この日、山形県の舟形町にある「猿羽根山地蔵堂」をお参りした後、お蕎麦をいただきます。
猿羽根山相撲場。
毎年8月24日に子供の身体堅固を願う奉納相撲が行われるそうです。
かなり立派です。
茅葺のお手水場。
猿羽山地蔵堂の縁起は、諸説あるそうですが、新庄藩と尾花沢を分かつ猿羽根山に悪い霊が入らぬよう、おまつりされた峠のお地蔵様に信仰が集まったのが、最初ではないかと考えられているそうです。
ご本尊は、猿羽根山地蔵大菩薩さまで、特に身体堅固・頭病平癒・延命のご利益があるそうです。
お参りの時、個人さんのご祈祷が行われていました。
猿羽根山は山形百名山に選ばれています。
さて、猿羽根山地蔵堂に隣接するのは、「さばね山そば」さん。
冬季は閉山するため、4月下旬〜11月上旬(予定)のみの営業です。
営業時間は11時〜14時で、売り切れ次第閉店するため、事前にメニューや人数などを予約しておくのが確実です。(0233-32-2792)
店主はお堂の管理を兼ねながら営業しているため、私のあくまでも主観ですが、蕎麦屋さんに行くというよりは、お猿羽山をお参りしてお蕎麦をいただく、というのがしっくりくるような気がしています。
雰囲気がとてもよくて、癒される空間です。
最初にサービスのお漬物がでてきました。
あまりに美味しいので、思わずお酒を頂くこととなりました。
今回は夫に愉しみを譲ります。
にしん甘露煮(500円 )と上喜元がとても合う、と喜んでいる姿をみると、私も嬉しくなってきます。
次は山菜の頃に再訪して、次は私が愉しみましょう。ふふふ♪
ざるそば(900円)が運ばれてきました♪
なんという美しさ!
凛とした印象です。
味は・・・何とも言えない上品な蕎麦の香り。
冷たく引き締まった蕎麦が、躍るように滑り落ち、ふわりとそばの香りを残していきます。
鰹だしと醤油で円熟したつゆは、上質な味わいです。
美味しさのあまり、思わず微笑んでしまいます。
圧倒されて、鳥肌が立ちました。
お見事です♪
ざるが空っぽになって、もっと食べたいとしょんぼりしていると、なんと次の蕎麦をお持ちしますとのこと。
次???
次の蕎麦が運ばれてきました♪
全然違う見た目の蕎麦でした。
平たくて太め。
蕎麦を口に入れ噛むと、ほっこりした穀物の香りがあり、鼻孔に抜けます。
蕎麦は硬めで、噛むたびに蕎麦の甘味が増してきます。
さっきと全く異なる蕎麦でした。
噛んでいるうちに、蕎麦の香りで満たされ、快感になってきました。
つゆとの相性も素晴らしいです。
2種類の異なるお蕎麦を完食して蕎麦湯を頂いていると、摩訶不思議な気分に陥りました。
蕎麦は蕎麦でも、どうしてこんなに違うのか?
猿羽根山だけに、もしや仏教の教えに諭されているのでしょうか?
不意に「酸いも甘いも嚙み分ける 」こんな言葉が脳裏に浮かびました。
酸いも甘いも噛み分けるとは、人生経験を積み、人情に精通し、世の中の裏も表も知り尽くしていることのたとえ。
帰りに堂主さんに聞いてみたいと思いましたが、お遍路さんの接客で、聞くタイミングを失いました。
最初の蕎麦の美味しさが深く印象に残ったのは、次の蕎麦と大きく違っていたからかも知れません。
比較することで、それぞれの個性の素晴らしさに気づかせて頂けたのではないでしょうか。
深い!
さばね山そばさん、ご馳走さまでした♪
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