代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

国交省が「流域治水」に転換した

2020年08月25日 | 治水と緑のダム
 先月の7月22日、永田町の参議院の議員会館で、気候危機の時代の水害対策を検討するシンポジウムが開かれました。主催は、参議院議員の嘉田由紀子さんや衆議院議員の大河原雅子さん、阿部知子さん、篠原孝さんなどの国会議員でつくる実行委員会でした。私もゼミの学生たちと受付など会場設営のボランティアをしながら拝聴しておりました。   youtubeで動画が公開されたのでシェアさせていただきます。 流域治水の . . . 本文を読む

勝海舟関係文書の中に赤松小三郎のオランダ語写本発見

2020年07月01日 | 赤松小三郎
 勝海舟と赤松小三郎の師弟関係が窺える、ちょっとした発見を記します。国立国会図書館の勝海舟関係文書の中に、赤松筆跡のオランダ語資料があったという発見です。  日本銃砲史学会という学会があります。私は会員ではないのですが、昨年「赤松小三郎と銃」について発表して欲しいという依頼を受けました。「私は銃については素人なのでムリです。赤松小三郎と銃については是非銃砲史学会の皆さまで研究していただきたい」と . . . 本文を読む

次期首相は河野太郎にすべきである

2020年06月21日 | 政治経済(日本)
次期首相は河野太郎氏がよい。その理由は次の二点である。 (1)次の首相は日本会議以外から選ぶべきであること (2)脱原発・再生可能エネルギーを推進できる人物であること . . . 本文を読む

新刊紹介『日本を開国させた男、松平忠固 -近代日本の礎を築いた老中』(作品社)

2020年06月20日 | 松平忠固
 日本開国の父・松平忠固の本がようやく刊行されます。前著『赤松小三郎ともう一つの明治維新』が刊行されたのが2016年12月ですから、2冊目を出すまでにずいぶん時間がかかりました。何せ先行研究がほとんどないので、一次史料と格闘するのに時間を要しました。  6月26日の取次搬入とのことです。日本史の教科書を書き換える必要があるという内容です。歴史教科書が実際に書き変わるまでには時間を要するでしょうが、 . . . 本文を読む

桐野利秋VS野津道貫の赤松小三郎をめぐる因縁対決 「雲よ、伝えて!」

2020年06月09日 | 赤松小三郎
 赤松小三郎が登場する漫画を紹介させていただきます。岩見沢友紀作「雲よ、伝えて! ~明治報道奮戦記」です。最近相次いで文学作品や漫画で赤松小三郎が取り上げられるようになってきて、本当にうれしいことです。  この作品は同人誌ですが、プロのクリエイターの作品で、『ジャ〇プ』に連載されている漫画かと思うくらいにクオリティが高いです。  其の4(第4巻)では、桐野利秋と野津道貫の、赤松小三郎暗殺事件をめぐ . . . 本文を読む

【紹介】建築ジャーナル5月号「堤防はなぜ決壊したか」

2020年05月08日 | 治水と緑のダム
現在発売中の『建築ジャーナル』5月号で昨年の台風19号水害で「堤防はなぜ決壊したか」という特集が組まれています。堤防はなぜ決壊するのか、それはダムとスーパー堤防に予算を流し込むためだ、とこのブログで論じてきました。なぜ140カ所も破堤したのか、ダムではなく堤防の強化に予算を使えばそもそも140カ所も破堤することはなかったはずです。もう一つ、水害についてスーパー堤防を推進する現行計画の問題点を指摘した論文を紹介させていただきます。国立国会図書館の国土交通調査員の専門家による論文です。 . . . 本文を読む

日本は第二次大戦突入まで江戸文明の遺産で食っていた

2020年05月06日 | 歴史
日本の近代化を支え続けた、生糸の技術は江戸文明の遺産であり、日本は太平用戦争に突入する直前まで、江戸の遺産で食っていたと言えるのです。来年の大河ドラマの主人公である日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は官営の富岡製糸工場の設立などに尽力しました。しかし、これは従来の「家内制手工業」から規模の経済効果を働かせる「工場制工業」へと転換させる契機になりましたが、そこで生産される生糸の品質は変ったわけではなく、国際社会で高い評価を受けていた生糸の質そのものは江戸の技術です。ちなみに言えば、渋沢栄一も、もともと深谷の百姓で幕臣に取り立てられて、公費で海外留学までさせてもらっていた徳川政権の人間です。近代的工場制度まで徳川政権の遺産と言えるでしょう。 . . . 本文を読む

蚕と日本語学習と松平忠固

2020年05月03日 | 歴史
 昨日(2020年5月2日)の『日本経済新聞』の書評欄で小川誉子美著『蚕と戦争と日本語』(ひつじ書房)が紹介されていた。私もこの本は非常に重要だと思ったので、少し紹介させていただきたい。    この本で提示された諸命題の中で、もっとも刺激的なのは、幕末から明治初頭の欧州で日本語の学習熱が高まった背景は、日本の進んだ養蚕技術を学ぶためだった、というものであろう。  同書の帯に「なぜ日本語を学ぶの . . . 本文を読む

惨事便乗型資本主義を終わらせよう コロナ禍の中での種苗法? 

2020年05月02日 | 政治経済(日本)
新自由主義的価値観で、日本の伝統を、根こそぎ破壊するのが、「保守」とか「右派」とか名乗る政権のすることなのでしょうか? 神武天皇(仮にいたとして)以前から行われてきた日本列島の伝統を根こそぎ破壊しようというのです。  新嘗祭から何から稲作にかかわる皇室行事も、皇居で継承されている自家採種の種もみで行われています。まず安倍は、天皇に向かって、自家採種を止めるように、新嘗祭もアメリカからの輸入米で行うようにと要求すべきでしょう。 . . . 本文を読む

爆弾と武器から医療・住宅・水・良質な食料へ

2020年04月26日 | 政治経済(国際)
 先週のことだが、NHKのBSで平日の夜10時から放送している「国際報道2020」が、「コロナ後の世界はどうなるのか」というテーマで、世界の三人の識者へのインタビューを三夜連続で報道していた。1日目はフランスの経済学者のジャック・アタリ、2日目は『サピエンス全史』でおなじみのイスラエルの歴史家のユヴァル・ノア・ハラリ、3日目はアメリカの政治学者のイアン・ブレマー。    三人の描く未来図がそれぞれ . . . 本文を読む

コロナ禍で証明された女性指導者の危機管理能力

2020年04月19日 | 政治経済(国際)
コロナ対策で高い評価を得ている指導者は、ドイツのメルケル首相、台湾の蔡英文総統、ニュージーランドのアーダーン首相、アイスランドのヤコブスドッティル首相、ノルウェーのソールバルグ首相・・・・。迅速な対応、積極的な検査、自由の制限に対するちゃんとした補償・・・・これら成功している国々の指導者の共通点を挙げると、なんと、いずれも女性の指導者。こういう非常時の危機管理能力は女性指導者の方が高いようだ。今回の事態は、とりわけ好戦的な性格の右派の男性指導者ほど、こういう非常時に全く役に立たないことが証明されたように思える。 . . . 本文を読む

環境破壊と気候変動と感染症

2020年04月16日 | エコロジカル・ニューディール政策
 一週間ほど前になるが4月9日の東京新聞の特報面で、「環境破壊や気候変動によって新たな感染症が拡大していく」という記事が掲載されていた。今度のコロナウィルスについては、まだ詳細は不明であるが、一般論として気候変動が新たな感染症の拡大を生むことは多くの学者たちによって警告されてきた。たとえば以下のような根拠である。  https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020 . . . 本文を読む

【近刊書紹介】日本を開国した男・松平忠固

2020年04月13日 | 自分の研究のことなど
 この本が長期的に何を目指しているのかというと、「歴史教科書の書き換え」です。チラシにあるように、無勅許での日米修好通商条約調印を断行したのは井伊直弼ではなく松平忠固であるということと、日米修好通商条約は、教科書で言われているような不平等条約ではない、日本には関税自主権もあったのだ、という事実です。 . . . 本文を読む

『季刊地域』(2020年春号)に拙稿「ダムのために堤防は壊れる」掲載

2020年04月02日 | 治水と緑のダム
堤防が、計画高水位を超えても破堤しないのであれば、上流にダムを建設する理由がなくなってしまう。国交省がダムを造り続けるためには、堤防は計画高水位を超えると破堤する脆弱な構造でないと困るというのだ。(中略)  納税者としては考えたくない、信じたくないことだが、ダム利権のために日本の堤防は決壊しやすい構造のまま放置されているのだ。 . . . 本文を読む

【書評】小栗さくら著「波紋」(『小説現代』2020年4月号掲載)

2020年03月30日 | 赤松小三郎
今月号の「小説現代」に、中村半次郎による赤松小三郎暗殺事件を扱った小説が掲載されたという情報をネットで知って、早速書店で買い求めて読んでみました。小説の最後のシーンにはこうあります。「半次郎は振り上げた刀で、今を生きるために、未来を殺す」と。この言葉はあまりにも重い。読者に繰り返し、繰り返し、その意味を考えて欲しい一文です。私たちは殺された未来の中で、今を生きているのだ……と。 . . . 本文を読む