唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

不動

2006-09-30 09:04:42 | Weblog
「敵襲だあ!」

「なだれ込んでくるぞ、逃げろ」

高麗軍が突如山陰から攻撃してきた。

張亮率いる唐軍は陣屋づくりにかかっているところであり

木材きりだし、土掘りと分散し

しかも甲冑をつけている者はすくなかった。

驍勇を誇る高麗軍の精鋭はみるみる斬り立てていった。

「総崩れだ、本陣も危ないぞ」

まだ幕すら張っていない本陣は丸見えである。

しかし亮は床几に座ったまま微動すらせず前を見つめていた。

それをみて敗走しようとした将軍張金樹らは立ち止まって叫んだ。

「恥を知らぬのか、本陣をみよ」

「大総管がみておられるのだぞ」

「おまえらは唐の精鋭であろう」

将兵達も本陣の亮の姿をみて励まされ逆襲に移った。

数に勝る唐軍が立ち直ると、高麗軍は撤収し始めた。

実は臆病な亮は腰が抜けて立てなかっただけであった。