年末に読んだ本の感想を。
まずは中上健次の短編集「岬」(文春文庫)。
中上健次の小説は、かなり以前に「十九歳の地図」を読んで以来。
当時はまだ若かったからか、強烈なコンプレックスが滲み出てくるかのような世界が肌に合わなかった記憶がある。
今回は自分も歳をとったからか、このドロドロした中上ワールドを正面から受け止めることができた気がする。
表題作の「岬」は芥川賞受賞作。
小説に描かれる世界を漢字一文字で表わすなら「地」そして「血」か。
海と山に囲まれた土着的な南紀の町では、血も濃く渦を巻き、その濃い血は次の生命へと受け継がれていく。
人間は親を選ぶことができない。
受け継いだ血はしがらみとなり、誘われるままに運命を辿っていくしかない。
その強烈なイメージがびんびん伝わってくる。
「火宅」も「岬」と設定を同じくする作品。
この他、都会での底辺生活の匂いを想起させる「黄金比の朝」、「性」と「命」の関係を生々しく捉えた「浄徳寺ツアー」の4編。
まずは中上健次の短編集「岬」(文春文庫)。
中上健次の小説は、かなり以前に「十九歳の地図」を読んで以来。
当時はまだ若かったからか、強烈なコンプレックスが滲み出てくるかのような世界が肌に合わなかった記憶がある。
今回は自分も歳をとったからか、このドロドロした中上ワールドを正面から受け止めることができた気がする。
表題作の「岬」は芥川賞受賞作。
小説に描かれる世界を漢字一文字で表わすなら「地」そして「血」か。
海と山に囲まれた土着的な南紀の町では、血も濃く渦を巻き、その濃い血は次の生命へと受け継がれていく。
人間は親を選ぶことができない。
受け継いだ血はしがらみとなり、誘われるままに運命を辿っていくしかない。
その強烈なイメージがびんびん伝わってくる。
「火宅」も「岬」と設定を同じくする作品。
この他、都会での底辺生活の匂いを想起させる「黄金比の朝」、「性」と「命」の関係を生々しく捉えた「浄徳寺ツアー」の4編。