V字回復の経営 2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫) | |
三枝 匡 | |
日本経済新聞出版社 |
Kindle版にて読了。
著者の三枝匡氏は元ボストン・コンサルティング、日本の経営コンサルタントの草分け的存在。
その三枝氏が実際に経営再建に関わった企業の実例をベースにして書き上げた、事業改革のストーリー。
フィクションでありながら、実際のモデルがいるという点で極めてノンフィクションに近い、という形式が一風変わっていて、臨場感があるようでいて具体的な悪さ加減がイマイチ切実に伝わってこないような印象を受けますが、書かれていることは至極真っ当で有用な内容だと感じました。
特に、「改革の9つのステップ」のうち、最上流にある「期待のシナリオ」と「成り行きのシナリオ」をどこまで具体的にイメージできるかが、個人的には最も肝要かと。
すなわち、「あるべき姿」と「直視した現実」のギャップを認識しない限り改革は始まらない。
ここが曖昧なままだと分析もできないし、改革のコンセプトやストーリーを描くことができず、コンセプトが甘く、ストーリーが魅力に欠けていたら、メンバーもモチベーションを高めることもできないのだから。
それができて初めて、実行フェーズに移ることができる。
「実行」に当たっては、トップが現場任せにせずにこだわりをもってフォローすること、そして、現場レベルにコンセプトを落とし込むためのツールを作り上げて適用すること。
著者があとがきで述べているように、確かにこれは不振企業の再建という場面に限らず、あらゆる企業活動に適用できる考え方だと思いました。