忙しくてサブプライム問題を何も書きませんでした。遅れましたが書きます。
今回の事態は、ついに「帝国の終わり」が始まったと見て間違いないでしょう。この問題の現状分析に関しては他のサイトに譲って、私は米国覇権の終わりの後をどのように再構築するのか、いくつか意見を出したいと思います。
今回の米国の住宅バブルの崩壊を日本のバブル崩壊になぞらえる分析も多いですが、まず、両者の相違点を確認しておきましょう。
資産価格の暴落が、莫大な数の個人・法人の破産を生み出し、貸し出した側は不良債権を抱えるという基本構造は確かに同じです。
ただし、日本のバブルは国内銀行が土地投機にお金を貸し付けることにより発生しました。お金は国内から国内へ流れていたわけです。米国の場合、資金の出所は外国からの借金です。アメリカの住宅バブルを生み出した過剰貸し出しの資金の出所は、米国内ではなく外国にあるわけです。最大の貸し手は他ならぬこの日本。アメリカで莫大な破産者が出て、不良債権を抱えるのは日本を含め外国政府や金融機関なわけです。
基本的には国内問題であった日本のバブル崩壊と違って、アメリカのバブル崩壊は一気に世界恐慌の引き金を引くだろうと言われている理由はここにあります。
さて、どう対処すればよいのでしょうか? 日本のバブル崩壊は国内問題でした。米国のバブル崩壊は国際問題です。日本の場合、政府の積極財政政策によって自力で何とかしようとしましたが、財政破綻している米国の場合、自力で財政出動する原資もありません。バブル崩壊当時の日本には膨大な個人金融資産がありましたが、借金経済の米国にはそれもありません。1930年代のルーズベルトのようにニューディールを実施しようと思っても、現在の米国にはそれを実施する原資はないといってよいでしょう。よって、国際的枠組みで米国を救済するしかないのです。
日本は債権者、アメリカは債務者です。最終的には日本は、かなりの額(100兆円以上??)の債権放棄をせざるを得ないのでしょう。
しかし、こうした時こそ知恵を働かせねばなりません。ただ黙って、債務者のワガママを受け入れてはなりません。
かつて米国は、1980年代に中南米諸国が債務不履行に陥りそうになったとき、債務の一定の救済と引き換えに、それら諸国に市場原理主義的構造改革を強制しました。
それを思い出しましょう。今度は日本や中国が当時の米国の立場になり、米国がラテンアメリカの立場になるわけです。
まず最大の債権者である日本は、第二の債権者である中国を巻き込んで「対アメリカ債権国会議」を組織する必要があります。日中は「米国問題」を解決するために協力せねばなりません。そして、対アメリカ債権国会議は、債権の一定の放棄と引き換えに米国経済の構造改革を迫るべきです。米国がそれを受け入れなければ、「米国債売却」のカードを切ります。
ただし、その構造改革の中身は、かつての米国が中南米諸国に押し付けたような市場原理主義改革であってはいけません。世界でもっとも環境に悪いライフスタイルを維持する市場原理主義国家アメリカを、このブログで論じているエコロジカル・ニューディールの路線に従って構造改革するのです。
かつて、米国がラテンアメリカに押し付けた構造改革は、それらの国の人々の生活を破壊し、米国に対する深刻な恨みを残す結果になりました。
日本の行う構造改革は、米国人にも喜ばれる内容のものにしましょう。かつてGHQの改革を敗戦国の日本人が喜んだように。米国人が恨みを残すような内容の改革を押し付けてはなりません。
対アメリカ債権国会議が米国に要求すべき内要として以下のようなものを考えてみました。読者の皆様も何か米国への要望があれば、どんどんご提案ください。
(1)ヘッジファンド規制
莫大な不良債権を抱えたヘッジファンドをすみやかに潰す。米国の銀行などの救済と引き換えに、バブル経済を生み出す根源的な部分である投機的ファンドは徹底的に潰す。さらに再発防止のために、ドイツ政府がかねて提起している線に沿ってヘッジファンド規制を行う。
(2)温暖化対策のすみやかな実施
債権放棄と引き換えに、アメリカ社会の車依存症からの決別を勧告し、CO2排出の大幅削減を実施する。具体的には、このブログでもかって紹介した通りです。東西両海岸に沿った新幹線の建設、大都市でのLRTや地下鉄建設など、車なしで移動できる社会に構造改革する。日本の技術が大いに役立つだろう。
これは温暖化対策であると同時に、ルーズベルトが大恐慌の後に行ったテネシー川総合開発の現代版である。まさにエコロジカル・ニューディールとして、今後米国で大量に発生するであろう失業者の救済に役立つだろう。
(3)農産物輸出補助金の全廃
財政破綻した米国政府は喜んで受け入れるだろう。
(4)他国政府に対し、もう二度と農産物関税の引き下げを強要するようなことはしないと誓約させる。
(5)アメリカの伝統的自作農主義復活
これも失業対策として面白いと思う。これまで米国では建国以来の20~30ha程度の経営規模の小規模家族農家が、経営を続けられなくなってどんどん離農し、企業経営の大農園が増えてきた。今後、大量に失業者が出るに伴って、農地改革を実施し、大規模企業農園を解体、希望者に土地を譲渡して小規模な家族経営農業を復活させ、失業者の吸収に役立てる。
(6)在日米軍基地の大幅縮小・撤退
財政破綻した米国も喜んで乗ってくるだろう。もちろん日本のみならず世界諸地域に展開する米軍の撤退も要求すべき。ムダに空を飛ぶ軍用機によるCO2排出の削減にもつながる。
(7)自由貿易から持続可能な貿易への移行
これは本ブログでよく論じている通り。
住宅バブル問題、さらにはアメリカ人の借金経済の過剰消費問題を引き起こした根源は、自由貿易体制にあります。もう米国は二度と貿易赤字を垂れ流しできないように、WTOの自由貿易体制を終わらせ、世界貿易体制を再構築する必要があります。
日本のおバカなマスコミは、「1930年代には各国が保護主義に走り、ブロック経済になったことが第二次大戦につながった。だから自由貿易を守らねばならない」などとよく主張します。バカもいいところです。
ブロック経済の原因は大恐慌にあります。そして大恐慌の原因をつくったのは自由貿易(国際的な自由放任主義体制)なのです。大恐慌がなかったら戦争もなかったでしょう。つまり自由貿易が戦争の原因だったのですよ。
1930年代のブロック経済は、列強各国が無秩序に勝手にやりだしたからダメだったのです。それでドイツやイタリアのような植民地を持たない国が「ブロック」から取り残されて不満を強める結果になりました。だから戦争になっちゃった。
今度の世界恐慌の後には、注意深く、国際協調を保ちながら貿易体制の再設計をすればよいだけです。そうすれば戦争になることなどありません。
さてさて、「対アメリカ債権国会議」が米国政府に要求すべき項目を、つれづれなるままに書き連ねてきました。
まだまだアイディアを考え中です。読者の皆様も、何かあったらコメント欄に書いてくださるとうれしいです。
今回の事態は、ついに「帝国の終わり」が始まったと見て間違いないでしょう。この問題の現状分析に関しては他のサイトに譲って、私は米国覇権の終わりの後をどのように再構築するのか、いくつか意見を出したいと思います。
今回の米国の住宅バブルの崩壊を日本のバブル崩壊になぞらえる分析も多いですが、まず、両者の相違点を確認しておきましょう。
資産価格の暴落が、莫大な数の個人・法人の破産を生み出し、貸し出した側は不良債権を抱えるという基本構造は確かに同じです。
ただし、日本のバブルは国内銀行が土地投機にお金を貸し付けることにより発生しました。お金は国内から国内へ流れていたわけです。米国の場合、資金の出所は外国からの借金です。アメリカの住宅バブルを生み出した過剰貸し出しの資金の出所は、米国内ではなく外国にあるわけです。最大の貸し手は他ならぬこの日本。アメリカで莫大な破産者が出て、不良債権を抱えるのは日本を含め外国政府や金融機関なわけです。
基本的には国内問題であった日本のバブル崩壊と違って、アメリカのバブル崩壊は一気に世界恐慌の引き金を引くだろうと言われている理由はここにあります。
さて、どう対処すればよいのでしょうか? 日本のバブル崩壊は国内問題でした。米国のバブル崩壊は国際問題です。日本の場合、政府の積極財政政策によって自力で何とかしようとしましたが、財政破綻している米国の場合、自力で財政出動する原資もありません。バブル崩壊当時の日本には膨大な個人金融資産がありましたが、借金経済の米国にはそれもありません。1930年代のルーズベルトのようにニューディールを実施しようと思っても、現在の米国にはそれを実施する原資はないといってよいでしょう。よって、国際的枠組みで米国を救済するしかないのです。
日本は債権者、アメリカは債務者です。最終的には日本は、かなりの額(100兆円以上??)の債権放棄をせざるを得ないのでしょう。
しかし、こうした時こそ知恵を働かせねばなりません。ただ黙って、債務者のワガママを受け入れてはなりません。
かつて米国は、1980年代に中南米諸国が債務不履行に陥りそうになったとき、債務の一定の救済と引き換えに、それら諸国に市場原理主義的構造改革を強制しました。
それを思い出しましょう。今度は日本や中国が当時の米国の立場になり、米国がラテンアメリカの立場になるわけです。
まず最大の債権者である日本は、第二の債権者である中国を巻き込んで「対アメリカ債権国会議」を組織する必要があります。日中は「米国問題」を解決するために協力せねばなりません。そして、対アメリカ債権国会議は、債権の一定の放棄と引き換えに米国経済の構造改革を迫るべきです。米国がそれを受け入れなければ、「米国債売却」のカードを切ります。
ただし、その構造改革の中身は、かつての米国が中南米諸国に押し付けたような市場原理主義改革であってはいけません。世界でもっとも環境に悪いライフスタイルを維持する市場原理主義国家アメリカを、このブログで論じているエコロジカル・ニューディールの路線に従って構造改革するのです。
かつて、米国がラテンアメリカに押し付けた構造改革は、それらの国の人々の生活を破壊し、米国に対する深刻な恨みを残す結果になりました。
日本の行う構造改革は、米国人にも喜ばれる内容のものにしましょう。かつてGHQの改革を敗戦国の日本人が喜んだように。米国人が恨みを残すような内容の改革を押し付けてはなりません。
対アメリカ債権国会議が米国に要求すべき内要として以下のようなものを考えてみました。読者の皆様も何か米国への要望があれば、どんどんご提案ください。
(1)ヘッジファンド規制
莫大な不良債権を抱えたヘッジファンドをすみやかに潰す。米国の銀行などの救済と引き換えに、バブル経済を生み出す根源的な部分である投機的ファンドは徹底的に潰す。さらに再発防止のために、ドイツ政府がかねて提起している線に沿ってヘッジファンド規制を行う。
(2)温暖化対策のすみやかな実施
債権放棄と引き換えに、アメリカ社会の車依存症からの決別を勧告し、CO2排出の大幅削減を実施する。具体的には、このブログでもかって紹介した通りです。東西両海岸に沿った新幹線の建設、大都市でのLRTや地下鉄建設など、車なしで移動できる社会に構造改革する。日本の技術が大いに役立つだろう。
これは温暖化対策であると同時に、ルーズベルトが大恐慌の後に行ったテネシー川総合開発の現代版である。まさにエコロジカル・ニューディールとして、今後米国で大量に発生するであろう失業者の救済に役立つだろう。
(3)農産物輸出補助金の全廃
財政破綻した米国政府は喜んで受け入れるだろう。
(4)他国政府に対し、もう二度と農産物関税の引き下げを強要するようなことはしないと誓約させる。
(5)アメリカの伝統的自作農主義復活
これも失業対策として面白いと思う。これまで米国では建国以来の20~30ha程度の経営規模の小規模家族農家が、経営を続けられなくなってどんどん離農し、企業経営の大農園が増えてきた。今後、大量に失業者が出るに伴って、農地改革を実施し、大規模企業農園を解体、希望者に土地を譲渡して小規模な家族経営農業を復活させ、失業者の吸収に役立てる。
(6)在日米軍基地の大幅縮小・撤退
財政破綻した米国も喜んで乗ってくるだろう。もちろん日本のみならず世界諸地域に展開する米軍の撤退も要求すべき。ムダに空を飛ぶ軍用機によるCO2排出の削減にもつながる。
(7)自由貿易から持続可能な貿易への移行
これは本ブログでよく論じている通り。
住宅バブル問題、さらにはアメリカ人の借金経済の過剰消費問題を引き起こした根源は、自由貿易体制にあります。もう米国は二度と貿易赤字を垂れ流しできないように、WTOの自由貿易体制を終わらせ、世界貿易体制を再構築する必要があります。
日本のおバカなマスコミは、「1930年代には各国が保護主義に走り、ブロック経済になったことが第二次大戦につながった。だから自由貿易を守らねばならない」などとよく主張します。バカもいいところです。
ブロック経済の原因は大恐慌にあります。そして大恐慌の原因をつくったのは自由貿易(国際的な自由放任主義体制)なのです。大恐慌がなかったら戦争もなかったでしょう。つまり自由貿易が戦争の原因だったのですよ。
1930年代のブロック経済は、列強各国が無秩序に勝手にやりだしたからダメだったのです。それでドイツやイタリアのような植民地を持たない国が「ブロック」から取り残されて不満を強める結果になりました。だから戦争になっちゃった。
今度の世界恐慌の後には、注意深く、国際協調を保ちながら貿易体制の再設計をすればよいだけです。そうすれば戦争になることなどありません。
さてさて、「対アメリカ債権国会議」が米国政府に要求すべき項目を、つれづれなるままに書き連ねてきました。
まだまだアイディアを考え中です。読者の皆様も、何かあったらコメント欄に書いてくださるとうれしいです。
日本国内にある米国債には、それぞれ正当な債権者がいて、なけなしのお金(日本円)をそれに置き換えているのです。だから、「社会益のための”米国債供出運動”」はできても、「日本」として何かを主張しうるというのは、全体主義につながると私は危惧します。
具体的には、米国債を売ろうとして殺到したら、円高+米ドル債券安で2重の損をさらに被ることになります。その個人の損失について、補償が必要になります。
もとをただせば、これらの問題は日本国内でのカネ余りと、信用不安とに原因があります。とりわけ、中小企業に貸しているというだけで、焦げ付きを連想し預金引き出しが相次いだ4~5年前の風潮を思えば、米連邦政府と我々日本の預金者とは共犯関係にあります。
ツベコベ申しましたが、
(3)(4)(6)あと内容によりますが(1)には賛成です。構造協議で議題に出来うる内容でもあるでしょうから……(2)も面白いと思いますが、自動車より飛行機をターゲットにすべきでは?陸運の鉄道への寄与率は、日本よりは高いですので。
((5)は営農規模より、農業の手法の改革に興味があります。種苗を大資本に握られる現状では、気候変動へのリスクに鋭敏になりますから)
>米国債を売ろうとして殺到したら、円高+米ドル債
>券安で2重の損をさらに被ることになります。
もともと米国は米国債に関しては踏み倒すつもりでしょう。あの貿易赤字国は、どうあがいたって返済能力はありません。こちらが一方的にやられるのではなく、「どうせやられるなら、死なばもろとも」という意識を持つべきでしょう。
日本だけじゃ強く出られないので、中国やドイツや中東の産油国などとも連携して、国際的に米国債問題に対処せねばならないと思います。「米国債売却」は、あくまで米国から取るべきものを取るための脅しです。
>米連邦政府と我々日本の預金者とは共犯関係にあります。
おっしゃるとおりだと思います。それゆえ、日本も自分たちの責任を取る形で、債権放棄を受け入れざるを得なくなるでしょう。でも、アメリカにもそれなりの責任を取らせねばならないということです。
日本の政府および商業銀行は、日本の中小企業を次々に破綻させながら、米国の住宅バブルと過剰消費を支えるためにせっせと資金を貢いできたわけです。その罪は万死に値すると思います。
さらに、米国の貿易赤字構造が持続不可能なのは明白なのに、対米輸出にしがみついてきた日本の輸出企業の罪も大きいです。マクロで見れば、対米輸出などなんら日本の利益にならないのに、個々の企業は利益を受けているという錯覚を持ってしまう、そのマクロとミクロの乖離が大問題だと思います。
勿論、ドル債踏み倒しの言い訳としての北米統合です。
You are screwed
http://gabrico-ovalnext.cocolog-nifty.com/blog/
北米連邦~カナダとメキシコ消滅計画が進行中
http://gabrico-ovalnext.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_98dd.html
北米連邦~カナダとメキシコ消滅計画が進行中(2)
http://gabrico-ovalnext.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_03aa.html
米国ではドル崩壊は規定路線でしょう。
中国共産党は、米国の支援により中国の政権を奪取したのであり、中国共産党の生みの親は米国支配層です。
その中国との連携には期待できません。