がんばれ薬指

2002年03月29日 | 健康・病気

ライブ前日だというのに、
仕事中、左手の人差し指を潰してしまった。
4月からの人事異動で製造から生産管理になる。
今週はその引継ぎの仕事をしていた。
新しい仕事の一つとして、
製造の仕事の段取りがある。
素板(樹脂を成形する前のガラス)を
準備しようと思って、
逆の位置においてあった
素板のパレットを載せる台を回転させたら、
その台とコンクリートの柱に指が挟まれてしまった。
一瞬、何が起こったのかな?と思った。
痛みが感じられなかった。
綿の手袋に血がにじんできた。
それが床に落ちる頃、激痛が襲ってきた。
恐るおそる手袋を取ると、
爪の間から血が出ていた。
「この指で、ケーナの穴を押さえられるかな」
まず心に浮かんだことはこれだった。
今は痛いが、明日は大丈夫だろう、
と呑気に考えた。

生産管理の上司に怪我の報告をして、
病院に行くことを伝えた。
着替えて車に乗った頃には、
指は、ぱんぱんに脹れていた。
どう考えてもこの指では、
ケーナを押さえるのは無理だと思った。
目の前が暗くなった。

2時頃、家に帰って病院に行く。
知っている外科に行ったら
午後は4時から診察だった。
ちがう外科を探した。
3時から診察の外科があった。
本屋で時間をつぶして行く。

左手の人差し指は自己主張をしている。
ずきんずきん、ズキンズキン。
雑誌を立ち読みしながら、
ケーナの吹き方を考えた。
左手は親指、人差し指、中指で穴を押さえている。
このやり方は、ウニャ・ラモスの吹き方だ。
人差し指を使わないで、中指、薬指で吹けないか。
今晩練習してみよう。
少し希望がわいてきた。

3時過ぎに病院に行く。
第一印象は、荒れたというか、
生活臭い病院という感じだった。
古臭いソファ、古い雑誌、暗い照明。
受付の女性に「労災でお願いします」というと、
うしろにいる医師に何か話す。
年老いた男の先生が何かいっているが、
要領を得ない。
患者が一人いたのでしばらく待たせられた。
こんなとき私は、寝てしまう。
いつも寝不足のせいか、すぐ寝られる。

名前を呼ばれて診察室に入った。
ここも引越しがすんだばかりという感じだった。
受け付けの女性が二人もいるのに何でだろう。
もっと小奇麗にしてもいいと思う、
ここは病院なのだ。

老医師が私の指を見て、
「こりゃあ、爪をとっちゃったほうがいいな」
という。
心に暗い影が広がった。
爪を取る作業を想像した。
「骨が折れてるかどうかレントゲン撮ってみようか」
「はい」といってしばらく待っていたが、
なかなか呼ばれない。
5分ほどたってレントゲン室にいる
“おじいちゃん”医師に呼ばれて行く。
レントゲン室も骨董品を売っているようなところだった。
思わず私は、ここに何をしに来たのか、
と考えてしまった。
怪我、病気の治療をする場所とは思えなかった。

かなりしばらくして名前を呼ばれた。
レントゲン写真があり、説明してくれた。
指の先端の骨がひび割れている、という。
老医師の奥さんと思われる“おばあさん”がいた。
その女性が指を診る。
「内出血した血を抜きましょう」という。
鋏で爪の横を切った。
血液がどんどん出る。
痛い。イタイ。
“おじいちゃん”医師は、爪をはがすことを主張する。
“おばあさん”医師は、爪を取ると、
治るまで時間がかかり仕事が出来ない、という。
私は“おばあさん”のファンになった。

保険ではなく、労災で治療するので、
1万円取られた。
これはいつか返ってくるものだ。
労災なんて生まれて初めて経験する。

家に帰って、
ケーナを左手の人差し指を使わないで吹いてみる。
急に1軍に呼ばれた薬指は戸惑っている。
なにしろいつもケーナを吹くときは、
遊んでいる指だ。
野球選手も含めて、2軍にいるからといって、
サボっていては行けないんだな、と思った。

さあ、いよいよ明日、本番だ。

(左の人差し指が使えないとキーボード打つのも辛い)

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コミカルおやじとシニカルおやじの
    じゃぱん つあ~!!


3月30日(土)PM7:30スタート
in
BROCKHEADS
   所沢市緑町4-8-20
  TEL 042-925-3966

   Charge:¥2,000(1ドリンク付き)

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