沈黙博物館 (ちくま文庫) | |
小川洋子 | |
筑摩書房 |
Kindle版にて読了。
この前に読んだ『薬指の標本』と似たテイスト、というか、「形見を収蔵する博物館」という設定は「標本」とモチーフが同じと言ってもよい。
ただ、こちらは長編だし、サスペンス的な要素も盛り込まれている。
世界観は隅々まで完成されており、そこはかとない違和感を覚えながら、その世界に心地よく浸ることができる。
しかし『薬指の標本』からも感じたのだけど、作劇にやや既視感があるというか、世界観ほどのオリジナリティを感じないのだよな。
無難すぎるというか。
今一歩の毒気だとか官能性だとかが欲しくなってしまう。