代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

グリーン・ニューディールとローカル・エコノミーへの移行

2020年03月29日 | エコロジカル・ニューディール政策
失業率30%という1929年の世界大恐慌なみという予測もある中で、やるべきは、ルーズベルトのニューディール政策並みの雇用対策であろう。つまり、政府事業で失業者を片端から雇用する社会主義的政策だ。  本来ならば、ここで社会主義者のサンダースに当選して欲しかった。前回の大恐慌のときはテネシー川の総合開発など、大規模インフラがメインだったが、今回は再エネ普及の徹底した温暖化対策を雇用創出のメインとするグリーン・ニューディールの実施である。 . . . 本文を読む

上田に戻った赤松小三郎の遺品(銃・八分儀・弾薬箱)の展示が始まる

2020年01月23日 | 赤松小三郎
 昨年から赤松小三郎研究会の有志でお金を出し合って、県外に流出していた赤松小三郎の遺品の買い取りを始めています。今月から、上田市立博物館で、昨年買い取りをしたミニエー銃(エンフィールド銃)、八分儀、弾薬箱の三点の展示が始まりました。(以下の記事参照)。興味のある皆さま、ぜひ一度足を運んでみてください。  今回博物館に寄託した品々は、もともと赤松家にあったものですが、上田のコレクター(故人)の手に . . . 本文を読む

新刊本紹介『東アジアの弾圧・抑圧を考える 19世紀から現代まで 日本・中国・台湾』(春風社)

2020年01月23日 | 歴史
 長らくブログの更新を怠っていて申し訳ございません。手前ミソで恐縮ですが、この一月に出た本を一つ紹介させていただきます。『東アジアの弾圧・抑圧を考える 19世紀から現代まで 日本・中国・台湾』(春風社)。私も共著者の一人です。  昨今の状況に照らし合わせて考えると、まことに残念ではありますが、タイムリーなテーマと思います。扱っているのは歴史的な諸事件ですから、最近の中国や台湾や日本の弾圧が扱われ . . . 本文を読む

佐々木実さんの『資本主義と闘った男』が城山三郎賞を受賞!!

2019年11月03日 | 新古典派経済学批判
このブログでも紹介してきました佐々木実さんの『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』(講談社)が角川文化振興財団の城山三郎賞を受賞いたしました。おめでとうございます! 佐々木さんは徹底的に取材して、歴史的評価に耐えうる重厚なノンフィクションを世に問うています。こうした大著は、10年、20年経っても色あせずに読み伝えられていくことでしょう。 以前お知らせしましたが、11月30日(土)に私のゼミの主催で佐々木さんの講演会を企画しています。再掲します。城山三郎賞の受賞を祝う講演会にもなります。ぜひ皆さま御来聴ください . . . 本文を読む

赤松小三郎の測量術についての新史料

2019年11月03日 | 赤松小三郎
<承前>  赤松小三郎が23歳のときに「清水流規矩術(測量法)」をまとめた冊子が見つかりました。これまで知られていなかった新史料です。  清水流の既存のテキストを単に写本しただけのものかも知れません。あるいは、清水流のエッセンスを小三郎の視点でまとめたノートなのかも知れません。まだよく分かっていません。これから調べます。  この冊子が書かれたのは嘉永5年なので、ペリー来航の一年前です。このとき赤松 . . . 本文を読む

赤松小三郎の遺品を上田市立博物館に寄託してきました

2019年11月03日 | 赤松小三郎
 昨日、上田市立博物館に赴き、赤松小三郎の遺品などを寄託してまいりました。小三郎所有と伝わる英国制のエンフィールド銃、八分儀、海軍弾薬箱の三点です。  これらの遺品は、もともと上田のコレクターの方が赤松家から買い取って所有しておられていましたが、県外のコレクターの手に渡っておりました。この度、私も含めた赤松小三郎研究会の有志で資金を出し合って三度にわたって買い取り、上田市立博物館に寄託してまいりま . . . 本文を読む

国交省と自民党サポーターのショックドクトリン —ダムとスーパー堤防

2019年10月18日 | 治水と緑のダム
東京新聞の記事で衝撃的なのは、元建設省土木研究所で、越水しても破堤しにくい耐越水型堤防の開発に携わっていた石崎勝義氏のコメントです。石崎氏は記事中で次のように答えています「国交省の予算は大きく『社会保障費に回せ』という圧力は高い。でも、堤防が決壊すれば、それをはね返して予算を確保することができる。国交省の役人は今回のように決壊するのは都合がいいと思っているんです」 . . . 本文を読む

八ッ場ダムは首都圏を救ってません

2019年10月14日 | 治水と緑のダム
 ネットで八ッ場ダムが話題になっています。ちょうど試験淡水中だった八ッ場ダムが台風19号であっという間に満水になったというニュース。だから首都圏を救ったというのですが、印象で語っているだけで何の根拠もありません。  水害が起こるたびに自民党のサポーターが、それを利用して、民主党叩きとダムやスーパー堤防擁護のデマ宣伝を行うのが恒例行事になっています。今回の騒ぎも、それです。  八ッ場ダムの貯水で、 . . . 本文を読む

なぜ日本の堤防はかくも簡単に決壊するのか? 耐越水堤防を仕分けた御用学者たち

2019年10月13日 | 治水と緑のダム
水害はスーパー堤防を仕分けた蓮舫の責任という方々に、本当にバッシングすべき対象を教えてあげたいと存じます。じつは国交省は、平成10年度の重点施策として越流しても破堤しない耐越水堤防の推進を掲げたにもかかわらず、日本土木学会の勧告によって、耐越水堤防の開発を止めてしまうのです。蓮舫バッシングにあけくれる皆さま、国交省に忖度して、耐越水堤防の中止を勧告した土木学会の御用学者たちこそ、列島における水害を生み出している真犯人だと思いませんか? . . . 本文を読む

「長州左派」論に対する共産党支持者からの批判に答える

2019年09月29日 | 長州史観から日本を取り戻す
「吉田松陰的エートス」とは、いざとなればテロや超法規的措置も辞さずに、少数の革命的結社が「正義(と信じたこと)」を断行してしまうことです。  共産党が護憲政党であるためには、まずはマルクスのプロレタリア独裁論を放棄する必要があると思います。プロレタリア独裁論と前衛党理論は、三権分立を否定する理論です。権力を徹底的に分散し、一極に権力が集中しないようにすることこそ、民主主義の土台です。権力を集中させようとするマルクスのプロレタリア独裁論はその真逆の発想なのです。 . . . 本文を読む

渋沢栄一による赤松小三郎の評価

2019年09月22日 | 赤松小三郎
 だいぶ遅れましたが、渋沢栄一の一万円札の肖像就任と再来年の大河ドラマ主役抜擢を祝ってこの記事を書きます。  紹介したいのは、渋沢栄一が議会政治の先唱者として赤松小三郎を高く評価していたという事実です。  紙幣の肖像に始めて旧幕臣としてのアイデンティティーを持つ人物が採用された点はまことに意義深いと思う。福沢諭吉も一時期幕臣であったが、彼は「幕臣」としてのアイデンティティーを持ち合わせていたよう . . . 本文を読む

アマゾン火災問題の原因は自由貿易

2019年09月21日 | 世界の森林問題
 アマゾンで急増している森林火災。  ブラジルは、2003年にルーラが大統領になった頃、熱帯林保全にも真剣に取り組む姿勢を見せ、実際に効果を上げ、希望の光を感じたものであった。しかし右翼のボルソナーロが大統領になるや否や、絶望の闇に閉ざされたようだ。彼こそは、ネタニヤフや金正恩などの比ではない、世界人類最大の脅威といってよいだろう。アマゾンの熱帯林が消えることは、気候変動をさらに加速させ、この惑星 . . . 本文を読む

信濃毎日新聞の一面コラム「赤松小三郎と選挙」

2019年07月25日 | 赤松小三郎
江戸時代から身分・財産・性別に関係のない「入札(いれふだ)制」(=普通選挙)を唱えていた人物がいたという事実は、日本人として記憶すべきと思われます。もしかしたら慶応年間に達成されていたかも知れない男女普通選挙。赤松小三郎が暗殺されてから、実際に実現されるまで78年間の月日を費やしたということは肝に命じるべきでしょう。赤松小三郎の内弟子の中には新選組の隊士もいたと、暗殺者の中村半次郎の日記に記されています。つまり、小三郎の唱える議会制民主主義の理念に共鳴していた新選組の隊士もいたということなのです。しかし、いまだに新選組の誰が小三郎の内弟子だったのか特定されていません。新選組が復活したことに、あの世の小三郎も喜んでいるかも知れません。 . . . 本文を読む

近刊書紹介『不平等でなかった幕末の安政条約 関税障壁20%を認めたハリスの善意』

2019年06月22日 | 長州史観から日本を取り戻す
 共著で以下のような本を書きました。  『不平等でなかった幕末の安政条約 関税障壁20%を認めたハリスの善意』(勉誠出版)  7月1日から書店に並ぶ予定です。新書で800円+税とお求めやすい価格になっています。出版社のサイトは以下です。  http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=101025  数 . . . 本文を読む

国有林コンセッションの悪夢

2019年05月17日 | 世界の森林問題
コンセッションという経営形態は盗人の原理。コンセッションという経営形態は市場原理にも反する。通常の企業であれば、自らが所有する資産を使って、社会的責任を伴って経営するものだ。しかるに、コンセッションという経営形態は、国民の資産に寄生し、リスクは納税者に負わせ、利益だけをかすめ取ろうという経営形態なのである。 新自由主義というのは、その生産手段の所有者が責任をもって生産するという、通常の市場原理にも反するようになる。すなわち、新自由主義の最終形態とは国民の資産と税金に寄生し、納税者にひたすら負担を強いながら、ボロ儲けしようという経営形態が跋扈するようになるのだ。 . . . 本文を読む