鬼怒川水害の真相究明も十分になされず、鬼怒川・小貝川の河川整備計画もいまだ策定されない中にあって、国交省にとっては鬼怒川よりも、霞ヶ浦導水事業を継続することの方が重要課題らしい。
鬼怒川を放置しても霞ヶ浦導水事業を優先する国交省
国土交通省の関東地方整備局が「利根川・江戸川河川整備計画」の変更をするという。現在パブコメ実施中である。鬼怒川水害への対策を盛り込むのかと思いきや、新しく計画に盛り込まれたのは総額1900億円の霞ヶ浦導水事業の継続に関する記載についてだった。
私も一応「利根川・江戸川有識者会議」の委員であったが、今回の計画変更に関して、私のところには国交省から何の連絡もなかった。もう有識者会議も開かないらしい。意見を聞かれることはないのだろうが、鬼怒川への対応を最優先せねばならないこの時期に、霞ヶ浦導水の方が大事とは、いったい何を考えているのだと言いたい。
霞ヶ浦導水事は、新規利水の開発などを主目的として、那珂川と霞ヶ浦を結ぶ那珂導水路(43km)を建設するというものである。水あまりの今の時代において全く不要な事業であることは言うまでもない。来年度の予算編成にどうしても盛り込みたいがために、鬼怒川よりもこちらを優先したのだろう。呆れて言葉を失ってしまう。
国交省は現在霞ヶ浦導水を盛り込んだ計画についてパブリックコメントの実施中である。詳しくは以下。11月15日まで。皆さん、ふるって提出しましょう。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000633920.pdf
鬼怒川・小貝川など支川の整備計画を放置してきた国交省
鬼怒川・小貝川の河川整備計画はいまだ策定されていない。本来ならば、利根川・江戸川の河川整備計画と調整しながら、利根川水系全体として河川整備計画を策定せねばならないはずが、支川は切り離されて放置されてきたのだ。
大熊孝先生(新潟大学名誉教授)と私は、2013年の利根川・江戸川有識者会議の際、鬼怒川・小貝川のような支川も含めて利根川水系全体で調整しながら同時に策定すべきであるにも関わらず、なぜ利根川・江戸川の本川ばかり優先して、支川を後回しにするのかと重ねて質問書を出した。結局、国交省関東地整からの回答はないまま、有識者会議を打ち切られてしまった。
以下にその質問書の一部を再掲する。2013年2月14日に提出し、回答がないので、21日に再提出し、それでも回答がないので、3月8日に再度出している。結局回答がないまま議論は打ち切られた。
国交省からは回答がなかったので、僭越ながら、私なりに推測させていただく。
鬼怒川・小貝川などの支川の整備を後回しにして、本川のみを切り離したのは本川にある巨大プロジェクトである八ッ場ダムの本体工事と江戸川スーパー堤防を早急に実施したかったがためであろう。それゆえ大きなプロジェクトのない鬼怒川・小貝川は後回しにして、利根川・江戸川の計画のみ優先したのだろう。
今回、鬼怒川対策より霞ヶ浦導水の継続を優先するのも、どうしても来年度予算に霞ヶ浦導水を盛り込みたいがためであろう。
国交省は国民ではなく、財務省の方を向いて行政を行っていると言わざるを得ない。
以下、回答の得られなかった質問書である。詳細は以下のリンク先の国交省・関東地整HPにある大熊・関配布資料のPDFファイルを参照。
****2013年2月14日大熊・関質問書*******
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000216.html
2013年2月14日提出
2013年2月21日再提出
国土交通大臣 太田 昭宏 様
国土交通省関東地方整備局長 森北 佳昭 様
利根川・江戸川有識者会議委員
新潟大学名誉教授 大熊 孝
拓殖大学准教授 関 良基
(前略)
2006年11月~2008年5月に行われた利根川水系河川整備計画の策定作業では、利根川水系を利根川・江戸川、鬼怒川・小貝川、霞ケ浦、渡良瀬川、中川・綾瀬川の五つのブロックに分け、それぞれに有識者会議を設置し、本川・支川を含めた水系全体の整備計画が策定されようとしていました。
関東地方整備局は今回、利根川水系全体の河川整備計画をなぜ策定しようとしないのでしょうか。なぜ、本川だけの整備計画を先行策定しようとするのでしょうか。
その理由を具体的に説明してください。
(後略)
*****同2013年3月8日質問書****
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000218.html
2013年3月8日
国土交通大臣 太田 昭宏 様
国土交通省関東地方整備局長 森北 佳昭 様
利根川・江戸川有識者会議委員
新潟大学名誉教授 大熊 孝
拓殖大学准教授 関 良基
今回の原案の対象外になっている鬼怒川・小貝川、渡良瀬川、霞ケ浦、中川・綾瀬川の治水安全度をどうするのか、本川との整合性をどうするのかについてお答えください。
また、鬼怒川・小貝川、渡良瀬川、霞ケ浦、中川・綾瀬川それぞれの河川整備計画をいつ策定される予定であるのかを明らかにしてください。
*****引用終わり********
PS なお霞ヶ浦導水事業の問題点などについては、梶原さんの以下の記事をご参照ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/kajiken76xyz/62412073.html
鬼怒川を放置しても霞ヶ浦導水事業を優先する国交省
国土交通省の関東地方整備局が「利根川・江戸川河川整備計画」の変更をするという。現在パブコメ実施中である。鬼怒川水害への対策を盛り込むのかと思いきや、新しく計画に盛り込まれたのは総額1900億円の霞ヶ浦導水事業の継続に関する記載についてだった。
私も一応「利根川・江戸川有識者会議」の委員であったが、今回の計画変更に関して、私のところには国交省から何の連絡もなかった。もう有識者会議も開かないらしい。意見を聞かれることはないのだろうが、鬼怒川への対応を最優先せねばならないこの時期に、霞ヶ浦導水の方が大事とは、いったい何を考えているのだと言いたい。
霞ヶ浦導水事は、新規利水の開発などを主目的として、那珂川と霞ヶ浦を結ぶ那珂導水路(43km)を建設するというものである。水あまりの今の時代において全く不要な事業であることは言うまでもない。来年度の予算編成にどうしても盛り込みたいがために、鬼怒川よりもこちらを優先したのだろう。呆れて言葉を失ってしまう。
国交省は現在霞ヶ浦導水を盛り込んだ計画についてパブリックコメントの実施中である。詳しくは以下。11月15日まで。皆さん、ふるって提出しましょう。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000633920.pdf
鬼怒川・小貝川など支川の整備計画を放置してきた国交省
鬼怒川・小貝川の河川整備計画はいまだ策定されていない。本来ならば、利根川・江戸川の河川整備計画と調整しながら、利根川水系全体として河川整備計画を策定せねばならないはずが、支川は切り離されて放置されてきたのだ。
大熊孝先生(新潟大学名誉教授)と私は、2013年の利根川・江戸川有識者会議の際、鬼怒川・小貝川のような支川も含めて利根川水系全体で調整しながら同時に策定すべきであるにも関わらず、なぜ利根川・江戸川の本川ばかり優先して、支川を後回しにするのかと重ねて質問書を出した。結局、国交省関東地整からの回答はないまま、有識者会議を打ち切られてしまった。
以下にその質問書の一部を再掲する。2013年2月14日に提出し、回答がないので、21日に再提出し、それでも回答がないので、3月8日に再度出している。結局回答がないまま議論は打ち切られた。
国交省からは回答がなかったので、僭越ながら、私なりに推測させていただく。
鬼怒川・小貝川などの支川の整備を後回しにして、本川のみを切り離したのは本川にある巨大プロジェクトである八ッ場ダムの本体工事と江戸川スーパー堤防を早急に実施したかったがためであろう。それゆえ大きなプロジェクトのない鬼怒川・小貝川は後回しにして、利根川・江戸川の計画のみ優先したのだろう。
今回、鬼怒川対策より霞ヶ浦導水の継続を優先するのも、どうしても来年度予算に霞ヶ浦導水を盛り込みたいがためであろう。
国交省は国民ではなく、財務省の方を向いて行政を行っていると言わざるを得ない。
以下、回答の得られなかった質問書である。詳細は以下のリンク先の国交省・関東地整HPにある大熊・関配布資料のPDFファイルを参照。
****2013年2月14日大熊・関質問書*******
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000216.html
2013年2月14日提出
2013年2月21日再提出
国土交通大臣 太田 昭宏 様
国土交通省関東地方整備局長 森北 佳昭 様
利根川・江戸川有識者会議委員
新潟大学名誉教授 大熊 孝
拓殖大学准教授 関 良基
(前略)
2006年11月~2008年5月に行われた利根川水系河川整備計画の策定作業では、利根川水系を利根川・江戸川、鬼怒川・小貝川、霞ケ浦、渡良瀬川、中川・綾瀬川の五つのブロックに分け、それぞれに有識者会議を設置し、本川・支川を含めた水系全体の整備計画が策定されようとしていました。
関東地方整備局は今回、利根川水系全体の河川整備計画をなぜ策定しようとしないのでしょうか。なぜ、本川だけの整備計画を先行策定しようとするのでしょうか。
その理由を具体的に説明してください。
(後略)
*****同2013年3月8日質問書****
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000218.html
2013年3月8日
国土交通大臣 太田 昭宏 様
国土交通省関東地方整備局長 森北 佳昭 様
利根川・江戸川有識者会議委員
新潟大学名誉教授 大熊 孝
拓殖大学准教授 関 良基
今回の原案の対象外になっている鬼怒川・小貝川、渡良瀬川、霞ケ浦、中川・綾瀬川の治水安全度をどうするのか、本川との整合性をどうするのかについてお答えください。
また、鬼怒川・小貝川、渡良瀬川、霞ケ浦、中川・綾瀬川それぞれの河川整備計画をいつ策定される予定であるのかを明らかにしてください。
*****引用終わり********
PS なお霞ヶ浦導水事業の問題点などについては、梶原さんの以下の記事をご参照ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/kajiken76xyz/62412073.html