そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

倖田舌禍を巡る対立構図

2008-02-10 22:49:40 | Entertainment

小田嶋隆氏のブログで倖田來未の「羊水」発言にまつわる騒動が採り上げられていました。
なかなか興味深かったので以下引用させていただきます。

小田嶋氏は倖田発言を「ひどい失言」として「企業の広告が手を引くのも当然」と断じています。
また、「発言した媒体(←AMラジオ)の気楽さ(およびマイナーさ)から考えると、騒動の波及範囲が不当に大きく、しかも急速」であり「『騒ぎすぎだ』とする見方にも、一理ある」とした上で、今回の騒動の「元凶」を「ネットに巣食う匿名の正義派気取りの人々(具体的には@2ちゃんねらー)」に帰そうとする一部マスメディアの姿勢を批判しています。
「ネットを悪者にするのはスジ違い」であり、「この度の騒動の震源は、発言の内容以上に、倖田來未というタレントの資質そのもののうちに内在していたものだからだ」としています。

この度、倖田発言が特に問題にされたのは、要するに、倖田來未という歌手に対する反感があらかじめ醸成されていたからで、そういうふうに手ぐすねを引いた状態で失言を待ちかまえているテの世論が、爆発寸前になっていたからこそ、騒動は急速に拡大したと、そう考えるべきだ。

つまり、「コーダ調子のってんじゃねえぞ」「なーにが歌姫だか」という気分が、あらかじめ巷間に蔓延しているのでなかったら、こんなふうに炎上する事態にはならなかったということだ。
ついでに申せば、倖田來未がエーベックス所属のタレントでなかったら、騒ぎはここまで大きくなってはいなかった。のまねこ事件や浜崎あゆみをめぐる様々な行きがかりからして、@2ちゃんねらーの多くは、おそらくエーベックスに対して良い感情を抱いていないわけだから。

さらに、今回の件でマスメディアに倖田サイドを擁護する姿勢が目立つことを、先の沢尻エリカ騒動と比較して興味深く論じています。

沢尻エリカ発言の問題点は、なにより「業界の仁義を裏切っている」点にあった。彼女は、「得意先の段取りを台無しに」した、「礼儀知らず」のタレントであり「監督の顔をツブ」し、「先輩アナウンサーのフォローを無視」した、不届き至極な秩序紊乱者であった。
とすれば、芸能界のインサイダーたるコメンテーターの皆さんは、沢尻の逸脱を、絶対に許すわけにはいかなかった。だって、こういう不埒な態度を許していたら業界が成立しないから。

対して、倖田來未の発言は、業界や現場に損害を与えたというよりは、より純粋に対視聴者の問題だった。
発言を聞いて不快に感じた視聴者もいただろうし、高齢出産を控えた女性とかは、モロに傷ついたかもしれない。でも、ほら、くーちゃんっていうのは、もともとがぶっちゃけで売ってるヒトなわけだし……と、業界の人間は同情したのだね。明日はわが身でもあることだし。
くーちゃんの発言は、たしかに不用意で無神経で未熟だった。でも、失礼だったり礼儀知らずだったり仁義を踏み外していたり言語道断だったりはしていない。許してやろうよ、と。

そして、テレビなどのマスメディアの倖田擁護姿勢の背景には「ネット世論への反発」という要素が存在しているであろうことを指摘しています。

個人的には今回の騒動には大して関心がなかったので、2chなどネット側からの批判も読んでない一方でワイドショーでどのようなトーンで採り上げられていたのかもよく知らないのですが、直感的には小田嶋氏が分析するように今回の騒動の背後に「既存マスメディアvsネット世論」という対立構図があるという見方には説得力を感じます。
小田嶋氏の指摘にもあるように、自分の感覚からしても大して容姿が美しいわけでも歌が巧いわけでもなく楽曲が特段いいとも思えない倖田來未という歌手がここまで持ち上げられていることに、レコード会社およびテレビといった既存マスメディアの権力の匂いを多くの人が感じ取っており、それが今回の騒動の引き金になったという感じはします。
(倖田來未に関しては、売れ始めの頃のPVでほとんど半裸のような恰好で全身を目の粗い網タイツで覆ったボンレスハムみたいな姿には強烈なインパクトがあったんですが、イロモノ路線がいつの間にか”本格派”を目指してしまったところに無理があったというか…)
そういった反発心には正直共感してしまう部分もあるんですが、かといって小田嶋氏のように過剰なバッシングを肯定する気にもなれません。
いくら気に喰わないヤツだからといってここぞとばかり集中砲火を浴びせるやり方はやはり健全とは言えないような。
発端となった発言にしても、どうしようもない無知無能な発言ではありますが、状況からして本人に悪気がなかったのは間違いないと思われ。
まあ悪気がなくってあんなことを言ってしまうこと自体、お里が知れるというか低レベルぶりを露呈しているわけですが、それ以上でもそれ以下でもないような気がします。
むしろ自分としては、小田嶋氏が指摘する沢尻問題の時との既存メディア・芸能界における反応の違いのほうに病理を感じるのです。
既存の秩序への防衛心から内輪の論理を正論にすり替えようとしているというか、マスメディア権力の硬直化を感じざるを得ません。
例えばフジテレビのニュースが独占で謝罪インタビューを流すということ自体、癒着というか、気持悪さを感じます。

コメント
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