歩き続ける

2005年12月04日 | 健康・病気
世の中にはすごい人がいる。
NHKスペシャル(21:00~21:52 NHK総合 )
「脳梗塞からの”再生”免疫学者多田富雄」を観た。
国際的な免疫学者として広く知られ、
エッセーの執筆や能の創作も手掛ける
東大名誉教授の多田富雄さん(71歳)は、
4年前に脳梗塞で倒れ、右半身不随になり
声と食べる自由を失った。

それから内科医である奥さんが24時間介護している。
華やかな学者生活をしていた多田さんは、自殺も考えた。
しかし、科学者として病気を客観的に見つめ、受け入れた。
「リハビリは科学。創造的な営み」と今も週3回熱心に通う。
身体が回復するのは発病してから半年間ぐらいという。
なのに多田さんは、今でもリハビリをしている。

口と喉のあたりが麻痺しているので、
食べ物を飲み込むのが難しい。
科学者として喋れないのが一番つらいという。

それにしても、キーボードを打つと
人工音声が喋る機械を使って奥さんと話し、
それまで触ったこともなかったパソコンを左手だけで操り、
4年間で6冊の本を書いたという。
その前向きな精神に頭が下がる。

そんな身体(前立腺癌にもなっている)で能の新作を創作し、
稽古場に行って、役者の演技に注文をつけていた。
その新作「原爆忌」(ダッタカナ?)の発表を観るために広島に行き、
平和公園の原爆慰霊碑を見つめて泣いている多田さんに、
私は胸を打たれました。

歩き続けることをあきらめない。
「失いたくないのは生きている実感」という老科学者。
私の生き方のなんと甘いことか!

多田さんの今の唯一の楽しみは晩酌だという。
液体をうまく飲み込めないので、
ウィスキーなどにトロミをつけて飲んでいた。
酒飲みの私としては嬉しいエピソードだった。
コメント
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