修理を待ちながら 1

2005年09月20日 | 健康・病気

車を持ち込んで受け付けをすませた私は、
ショールームの中のテーブルに向かって坐った。
いくつかあるテーブルには2組の客が、
営業マンと話をしていた。

2、3分もしないうちに私の担当の営業が前に坐った。
私がここで車を買ってから3代目の担当だ。
私が車を買ったときの営業マンは、
気さくで腰が低くて営業には向いているなと思った。
ところが、2年ほどで辞めてしまった。

そのあとの担当はずーっと事務畑を歩いてきた人だった。
前任が辞めたので、急遽営業に回された感じだった。
営業という仕事がまったく向かない人だったな。
ちょうどその頃、
私の車ロゴのリコールが重なって発表されたときだった。
私は、メーカーのホンダが悪いのに、
なんで私が貴重な時間を使ってわざわざ車を持ち込んで、
部品を交換しなくてはならないんだ、
とリコールのたびに文句をいった。
休日の半分がそのことで費やされてしまうのだ。
彼は、去年の8月に会社を辞めた。
あの人が辞めた原因の100分の1ぐらい私にあるかも知れない。
人間的には好きな人だった。

そして3代目だ。
彼は私の担当になってから家に何度も訪ねてきたりして、
今の言葉でいえば“うざかった”。
なにしろ貧しい私は車など買う気はない。
今のを乗れるだけ乗ろうと思っている。
私が点検などでデイラーに行くと、
私の相手などしてくれなかった。
会社にいないのだ。
今思えば、彼は会社に入ったばかりで、
車を売るために必死だったのだろう。

なぜか土曜日、エンジンルームを見てもらっているとき、
3代目は私の相手をしてくれた。
私としては、ひとりのほうがよかったのだが、
目の前に坐っているのでは相手をするしかない。
そうなると私のほうが営業マンのようになってしまう。
私の生きる方針として、
「私と話す相手を飽きさせてはいけない」というのがある。
私は話題の途切れぬようにやさしく面白い会話を心がける。

日曜日もひとりでいたい私の前に、
人なつっこい顔で彼は坐った。
年齢を訊くと25歳だという。息子たちより1つ上のようだ。
さあ、それから私のサービス精神はフル稼働をした。
なにしろ相手を飽きさせないように必死で話した。
(つづく)

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