そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

点は入らなかったけど

2007-06-05 23:33:52 | Sports
サッカーキリン杯で日本が優勝 コロンビアと引き分け(共同通信) - goo ニュース

結果はスコアレスドローだったけど、コロンビアがモンテネグロに比べて骨のある相手だったので、観ていてなかなか面白い試合でした。

前半のフォーメーションは、いかにも高原が前線で孤立しそうだなという感じだったけど、案の定中盤に味方が多すぎて思うようにボールが回らず。
それでも、時たま素早いパス回しでゴールに迫っていたりもしたので、ストレスを感じるというほどではなかったし、後半は稲本を羽生に交代させた(このあたりのあきらめの良さはジーコとオシムの違いだなぁ)ことでボールがさらに回るようになりけっこう観ていても楽しかった。

この試合でも印象に残ったのは高原の充実ぶり。
他の欧州組3人に比べても明らかにたくましさを増した印象で、軽々には言えないけど、このあたりはプレーしているリーグのレベルの差もあるんでしょうか。
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「敗れざる者たち」 沢木耕太郎

2007-06-05 00:01:10 | Books
敗れざる者たち (文春文庫)
沢木 耕太郎
文芸春秋

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沢木耕太郎の、初期のスポーツノンフィクション短編集。

カシアス内藤というボクサーと沢木の奇縁のスタート地点となる、後の「一瞬の夏」の前史である「クレイになれなかった男」
長嶋茂雄と同い年で、同じくジャイアンツのユニフォームを着ることになった二人の三塁手、難波昭二郎と土屋正孝の”その後”を追った「三人の三塁手」
東京五輪のマラソンで銅メダルを獲得し、その4年後に痛切な遺書を残して27歳の若さで自殺した円谷幸吉の生涯を描いた「長距離ランナーの遺書」
マイナー血統ながら、昭和47年のクラシック戦線を沸かせたイシノヒカルと、彼をとりまく人間たちに密着した「イシノヒカル、おまえは走った!」
球史に残る名打者でありながら、その奇行により周囲から疎まれ、静かに球界から消え去ったオリオンズの背番号3、榎本喜八を主人公にした「さらば 宝石」
32歳にして三度目の世界王者カムバックに挑む輪島功一の姿に迫る「ドランカー<酔いどれ>」

以上、六編。

「敗れざる者たち」というタイトルが皮肉に聞こえるように、ここに描かれる人々は、一瞬の栄光に身を預けるものの、その人生の多くは栄光を求めての「あがき」「苦しみ」に費やされます。
が、人生とはそういうものだということを、わかりすぎるくらいわかっているからこそ、沢木はこうした人物に惹かれ、我々読者もこれらの小説に魅了されるのでしょう。

ここに収録された六編は、昭和40年代の後半から50年代初めにかけて書かれたもの。
沢木耕太郎のノンフィクションは、対象となる人物への濃密な取材をベースにしているからこそ読み応えが生まれるんだと思う。
ここでも、イシノヒカルの厩舎に寝泊まりしたり、円谷や榎本の人生を追って粘り強く関係者を辿ったり、内藤や輪島には身内同然に扱ってもらえるまでその懐に入り込んだり、こうした仕事をわずか5年くらいの間にやり遂げていることが凄い。

どの編もとても面白いんだけど、以前に読んだ「一瞬の夏」に比べると、やや文章としての質は落ちるような気も。
長編と短編の違いもあるだろうけど、描かれる人物の心情が浮かび上がり、こちらの心に迫ってくるほどの筆力は感じられないような。
著者の若さ故か、描かれる人々の「生身」をむき出しで投げ出されたかのような印象で、それが未熟ゆえの迫力になっている感じもします。
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