唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

岸頭

2006-09-23 09:24:21 | Weblog
「貢賦を送る船が止まってしまっています」

「このままでは倉庫が空になってしまいます」

悲鳴のような通報が東都から京師に続いた。

建中の初め、淄青節度使は淮西と通じて反旗を示した。

そのため掠奪を懼れて江淮からの進奉が止まってしまった。

「誰かを送って淄青を抑えねばいかん」

「誰かおらんのか」と宗はいらだった。

「張萬福はどうだ」

「淮南節度使からの報告では耄碌して使い物にならないかと・・・」

「ほんとうか?、まだそんな年ではないはずだが」

「頑固者なので節度使が誹謗しているのかもしれませんが」

「呼べ、萬福を、奴なら名前だけでも使える」

萬福が出頭すると、耄碌どころか元気いっぱいであった。

「淄青軍を抑えてくれるか」と宗

「何でもないことです」と萬福

濠州刺史として所部を率いて現地に急行した萬福は

大運河の岸に馬を進めて、対岸の淄青軍をにらみつけた。

その姿をみて

「萬福だ、萬福が来た!」と淄青軍は目に見えて動揺した。

その目の前を進奉船は次々と通過していった。

淄青軍は手出しをすることがなかった。