一週間前にはドイツから帰国していたのですが、仕事が山のように溜まっていたので、新しい記事が書けず申し訳ございませんでした。もうじき出る著書の索引をつくったり、某研究会での発表の準備に追われたりの日々でした。著書は『複雑適応系における熱帯林の再生 ――違法伐採から持続可能な林業へ』(御茶の水書房)というタイトルで来月に出る予定です。専門的な内容なのですが、興味ある方がおりましたら読んで下さるとありがたく存じます。さしあたり、複雑系について興味がある方、熱帯林に興味がある方、コモンズ論に興味のある方、林業に興味のある方、東南アジア(とくにフィリピン)に興味がある方、さらにはフィールド研究全般に興味がある方などを読者として想定しています。もちろんそれ以外の方も読んで下さると大変に嬉しいです。いままで私は共著や分担執筆の本は9冊ほど出しているのですが、最初から最後まで一人で書くという単著を出すのは初めてです。それにしても本の索引をつくる作業があんなに大変とは思わなかった・・・・。
ドイツに行ったのは、今の私の上司である経済学者の宇沢弘文先生にお誘いいただき、調査に同行させていただいたのでした。宇沢先生は、名著『自動車の社会的費用』(岩波新書)を1974年に著して以来、自動車がわがもの顔で人間を押しのけていく状態に警鐘を鳴らし、人間が安心して生活し歩くことができる都市像を探求してきました。今回は、LRT(改良型の路面電車)を発達させつつ、市街地の中心部に自動車をなるべく入れないような都市計画を行なっている先進的な諸都市(フライブルグ、カールスルーエ、ニュルンベルグ)で聞き取りをしてきたのでした。もっとも私は公共交通や都市計画の問題は全くシロートなので、「へー」という具合に感心して話を聞いているだけでした。宇沢一行の中では、「うっかり八兵衛」的な存在だったのかも・・・・。
もっとも公共交通以外でも、赤緑政権(社民と緑の党の連立政権)下でのドイツの自然エネルギー政策とその成果など、いろいろと勉強することができ、私にとっては非常に収穫が大きいものでした。
「何もしない政府が良い政府だ」という小泉政権の下で、日本は自然エネルギーの普及も全く立ち遅れてしまいました。日本はかつてソーラーパネルの生産量が世界一でしたが、小泉政権の無策のあいだ、民意にもとづいた政府計画で普及を計ったドイツに生産量も抜かれてしまったのです。
自然エネルギーの話に関しては、また暇を見つけて書きたいと思います。
ドイツの選挙の結果に関しては、社民党(SPD)とキリスト教民主社会同盟(CDU)の大連立で話が落ち着きそうです。これで緑の党が閣外に出ることになり、自然エネルギーなど環境政策は打撃を受けることになりそうです。ドイツ赤緑政権の崩壊は、私のような環境派にとっては残念な事態ですが、それでもCDUと自由民主党(FDP)による市場原理主義連立政権の誕生よりは若干はましな結果だったとは思います。
ドイツのマスコミも選挙戦の当初は、「ドイツ初の女性首相の誕生だ。メルケルが首相になれば改革が進む。ドイツは国際競争力を回復して立ち直る」などという具合に、まるでどこかの国のような偏向報道をしていたそうです。それでSPDの敗退は決定的と思われていましたが、党首討論でメルケルがシュレーダーにコテンパンに負けてから、メルケルの市場原理主義的改革への不安感が広がり、結局、CDUとFDPは過半数を割ったそうです。ドイツでは、マスコミ報道に流されず、党首討論を見て、自分の頭で政策内容をしっかりと判断して投票先を決めた有権者が多かったということです。日本は・・・・。
<補足>
もっともドイツの場合、日本の小選挙区制のようなひどく非民主的なシステムではなく、比例代表での得票率に基づいて議席の配分がされるのが幸いしています。日本の選挙システムもドイツ式だったら、与党が50%の得票率で議席の3分の2を占めるなんていうメチャクチャな事態にはならなかったはずなのです。逆にドイツの選挙システムが日本式でしたら、やはりCDU・FDP連合が過半数を制していたでしょう。何で日本はあんなに非民主的な選挙制度を導入してしまったのでしょうか??
ドイツに行ったのは、今の私の上司である経済学者の宇沢弘文先生にお誘いいただき、調査に同行させていただいたのでした。宇沢先生は、名著『自動車の社会的費用』(岩波新書)を1974年に著して以来、自動車がわがもの顔で人間を押しのけていく状態に警鐘を鳴らし、人間が安心して生活し歩くことができる都市像を探求してきました。今回は、LRT(改良型の路面電車)を発達させつつ、市街地の中心部に自動車をなるべく入れないような都市計画を行なっている先進的な諸都市(フライブルグ、カールスルーエ、ニュルンベルグ)で聞き取りをしてきたのでした。もっとも私は公共交通や都市計画の問題は全くシロートなので、「へー」という具合に感心して話を聞いているだけでした。宇沢一行の中では、「うっかり八兵衛」的な存在だったのかも・・・・。
もっとも公共交通以外でも、赤緑政権(社民と緑の党の連立政権)下でのドイツの自然エネルギー政策とその成果など、いろいろと勉強することができ、私にとっては非常に収穫が大きいものでした。
「何もしない政府が良い政府だ」という小泉政権の下で、日本は自然エネルギーの普及も全く立ち遅れてしまいました。日本はかつてソーラーパネルの生産量が世界一でしたが、小泉政権の無策のあいだ、民意にもとづいた政府計画で普及を計ったドイツに生産量も抜かれてしまったのです。
自然エネルギーの話に関しては、また暇を見つけて書きたいと思います。
ドイツの選挙の結果に関しては、社民党(SPD)とキリスト教民主社会同盟(CDU)の大連立で話が落ち着きそうです。これで緑の党が閣外に出ることになり、自然エネルギーなど環境政策は打撃を受けることになりそうです。ドイツ赤緑政権の崩壊は、私のような環境派にとっては残念な事態ですが、それでもCDUと自由民主党(FDP)による市場原理主義連立政権の誕生よりは若干はましな結果だったとは思います。
ドイツのマスコミも選挙戦の当初は、「ドイツ初の女性首相の誕生だ。メルケルが首相になれば改革が進む。ドイツは国際競争力を回復して立ち直る」などという具合に、まるでどこかの国のような偏向報道をしていたそうです。それでSPDの敗退は決定的と思われていましたが、党首討論でメルケルがシュレーダーにコテンパンに負けてから、メルケルの市場原理主義的改革への不安感が広がり、結局、CDUとFDPは過半数を割ったそうです。ドイツでは、マスコミ報道に流されず、党首討論を見て、自分の頭で政策内容をしっかりと判断して投票先を決めた有権者が多かったということです。日本は・・・・。
<補足>
もっともドイツの場合、日本の小選挙区制のようなひどく非民主的なシステムではなく、比例代表での得票率に基づいて議席の配分がされるのが幸いしています。日本の選挙システムもドイツ式だったら、与党が50%の得票率で議席の3分の2を占めるなんていうメチャクチャな事態にはならなかったはずなのです。逆にドイツの選挙システムが日本式でしたら、やはりCDU・FDP連合が過半数を制していたでしょう。何で日本はあんなに非民主的な選挙制度を導入してしまったのでしょうか??
実は関さんがドイツに行かれる直前くらいにこのブログを発見し、学ばせて頂いておりました。これからも期待しております。