山咲雛子の日記

毎日何かを好き☆と感じ、感謝して、頑張っています。時間が沢山あったら、ゆっくり自然の中で過ごしたいです♪旅もしたいな♪

玉川温泉 岩盤浴

2009年05月31日 | 温泉
玉川温泉の遊歩道からは、あちこちで高温の蒸気が立ちのぼっています。

この大地の下で止むことなくマグマが激しく活動しているその激しさ、凄まじさを思うたび生と死の表裏一体の感じが頭をよぎります。
一部の噴出口は有毒ガスの恐れがあるため、立ち入り禁止となっています。



それにしても噴出口は美しい黄色をしています。
これが硫黄の結晶です。
その日は立ちのぼる蒸気の白と共にダイナミックに、澄渡る青空に映えていました。

玉川温泉では岩盤浴が目的でしたので、あらかじめ100円ショップでゴザを2本買い、持って行きました。

はじめて玉川温泉で岩盤浴を体験した時は、湿疹治療(アトピー)で、ステロイド軟膏を長く使ったために、副作用として皮膚が赤く腫れあがっていた頃でした。
特に皮膚の薄い顔面は酷いもので、その頃はメークを厚塗りにして隠す以外手立てはなく、皮膚科に行っても同じ薬しか処方してもらえず、病院に行くことが不信にしか思えず、薬を使うのも恐怖で、痒みに耐えられず酷くなるばかりでした。
子供のころから皮膚科通いの私でも、さすがに精神的にだいぶ落ち込んでいました。

そんな時、相方の勧めで2日ばかり玉川温泉の岩盤浴をして後、少しづつ腫れがなくなりました。
それからはステロイドを使わない先生のいる皮膚科で診てもらい、今は、季節の変わり目のひどい状態の時だけ皮膚科に行くだけにまでよくなりました。

もともと私は、ラジウム温泉が体質に合っているようです。
かつて旅先の他県で急性の寒冷蕁麻疹と湿疹の併発で、緊急入院を勧められた時も、そのまま旅を優先し白神山地へ向かい、途中のラジウム温泉に2日ばかり入ったところ、大量の汗と共に湿疹がなくなってしまったことがありました。
自分でも不思議ですが、今でも「ラジウム温泉」といわれる温泉に入ると、体が快調になり、自分にあっているんだなぁと感じます。


さて、玉川温泉には現在3つの岩盤浴専用のテントがあり、岩盤浴の順番待ちの列が出来るほどの人気です。
今のテントは2008年に建て替えられたそうです。
私は一番下のテントで3日間、岩盤浴をしました。

岩盤浴では体をできるだけ覆い、適度な時間のなかで汗をかくのが最も効果的で、一回の入浴時間は放射線ですから45分程度がよいと聞き、そうしてみることにしました。
最大で2回行うのが良いそうですが、一日一度の岩盤浴でもなぜかだいぶ疲れます。
岩盤の場所によっては、蒸気が噴き出している程の場所もありますが、順番待ちでは好きな場所を選べないのが現状で「今日の場所は暑すぎる」「今日の場所はラッキーだ」などと自然なつぶやきが聞こえてきます。

玉川温泉の岩盤のテントの内部はこんな感じです。



生物に対して通常では有害な作用を示すものが微量であれば、逆に刺激作用を示す場合があり、この生理的刺激作用をホルミシスと言うそうです。

このことについてアメリカで1978年に本が出版され、1980年代に入ると放射線影響研究の中でこのことが話題となり、低線量の放射線照射が生物の成長・発育の促進、繁殖力の増進等々の効果をもたらすことがあるという「放射線ホルミシス研究」として注目されることとなりました。
放射線と言っても種類によって効果がまったく違うそうです。

一般的にラドン温泉と言われている施設の80%以上が、ラドン220番モナザイト鉱石などにより発するトリウム系の放射線で、北投石にはラドン222番のウラン系放射線、またその他にも、ラジウム、ラジオ鉛、ホロニウム、アクチウム、イオニウムと5種類の微量放射線が含まれています。
それらの大きな違いは主に体内での滞在時間にあるようです。

通常220番のラドンガスが吸入、あるいは皮膚を通って体内に入り、血液に溶け込んで細胞に到着するまでは10分間。
体内の深部まで到達することは出来ません。
それに対し、玉川温泉のラドン222番の半減期は55.6秒なので3.82日となり、充分に全身に行きわたるという効果が、研究により実証されてきているそうです。


テントの中で岩盤浴をしていると、病気のの苦しいいきさつが耳に届いてきたり、癌が治った(?)方がテントを訪問し、励ましの活動をしている場面にもあいました。



岩盤浴の間に、小さい噴出孔に投げ込んでいたお野菜がこれです。

新じゃががほくほくで、とても美味しかったです。
にんにくはとろ~りとしていました。
玉子は茹で卵になりました!

玉川温泉

2009年05月30日 | 温泉
後生掛温泉から玉川温泉へは、車で30分ほどです。

あとで知ったことですが、玉川温泉では5/1~15までの間、外部より持ち込まれたノロウィルスによる集団感染により、館内の施設を自主休業していたようです。
玉川温泉は焼石岳の登山道へと続く遊歩道が整備されています。



玉川温泉の源泉は、摂氏98度、PH(水素イオン濃度)1.2の強酸性泉が一分間に9,000リットル(ドラム缶45本分)も湧出しています。
一カ所からの湧出量としては日本一といわれ、源泉は幅3メートルの湯の川となって奔流しています。
川底には湯の花が沈殿するため、採取場を通って流れてゆきます。



遊歩道を歩くこと2~3分で源泉の噴出孔に着きます。



ボコンボコンと音を立てながら、ものすごい早さで押し出るようなかたちで、源泉が湧きあがってきます。
摂氏98度の高温のため、あたり一面は真っ白い湯煙に包まれています。



風向きによって、エメラルドグリーン色の噴出孔が見え、神秘的です。
大地の強いパワーみなぎる光景に圧倒され、しばしの間、ぼんやりと立ちつくしてしまいました。
聞くところによると、噴出孔付近は強いラドンを発し、無菌状態なのだとか。



玉川温泉は「北投石」でも知られています。

北投石は酸性の温泉にできる沈殿物で、重結晶のバリウムの一部が鉛に置換された鉱物の一種。
ラジウムを含み、強い放射能を持っているそうです。



1906年に台湾の北投温泉で発見され、後に「北投石」と命名されました。

日本ではすでに1898年に玉川温泉で発見されていましたが、後にこれが「北投石」とわかり、現在は特別天然記念物に指定されています。

玉川温泉の北投石には、ラヂオ鉛、ポロニウム、アクチウム、イオニウム、ラジウムの5種類の放射線を含むという、世界にも類稀な特徴があります。

最近の研究では、それらの放射線が、間脳の主宰する"原始生命"をつかさどる血液呼吸器、ホルモン系、全臓器に多く吸収され、強い活性活力を与え、また間脳から脳下垂体が刺激されることで、さらに副腎も刺激されて30種類以上のホルモンを全身に供給するということも、分かってきたそうです。

また、ラジウム温泉には「ラドン」と言う形でその成分がお湯に溶け込んでいます。
国内にラジウム温泉といわれる所は約80数ヶ所あるそうですが、玉川温泉や台湾の北投温泉に見られる特徴の、ラジウム線以外の放射線を含む温泉はほとんど見当たらないというのですから、一日に五千人の人が全国から湯治に集まるという人気ぶりにも頷けますね。


さて玉川温泉では、かつて遊歩道に無料の露天風呂があり、自由に入浴できたのですが、3年ほど前からでしょうか、引湯されなくなり、今は木の浴槽が残るのみです。
(あの時思い切って入浴していて良かった、とひそかに思うの私です。)

600円を払って内湯に入るしかありません。
館内はノロウィルス予防の徹底化により、手の消毒をしてから、いざ内湯へ。

内湯は100%源泉の大きな浴槽が一つで、他の浴槽は50%源泉の浴槽です。
かぶり湯、蒸気湯、寝湯、打たせ湯、熱めの湯、ぬるめ湯、50%の広めの浴槽、頭湯?(だったと思う)
それに飲泉場、アルカリ性の湯。
飲泉してみると、酸っぱいお酢のようなレモンのような感じです。
お酢が苦手な私には受け付けない味でした。
飲泉は一回あたり30㏄で、一日2回が限度と注意書きがありました。

100%の湯はぬるめで長湯できそうな温度でしたが、体を沈めるとあちこちがピリピリ痛くなりました。
とうとう我慢ならず浴槽からあがってしばらく休んでも、ヒリヒリしてイタッタァ~!
ずいぶん刺激的な温泉ですよ。

50%の湯に入ってみましたが、寝湯にしても刺激のせいか、何だか落ち着かず、リラックスというよりはだるい感じです。

温泉に入っている間は、病気の話があちこちから自然と耳に入ってきました。
こうなると治療だと思って、頑張って入ることにしました。
なんだかんだ体を洗ったりして、1時間30分程浴室にいました。

脱衣所で体を拭いていた時、気がつくとなぜか右肘に赤いポツポツが出来てました。
痒みもなく見ために気持ち悪いポツポツなのでゲゲッと思い、横の方に見せたところ「大丈夫よ~」と言われました。
話によると、ここに入浴後に健康な旦那さんの体には赤いポツポツが出るけど、病気の自分は出ないのだから、温泉が効きすぎたのでしょう、ということでした。
心配だったら受付で聞くといいわ~と言われましたが、だるくなってしまったのでそのまま出ました。

肘が悪いわけではないし、一回目の内湯で湯あたり?なんてどうしてなのか、後から思えば聞いておけばよかった~!
その後は、駐車場への坂道さえハアハアで、何度も休みながらやっと辿り着きました。
完全な湯疲れです。
玉川温泉での長湯は、あんまりよくないかも…です。


次は、玉川温泉の岩盤浴体験」レポートをご紹介させていただきます。


源泉名 玉川温泉〔源泉名;大噴(おおぶき)〕

■立ち寄り湯 600円
■男女別内湯
■泉質 酸性-含二酸化炭素・鉄(Ⅱ)・アルミニウム-塩化物泉
■泉温 源泉98℃  使用位置39℃(大浴場/源泉の湯)
■pH  pH1.05
■密度  1.0033(20℃/4℃)
■蒸発残留  4140mg/kg



後生掛温泉で湯治

2009年05月29日 | 温泉
後生掛温泉の旅館部に泊まったのは3~4年位前のことです。
5月の始めでしたが、山岳地帯にありがちな寒暖の差の激しさも、床暖房完備のお部屋のおかげで、一日中快適なあたたかさで過ごすことができました。
夕食は山の幸がメインで、山菜や焼いた川魚、お刺身、天婦羅、茶碗蒸しなど、心のこもったお料理にお腹がいっぱいになった記憶があります。

再び泊まろうとした時、予約の際に満室だったために、自炊棟2階の個室に泊まりました。
自炊棟にはテレビはないものの、何にも拘束されない気軽さが私には合っているようで、何度も浴室を行ったり来たりしながら、一日中床暖房でポカポカのお部屋で、ゴロゴロしてすごしました。
一泊でしたが、思えばあっという間でした。

今回はどっしりと腰を据えて湯治する機会に恵まれ、名物のオンドル個室(1F)を3泊予約しました!



部屋に入ると、さすが自然の温泉作用を利用したオンドルとあって「なにこのあつさ~!!」とどんどん脱ぎだしてしまう暑がりな相方

お部屋の窓を開けるとすぐ横に誰かの車にあるという景観にはがっかりしましたが、窓下に食材を吊るしておける釘が打ちつけられていて、今時期は天然の冷蔵庫として引っかけて使うもののようでした。

部屋は4畳くらいはあるでしょうか。薄いゴザ敷きのまるで独房のような雰囲気に始めは少し抵抗を感じましたが・・・
温泉に入浴して部屋に戻る頃には、ノープロブレム!!
郷に入るは郷に従えですね♪



この湯治場の部屋には、テレビも時計もカレンダーもありませんし、携帯も圏外。
オンドルのため、毎日の絶対必需品のパソコンは無し。

あるものは、心のゆとり(時間)とあるがままの自然。

自分のこれからの目標を考えたり整理したり、相手の話をじっくり聞いたり、本を読んだりするには、とても良い環境です。

湯治場には皆で使える本棚があり、純文学も山系も漫画も雑誌もエロ系もあって、バラエティーに富んでいます。
特に長期滞在の方は、本を読んでゆっくりと時間を過ごしているようでした。





湯治場には、ガス台がありますが、この天然の蒸し器は、便利な調理器具の一つでです。
見てください、エネルギーは大地のパワーだけですよ!

例えば、キャンパーが使うハンゴウに洗ったお米と水を入れて、この蒸し器に入れるだけで短時間でおいしいご飯が出来ちゃうんです。
同時にレトルトカレーも入れれば、今夜はカレーに決まりです。

また蒸して楽しいのは、卵、サツマイモ、ジャガイモなどなど・・・
マグマと食材の間に地下の天然水が湧いていることで、放っておいても美味しい料理ができるんですから不思議です
こんな便利な天然蒸し器は、我が家にもひとつ欲しいものです。



焼石岳に湧き出るモウセン峠の水はいつでも出っぱなしになっています。
冷たさの中に、甘さを感じる、山の雫。
温泉の浴室にも引水されています。



後生掛温泉の湯治村の廊下を渡り、焼石岳に向かう登山コースは、約4キロ。
玉川温泉の遊歩道を通るコースもあり、案内図によれば3キロで山頂にたどり着くそうです。
遠方から見える焼石岳は、真っ白で美しい山頂でした。
登頂し、この目でてっぺんを見てみたい思いがこみあげてきました。



後生掛温泉1日目の夜はオンドルの暑さで、2時間毎位の感覚でなんとなく目が醒めてしまいました。
すごく、汗が出ました。
寝苦しく、体が重くて…
朝になって明るくなっているのに、だるくてなかなか起きられず、やっと体が動くようになった時には、10時を過ぎていました。



後生掛温泉のお風呂は、泥湯や箱蒸し、蒸気浴、気泡浴、打たせ湯などの内湯があります。
露天風呂はやや小さめですが、5月の冷たい風に自然の厳しさを感じながら身を任せます。
じっと目を瞑り、露天の温泉に浸かっていると、なんだか不思議な気持ちがしてきます。
そこには、普段の私が感じることができない、自然への畏敬の念ともいうのでしょうか。



露天風呂の格子の隙間から、立派な「オオシラビソ」が見えました。
まるでこの露天温泉を見守る、シンボルツリーのようにも思いました。
あとで別な場所から見たところ、木の下には小さな祠があるようでした。
やっぱりですね~。



後生掛温泉2日目になると、オンドルの暑さにもこなれ、ポカポカさが快感です。
体はだいぶ楽になり、夜は熟睡できました。

3日目最後の夜の晩餐は、ピラフ&レトルトカレーにトマトサラダでした。
買出しせずに何とかなるものです。
ソーメンなどを食べているかたもいらっしゃいました。
キ~ンと冷たいお水でしめる麺は、美味しいに違いありません。

ぬくぬくしたオンドルの心地よさにも慣れ、もうしばらくはここから離れたくない気分になってしまいました。
体はすっかり軽く、朝の目覚めも素晴らしく快調。
すっかり胃痛もなくなり、薬も飲まなくても大丈夫になりました。
旅の前と比べると3キロ弱も落ち、体、かる~~です♪

湯治のなかで考えたことも多くありました。

近年、先端技術の進歩により、快適で便利な暮らしができる一方、人間として大事な何かを忘れてしまったまま生きている気がします。
パソコンも含めて機械に依存してしまった結果、考えるチカラが劣ってきてはいないでしょうか?
普段の生活では原始的な感覚や好奇心など要らない感覚のようですが、健康を維持していくためにはそんな感覚がいかに必要かとつくづく思いました。
また、健康であることの大事さを学びました。























宝仙湖・玉川ダム

2009年05月28日 | ドライブ
テーマ「湯治」の旅の続き≫

八幡平アスピーテライン方面に向かう途中、エメラルドグリーンの水面から生い茂った新緑の大木がひょこんと顔を出しているに見え、宝仙湖は美しく神秘的でした。
湖面下の木は、人間であれば体半分が常に水中に浸かっているようなもので、どんな姿で木が生きのびているのか不思議です。
自然の厳しさの中で、生きるたくましさに感激すら覚えます。
木は、意志をもって、その厳しさをまっとうしようとしているのでしょうか?



宝仙湖は全国屈指の人造湖で、玉川ダム完成直前の1989年(平成元年)に一般公募により、命名されたそうです。
総貯水容量は約2億5000万トンで、東北地方の人造湖の中では、福島・新潟と県をまたがる奥只見湖、福島の田子倉湖に次いで3番目の貯水容量なのだそうです。

もともと宝仙湖や下流に位置する田沢湖は、上流の玉川温泉から湧き出る「玉川毒水」といわれる日本一の強酸性のお湯が原因で、魚が住めない湖でした。

近年、玉川温泉近くに作られた中和処理施設により、水質は改善されお魚が住める環境にまでなっているそうです。



玉川ダムは秋田県で唯一「ダム湖百選」に選ばれたダムです。
常時「玉川ダム探検ツアー」を行っており、公園としても親しまれているほか、無料で使えるキャンプ場としても利用できます。

見たところトイレも炊事場も備わっており、入浴施設や管理棟などの設備がないのを除けば、野営向きです。
大型の犬でもいれば、まあまあいいかな~とも思いましたが、そびえ立つコンクリートの岸壁や、谷間のあまりの静けさに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。(私がそう思ったものですから…

さらに余談ですが、聞くところによると、夏場はアブの類が出没するそうです。



新緑とたゆみなく溢れる水の美しさに、しばし心が奪われてしまいました。



鶴の湯別館 山の宿の「山の芋鍋」

2009年05月27日 | 
テーマ「湯治」の旅の続き≫

田沢湖高原温泉から、山中へと車を走らせると、山の一軒宿、秘湯ムードたっぷりの乳頭温泉郷です。

「鶴の湯」「黒湯」「孫六」「大釜」「妙の湯」「蟹場」「国民休暇村 田沢湖高原」の宿にはそれぞれに個性があり、自然の中に調和した露天風呂が魅力で、近年正統な温泉場としても人気があるのはいうまでもありません。

この温泉郷を年に1~3回ほど訪れるのには、私にとって大きな意味があります。


さて、鶴の湯別館山の宿は平成6年にブナ林と水芭蕉の咲く沢の横にオープンした、先達川沿いにある一軒の木造旅館です。
鶴の湯温泉の1.5km手前に位置し、鶴の湯から温泉を引いており「別館」の愛称がついています。

日帰り入浴はできず、宿泊は一泊あたり13000円~15000円程度。

私のこの宿での目的は、名物の「山の芋鍋定食」を頂くことです。
ここ数年間、こちらに来た時には、必ず立ち寄るようになりました。

かつては、宿泊してゆっくり山の芋鍋を満喫してみたい誘惑に駆られることもありましたが、あえて宿泊をせずに毎年この場所に通い続けるのも、ある種の恋心のような感覚であるかもしれません。



建物は、地元の雑木のみを使って建てた平屋の曲がり屋風建築は豪雪に耐える太い梁が特徴です。
ブナ、トチ、クリ様々な建材が使われているそうで、漆喰の白壁との対比が素朴さと美しさをかもしています。


お部屋は庵ふうの囲炉裏です。



窓からはブナの原生林が広がり、今時期は柔らかい新緑の美しさに、みなぎる生命のパワーを感じます。
景色を眺めながら、心に沸々と躍動感が湧きあがってくるような感じがします。
それは窓から切りぬかれた一端の自然ですが、ひと時だけ、その風景を我がもののように独占してしまったような気分になれるのは、贅沢すぎる幸せです!




お魚好きの私は「定食A」を選びます。
川魚がつくか否かですので、Bを選んでも料理内容に違いはありません。



相方が「今日の車の運転は任せて」と言ってくれたので、甘えることにしました。

地酒をちびりちびりしながら、ゆっくり料理を楽しむ時間も格別です。



この「秀よし」という仙北市の酒蔵のお酒は、名前はいまひとつに感じますが、秋田のお料理にしっくりと合いますね。
鍋にしても、山菜料理にしても、地元の料理とのバランスが絶妙なお酒です。

以前、黒湯に泊まった時「秀よし」と「刈穂」等々の飲み比べをした時も「秀よし」に旗があがりました。

さて鍋ができる間に囲炉裏では炭がくべられ、お料理を食べながら待つのです。



素朴な山料理ながら、ヌルヌルのワラビ、シャキシャキのウドのくるみ合え、上品な味のしみ込んだ蕗…
ああ、絶品の山の幸です。



これが、名物「山の芋鍋」です!

みずみずしいセリの香りと、ふくよかなお味噌の味。
もっちりした山の芋だんごの表面にはお味噌が染みて、あつあつのホクホクです。
なんて、素晴らしい素朴な味でしょう!



焼きたての岩魚が来ました。
炭火でじっくり焼かれた岩魚は、ほっこりしています。
骨も、頭も全部食べれる柔らかさ、甘み、引きしまった身の歯ざわりは、絶妙なおいしさです!
なんという、快感でしょうか!
山の清々しい空気や囲炉裏からほんのりかおる炭の香り、火の匂い、それらの全てがその場で絶妙に混じり合い、素朴なこの料理の、最後の味付けをになっているのです。

山の恵みを体に取り込むことで、あふれる自然とちっぽけな自分が、まるで一体であるかのような、錯覚にさえ陥ります。
この山へ来るたびに、健康でもっともっと長生きをしていたいとつくづく実感し、前向きの心が私の中で奮い立ちます。

時は楽しい会話に弾み、知らず知らずゆるやかに流れて行きました。




山の宿を出ると、水芭蕉が満開でした。





※「山の宿」昼食は11時30分から13時まで