代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

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政治献金スーパーPACなしで米国大統領になれるか?

2015年10月29日 | 政治経済(国際)
 米国の大統領選は、スーパーPAC(特別政治行動委員会)という政治資金管理団体を通じた政治献金を多く集めた候補が有利になると言われてきた。アメリカでは、いちおう名目的に企業団体献金が禁止されているので「スーパーPAC」という政治資金管理諸団体を通しての迂回献金が行われている。
 スーパーPACの諸団体には、大金持ちの大企業経営者たちや大きな労働組合などが出資し、献金しつつ候補者の選挙キャンペーンも手伝い、その候補者の政策に自らの意志を反映させていく。これが、アメリカの民主政治が、「金持ちの、金持ちによる、金持ちのための政治」に堕してしまった一つの原因なのである。

 若干古いが、今年の7月時点で主要候補者たちがスーパーPACから得た資金総額は以下の表のようになる。以下のサイト参照。
 
http://www.politifact.com/truth-o-meter/statements/2015/sep/30/bernie-s/bernie-sanders-only-presidential-candidates-withou/

 「スーパーPAC」からの献金額はジェブ・ブッシュが1億ドル以上を集めて独走状態。2位がヒラリー・クリントンの1567万ドル、キリスト教福音派の支援を受ける医師のベン・カーソンは684万ドルなどとなっている。

表 主要候補がスーパーPACから受け取る選挙資金総額(2015年7月15日現在のデータ)




 そんな中で、スーパーPACからの資金提供を拒否している候補者が共和党のドナルド・トランプと民主党のバーニー・サンダースである。二人のツイッターにあった発言を引用しておきたい。

☆トランプ候補のPACに対する主張



【訳】すべてのスーパーPAC詐欺は、私のように自己資金で選挙をし、すべてのPAC献金を拒否している候補者にとっては非常に不公平である。
 すべての大統領候補者は、ただちに彼らのスーパーPACを拒否すべきである。PACは法の精神を犯しているだけではなく、法そのものを犯している。


 
 民主党のサンダースは、上の表のように、いくつか自分を支援する非提携型のスーパーPAC(unaffiliated super PAC、選挙運動にはコミットしない政治資金管理団体)があったようであるが、現在ではそれらのPACからの資金提供を断って、PACなしでの選挙を展開しているようだ。サンダース候補は以下のように書いている。

☆サンダース候補陣営の主張



【訳】バーニーは民主党の中では、スーパーPACを持たない唯一の大統領候補だ。彼は、PACが誤っていることを証明している。
 専門家は、このご時世において、スーパーPACなしで、つまり米国もっとも富裕な百万長者たちからの献金を受けなければ、選挙には勝てないと言う。我々はその主張が誤りであることを証明しようとしている。我々は、スーパーPACなしでこの選挙に勝つだろう。


 スーパーPACの資金が効いているのか、スーパーPACが違法であるとして受け取りを拒否しているドナルド・トランプ候補に対するネガティブ・キャンペーンはすさまじい。そのネガティブ・キャペーンの効果もあったのか、彼の支持率は落ちてきている。

 トランプ候補の場合、本人が億万長者であるため選挙資金は十分なのだろうが、サンダース候補に関しては資金が十分にないことが死活問題になると思われる。しかしアメリカの有権者も気づいてきているのだ。トランプとサンダースの躍進の背後には、スーパーPACからの献金に依存しない彼らの清廉な姿勢が、有権者の支持を集めた点にあるのは間違いない。「悪の資金」によるネガティブキャンペーンが効いてきているようだが、二人には、それらを跳ね返して、スーパーPACなしで選挙に勝てることを証明してもらいたいと願う。
  


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