私も十分に分からなかった問題であった。日本の今日の惨状をつくり出したのは、米国からの圧力の問題なのか、それとも明治以来の官僚制の問題なのか、どちらがより本質的な問題なのだろう・・・・? と。 脱長州史観キャンペーンを始めたのは、明治維新クーデターによって成立した日本の官僚独裁の方が問題の根としてより深いのではないかと漠然と考えたからであった。本書はこの難問を、「自発的隷属」という概念で見事に解き明かしている。目からウロコが落ちる思いだった。 フィリピンは、米国従属のマルコス独裁政権を1986年に打倒し、1987年に憲法を改正し、憲法に基づいて、1991年の米軍基地貸与条約の期限切れに合わせて米軍基地を撤去した。日米安全保障条約が、日本を支配する最高法規として日本国憲法の上に君臨しているのは、日本人の選択なのだ。私たちが、これ以上の宗主国への服従によって引き起こされる惨禍を望まないのであれば、日本人は自らの意志でそれを拒否することは可能なのである。本書はそのことを明快に明らかにしている。
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