万引き

2005年12月15日 | 健康・病気
午後3時過ぎだったか、
これからリンゴのパッケージをしようとしたとき、
電話が鳴った。
通所者に作業の指示をし、ちゃんとできるか確認してから、
キゥイの産地シールを作りに行こうと思っていた。
パソコンで作るのだがそのソフトとプリンターが
うちにはなくて、市場内の同業者のところに借りに行く。

「警察ですが、Mという人はそちらの従業員ですか?」
「はい、そうですが…(従業員ではないな)」
「実は、南**のセブンイレブンから、
 店におかしな男の子がいるので来てくれと連絡がありまして、
 行ってみると、そのMくんがいたんです。
 持ち物を調べたら、そちらの名前がありましたんで…」
「………」
「チョコレートと乾電池を持っていて、
 チョコレートのレシートはあったんですが、
 乾電池のレシートがなかったんです」
「Mくんが、万引きをしたのでしょうか?」
「まだ、調べの途中ですのでなんともいえないのですが…」

できれば早く来てもらいたい、ということだった。
銀行に出かけている施設長に電話をした。
自宅に電話して行ってもらうように話して、といわれたので、
電話をすると留守電になった。
結局、銀行の帰りに施設長に寄ってもらうことにした。

バタバタと5時過ぎまで仕事をして5時半、
自分の車に通所者を4人乗せて作業所を出た。
自分でバスに乗れる者は自分で帰るのだが、
そうでない者は、送迎している。

I さんを自宅で下ろし、他の3人を所沢駅まで乗せる。
助手席に坐っているMくんに話しかける。
「なんで朝、送迎時間に遅れるんだよ。駅から歩いたのか。
 朝、ちゃんと来てればこんなこともなかったのに。
 みんなに迷惑かけたんだよ」

Mくんは、ただ顎をあげるだけで喋らない。
私は彼が普通に話すのを聞いたことがない。
子どもの頃は話していたそうだが、今は喋らない。
でも、家では話しているそうだ。
それが信じられない。
作業所では話をしないのです。

所沢駅にMくんのお母さんがいた。
車で迎えに来てくれていたのだ。
私は、施設長からあずかってきた給料袋(15日は給料日)と
荷物をお母さんに手渡し、今日のことを説明した。
お母さんはものすごく恐縮していた。
Mくんはとなりであっけらかんだ。

Mくんのお母さんはこれまでどのくらい、
こんな思いをしてきたのだろう。
過去に何回か万引きで補導されている。
路上でオナニーをしていて警察に通報されたこともあった。

私がMくんにできることは…、何もない。
何もないのかも知れないが、何かしなければ!
コメント
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