 Vol.1: abitate ad arte nel cuore di... vol.1

2015-09-25 18:53:47 | 陶磁器(風景)/ オリジナル &オーダー
10月第1週の日曜日は、年に1度の「人形感謝祭」(明治神宮)。“楽しく やさしく 美しく”という心を大切にした、人形供養のお祭りです(オフィシャルサイトから一部引用)。雅楽の祭典もありますので、関心のある方は、「明治神宮 人形感謝祭」で検索をどうぞ。私は、布製の雛人形たちを納める(愛情を持ってお別れする)予定です。

さて、西洋の磁器人形の歴史は、華麗な食卓外交(18世紀~)とともに発展します。そして、食事中に向かい合うゲストが話題に事欠かないよう、目に留まりやすいテーブルのセンターに飾られました。物語のワンシーンのようなデザインが多いのは、会話を引き出すための工夫だったのかもしれません。


デザイン・手描装飾:<<イタリア式庭園>>笠原知子作
白磁素材:Rジノリ、国産、他
絵葉書:Rジノリ
2012年3月3日教室ディスプレーから

磁器が作られる前は?というと、やはり同じような演出が宴会に用いられていたようです。メディチ家のカトリーヌがフランスにお輿入れする際の結婚式(1600年)の資料には、こと細やかに詳細が記されています。1つは布製の置物(折り紙のようにナプキンを手で折ったもので、城や鷹、船など神業の造形が多い)、もう1つは砂糖細工(複雑な彫像を正確に再現している)でした。

今年は、当時の結婚式に関する企画展がピッティ-宮殿で開催中と知り、6月のフィレンツエ滞在中に鑑賞してきました。文献から再現された2種のテーブル装飾品(布と砂糖)は、とても安定感のある工芸作品でした。職人集団の技量はさることながら、当時としては大変貴重な真っ白な布と砂糖をふんだんに用いており、招待された客人達は、さぞメディチ家の富とおもてなしに驚嘆したことでしょう。


砂糖と磁器の装飾:笠原知子作
ある日の玄関のディスプレーから

手に職の私も(?)、20代の余暇を砂糖工芸に捧げました。磁器人形のように次世代に残せる耐久性はありませんが、我が家の玄関(上写真)には、現在もその頃のブーケ作品がディスプレーしてあります。
はじめてお越しになる方は、必ず立ち止まられ、砂糖であることに驚愕(びっくり仰天)。磁器作品が混在するこのコーナーのお蔭で、会話がはずみ和やかなムードとなります。時にブライダルサロンのようだと感想も頂いたりしますが、「フィレンツエ時代に似ているんですよ~」などど、次回からトークに加えてみようと思います(笑)

余暇の歳月は流れ、今田美奈子先生(西洋菓子と食卓芸術のスペシャリスト)を通じて、沢山の知識と実践を積むことが出来ました。普段の生活を工夫するアイデアはこうした経験から生まれ、味わい深い日々へと変化し、自分なりの心の豊かさのヒントになっています。



手描き装飾:笠原知子作、タイル施工:国内建築メーカー
ispirato da Palazzo davanziati a Firenze
dipinto a mano da Tomoko Kasahara

フィレンツエへ絵付修行に乗り込む前(2002年)のこと、親族の強い希望で、我が家のキッチンタイルを装飾しました。題材は、近年修復を終えたばかりのフィレンツエ中世の住宅、ダヴァンツァーティ家の壁画で、トータル66枚。技法はジノリ窯のものではなく、日本の師匠から学んだ西洋上絵付方法です。 着想のヒントは、イタリア絵画史や建築史を学んだ興味と関心からでした。歴史的住居を組み合わせて1つに再構成する、イタリア独特の建築法「リネア式」を、タイルの集合体としてとらえました。空間を捻じ曲げて奥行を楽しむ「だまし絵」を制作する醍醐味もありました。
今日では、このキッチンは、料理をするのが楽しい、そうでない時も飽きのこない広々とした空間として、家族や訪問客の皆様と居心地の良さを共有する場所となっています。

私の創作活動の喜びは、作品と見た人の感情が重なった瞬間。その頻度が高いのが、今は、衣食住の一部にある”磁器装飾の世界”ということなのでしょう。写真は、2007年の一時帰国のある日。ここに立った時、フィレンツエから瞬間移動したかのような、不思議な心持ちでした。今も変わらず。

感情が動くタイミングは、1人1人の人生経験によって異なるもの。それでも、なるべくそのタイミングに共鳴できるよう、これからも歩んで参りたいと思います。

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EXPO(万国博覧会)の品々:400 esimo anniversario della fondazione di ARITA

2015-09-18 17:53:33 | 陶磁器(静物)/ 模写/ &オーダー

手描絵付:笠原知子(2006年制作)、展示見本
ドッチア美術館所蔵品(ジノリ製造)の模写


私は日本で生まれ育ったことに感謝しています。
イタリアの芸術、そして、ヨーロッパの磁器に魅せられた背景にも、日本の風土と歴史に裏付けされた真善美の感覚が潜在的に備わっていたからこそ、理解できることが沢山ありました。

頭の中はイタリアしかないと思われがちな私ですが(笑)、10代は弓道を極めておりました。将来は西洋美術史に目を向けたいという熱意から、日本史を先に深く勉強しました。絵画においては、人物画の伊東深水、上村松園、鏑木清方、風景画の川瀬巴水、横山大観、花鳥画の小林古径、竹内栖鳳、橋本関雪(50音順)を好みます。工芸においては、金刀比羅宮書院の美(応挙・若冲)に目を奪われ、宇治の平等院鳳凰堂の音を奏でる飛天群をこよなく愛し、迎賓館の花鳥の間の七宝に憧れました。磁器の世界においては、有田焼に強い関心があり、香蘭社や深川製磁の器が我が家の食器棚にも並んでいます。名前をずらりと列記しましたが、皆様との共通点は見つかりましたでしょうか?

有田(九州)は、江戸時代初期に日本で初めて磁器を製造した地です。数回の万国博覧会出品作は、世界から類をみない高い評価を得て発展してきました。西洋の磁器は、この日本の美意識によって、更なる輝きと想像力を増し、世界の需要と供給を満たしてきたのです。

上の写真は、私がイタリアで西洋スタイルの上絵付技法を極めた後で、帰国するまでにどうしても描いてみたかった1枚です。〔オリジナルはジノリ窯初期の逸品(美術館所蔵)。このように、ヨーロッパ磁器史のスタートは、中国・日本を意識した、魅力的なデザインが数多く製造されました。〕



来年は、「有田焼創業400年記念の年」。その先駆けとなる展覧会が、現在、横浜そごう美術館で開催されています。(※10月4日まで)

見逃すには惜しい貴重な企画展なので、先日行って参りました。国策と密接に絡み合いながら誕生した、美しい優品の数々や初公開となるデザイン画を、気の済むまで鑑賞してきました。時代を動かした日本の美に触れながら、私の創作活動や教室で皆様に伝えたいこと、今を生きる私達に出来ることは何か?を考えてみたくなります。超絶の美の洗礼を受け、とにかく、しばらくは、お腹いっぱい、胸いっぱい^-^ (※9月30日(水)は開館30周年記念日で入場無料!)

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il 2016 ricorre 400 esimo anniversario della fondazione di porcellana ARITA , provincia saga in Kyusyu. Adesso si puo' vedere un mostra che sia una prima tappa importante di lolo percorso di 2016.▼ "Bellezza di ARITA, gran valore di trascendenza" 5/set-4/otto a Yokohama  Nella storia porcellana dell'Occidentale, i colori e le decorazioni di ARITA rivoltavano a stimolare la creativita' per gli tutti artigiani per maggior parte degli occidentali in stessa epoca. Raggiungere questo sviluppo attraverso lo scambio culturale e' diventato una speranza, la ricchezza della vita. Noi dove viviamo sulla stessa Terra abbiamo bisogno di riconoscereci diverse, ma scoprendoci anche intimamente vicini per aiutare a trovare il futuro del mondo. Ps. Sono a favore del significato dell'Expo Milano 2015'.

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