そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

ガラパゴスな生態系を打ち破る川内優輝

2011-12-04 14:54:27 | Sports
公務員ランナー川内、福岡国際3位…日本勢最高(読売新聞) - goo ニュース

川内選手がまたやりました。
抜群の勝負強さと、感動的なまでの粘りでまたもや日本人トップ。
五輪代表も夢ではなくなってきたようです。

組織の力を一切頼ることなく、全てを自分自身で考え、実行し、目標を実現していく。
川内選手の姿には心から感動します。
いろいろあった2011年、あらゆる日本人の中からMVPを一人選べと言われたら、個人的には迷いなく川内優輝の名前を挙げたい。

しかしその一方で、素質や環境、優秀な指導者に恵まれながら、川内選手に敗れ続ける他の日本人選手たちの姿には複雑な思いもします。
彼らを「情けない」と断罪するのは容易だけど、それだけではない。
その後ろに隠れている日本陸上界の、というより日本社会の構造的な問題に思いを致さざるを得ません。

日本のマラソンが弱くなったことと、箱根駅伝やニューイヤー駅伝などの国内駅伝イベントがテレビ局の有力コンテンツになったことの間には大いなる相関があるように感じます。
テレビ局は、長時間にわたりチャンネルを専有できる魅力的なコンテンツである駅伝を派手にPRする。
大学や企業にとっては知名度を上げる有効な手段として駅伝強化にのめり込み、好待遇で有力選手を囲い込む。
その流れの中で「国内の駅伝に勝つ」ことを最大目標にした強化が行われていることは想像に難くありません。
で、国内レベルの駅伝では抜群に強くても、国際レベルのマラソンでは通用しない選手ばかりができあがる。
今回川内選手との競り合いに敗れた今井選手も箱根駅伝山登りのスターでしたね。

そういった日本国内のガラパゴスな生態系とは関係ないところで頑張っている川内選手が、現在最も世界で戦うことのできるマラソン選手であるという事実は、日本の社会に対して大きな教訓を与えてくれます。
「公務員なのに」「市民ランナーなのに」といった浅薄なレベルでしか伝えることのできないメディアのなんとアホなことか。
これから様々な分野で川内選手のような人材が出現するのではないか、そう期待します。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする