あべ旅館さんには、名物の岩風呂と、ひのきの露天風呂があるのですが、 その日露天風呂はお休みでした。
では、東館地下2Fの岩風呂に行ってみましょう。
飲用できる温泉場があります。
温泉の味はクセがなく、飲みやすいお湯でした。
岩風呂についての記載がありました。
後冷泉天皇の頃、川岸より蒸気を発しているのを阿部さんが発見し、戸沢藩の湯守として代々引き継ぎ、明治になって旅館を開業。
岩風呂は当時のまま、小国川の自然を活かした足元湧出温泉であるとの所以が記されていました。
浴室の扉を開けると、西洋風の造りになっています。
湯けむりに浮かぶのは・・・
女神像ではありませんか。
女神像は、米沢出身で大正3年生まれの彫刻家「桜井祐一」さんの作品。
独学で彫刻を学び、売れない時代にはモデルを雇うお金がなく、奥様の美代子さんをモデルに女性のヌードの作品を作ったそうです。
どうして、この岩風呂に女神像が必要だったのかなどぼんやり考えを巡らせてみると、宿の方の意向が解らないでもありませんが・・・
何十年も湯気に晒されて、ちょっとかわいそうな気もします。
さて天然の岩風呂ですが、約30畳程の広さがあるそうです。
足元は平らではなく、急に深くなるところもあったりします。
身を低くしてゆっくりと移動すると、なるほど場所によって温度が高めだったり、足元から少し熱めのお湯が溢れているのが解ります。
ボコボコと勢いよく湧出しているほどではありませんでしたが、足元からのお湯で体はすぐにポカポカ温まります。
女神像の目線の先から一直線に辿ると、いい感じの深みが2カ所ありました。
勝手に温泉の「へそ」と名付け、一番目のへそは腰掛ける姿勢で入れる場所、二番目のへそは立って入れる深みの場所で、ぼんやりと温泉時間を過ごしました。
こちらは「クアハウス」と呼ばれる浴槽です。
お湯はかなりぬるめで、温まった体を冷やすのにちょうどで、岩風呂と行ったり来たりして入浴しました。
さて宿泊すると、男女の暖簾が交換になります。(確か夜は20時、昼は12時だったような気がします)
こちらが大浴場。
岩風呂とは全く異なる浴槽です。
**追記**
私が宿泊した約2か月後、山形新聞に次のような記事が掲載されましたので、念のため記しておきます。
<2013年04月10日 山形新聞より>
営業を停止している最上町赤倉温泉の老舗旅館「あべ旅館」の運営を、居酒屋「こちらまる特漁業部」などを展開するエムケーコーポレーション(仙台市)が引き継いだことが9日分かった。経営していた阿部旅館の役員を含め従業員約15人の雇用は継続し、施設、名称もそのままに10日に営業を再開する。
エムケー社によると、阿部旅館から従業員の雇用の継続と営業権、温泉権の譲渡の申し出があり、受けたという。エムケー社の松原茂社長が社長を兼務する子会社「あべ旅館」を新設し、3月22日に仙台市で法人登記した。同社が得意とする鮮魚やカニを売りにした旅館として営業する方針だ。