同じ反緊縮積極財政でも、ベーシックサービスやグリーンニューディールに使うならよいが、日本のMMT論者の主張のようにベーッシクインカムや国土強靭化に使うのであればインフレのスパイラルを引き起こし、国を滅ぼし、環境を破滅に導く。年末にyoutuberのじゅんちゃんの「哲学入門チャンネル」に呼ばれた際、私はこのように論じてきた。
なぜ国土強靭化はダメでグリーンニューディールならよいのか、要領よくまとめておられたsiroutoさんという方がおられます。その中で、私の論点も紹介して下さっていた。ありがとうございました。
日本に熱病の如く広がっているMMT論者の主張を見ると本当に危険だと思う。彼らの言う事を聞いた先には地獄しか待っていないと断言できる。他方で、こうした幅の広い視野をもち、健全な感性で、正しい未来像を描いている方々もいるのだと思うと、ちょっと安心する。
以下のリンク先である。紹介させていただきます。ぜひご覧いただきたい。
反緊縮/MMT論者による(日本版)MMT批判! ――日米MMTの違いと、「グリーン・ニューディール」に関する議論の紹介
https://togetter.com/li/1657279
siroutoさんの主張の骨子は以下のようなもの。
**************
*日本でMMTが流行すれば、「政府はいくら国債を発行しても破綻しない」ということだけが一面的に強調され、自民党主導の土建国家路線が再生されるだけであろう。
*金はいくらでも刷れるが、実物資源の制約は不変。金を刷ることによって、人手不足は解消しない。
*いったんインフレ目標に達すれば、財政拡張を続けることはできなくなる。MMTでも、インフレ率(実物資源の制約)は無視できない。
*だとすれば、なるべく後で役立つ分野に投資すべきだろう。たとえば、原油の輸入依存を減らす再生エネルギーだったり、医療・介護のロボットやAIだったり。
***************
まったく同感である。金を刷ってバラまいたところで、人手不足が解消されるわけではないし、安価なエネルギーがどこからか湧いて出てくるわけでもない。
MMT論者は、債務残高の制約を受けずに、政府は通貨を発行し、財政拡大をすることが可能であると主張する。ただし、それはインフレのスパイラルを起こさない範囲という、明確な上限規制がある。
ベーシックインカムや、利権まみれの国土強靭化のためのバラまきを行えば、すぐに上限を突破して、インフレスパイラルに帰結するだろう。それに対して、同じ資金であっても、社会的共通資本を整備してベーシックサービスを供給したり、温室効果ガス排出ゼロのため、再エネ100%の実現のためのグリーンニューディールに使うのであれば、インフレを引き起こさない。その理由は以下の通り。
人手不足と資源の枯渇という二大制約条件のうち、人手不足については、確かにAIを用いた労働生産性の向上が、ある程度は代替するだろう。しかし、地下資源の絶対量の不足は、どうやったって克服できやしない。希少資源を大量に用いるAIロボットによる代替は、レアメタルなどの資源価格の高騰から、AIやロボットそのもののインフレに帰結するだろう。
地球に存在する資源量と環境キャパシティーの物理的制約だけは、突破することは不可能だ。資源・環境制約があるから、いくらIT技術やAI技術が発達したところで、生産性の無限な解放というのは不可能なのだ(月や火星の開拓でもすれば別だが、それはまだかなり未来の話で、喫緊の解決策ではない)。
MMTでカネをバラまいて、ベーシックインカムや輸入資源多投型の土建ケインジアン路線を繰り広げれば、ただちにインフレに帰結するだろう。供給量が増えないのに、マネーだけ増えればインフレスパイラルに陥るのは当たり前だ。
そうならないための方策はただ一つである。輸入に頼る枯渇性の化石燃料の使用量をゼロを目指し、資源制約を受けないエネルギーや財やサービスの供給に投資を振り向けること、再生可能エネルギー100%を実現することである。枯渇しないのは再生可能エネルギー/資源のみなのだ。枯渇性資源は使い続ければ必ずや資源減少からインフレを起こすが、永続的に使用可能な再生可能エネルギーならば、資源減少からのインフレは原理的に発生し得ない。技術の進展とともに、必ず価格は低下していくのである。
また、レアメタルや鉄やアルミなどの金属資源に関しては、完全にリサイクルし、新規採掘を限りなくゼロに近づける定常社会を目指さねばならない。それらを実現するため、政府投資を集中させるのがグリーンニューディールだ。それが資源量の制約から発生するインフレを回避する唯一の方法だろう。
ベーシックインカムも供給を増やさず需要だけ増やすので、必ずやインフレの原因になる。しかしその財源を、社会的共通資本が生み出す生活必需性の高い財(医療、教育、エネルギー、食糧、水、住宅)を市場原理から切り離し、安価に安定供給するというベーシックサービスの実現に用いるのであれば、もちろんインフレにはならないのだ。
なぜ国土強靭化はダメでグリーンニューディールならよいのか、要領よくまとめておられたsiroutoさんという方がおられます。その中で、私の論点も紹介して下さっていた。ありがとうございました。
日本に熱病の如く広がっているMMT論者の主張を見ると本当に危険だと思う。彼らの言う事を聞いた先には地獄しか待っていないと断言できる。他方で、こうした幅の広い視野をもち、健全な感性で、正しい未来像を描いている方々もいるのだと思うと、ちょっと安心する。
以下のリンク先である。紹介させていただきます。ぜひご覧いただきたい。
反緊縮/MMT論者による(日本版)MMT批判! ――日米MMTの違いと、「グリーン・ニューディール」に関する議論の紹介
https://togetter.com/li/1657279
siroutoさんの主張の骨子は以下のようなもの。
**************
*日本でMMTが流行すれば、「政府はいくら国債を発行しても破綻しない」ということだけが一面的に強調され、自民党主導の土建国家路線が再生されるだけであろう。
*金はいくらでも刷れるが、実物資源の制約は不変。金を刷ることによって、人手不足は解消しない。
*いったんインフレ目標に達すれば、財政拡張を続けることはできなくなる。MMTでも、インフレ率(実物資源の制約)は無視できない。
*だとすれば、なるべく後で役立つ分野に投資すべきだろう。たとえば、原油の輸入依存を減らす再生エネルギーだったり、医療・介護のロボットやAIだったり。
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まったく同感である。金を刷ってバラまいたところで、人手不足が解消されるわけではないし、安価なエネルギーがどこからか湧いて出てくるわけでもない。
MMT論者は、債務残高の制約を受けずに、政府は通貨を発行し、財政拡大をすることが可能であると主張する。ただし、それはインフレのスパイラルを起こさない範囲という、明確な上限規制がある。
ベーシックインカムや、利権まみれの国土強靭化のためのバラまきを行えば、すぐに上限を突破して、インフレスパイラルに帰結するだろう。それに対して、同じ資金であっても、社会的共通資本を整備してベーシックサービスを供給したり、温室効果ガス排出ゼロのため、再エネ100%の実現のためのグリーンニューディールに使うのであれば、インフレを引き起こさない。その理由は以下の通り。
人手不足と資源の枯渇という二大制約条件のうち、人手不足については、確かにAIを用いた労働生産性の向上が、ある程度は代替するだろう。しかし、地下資源の絶対量の不足は、どうやったって克服できやしない。希少資源を大量に用いるAIロボットによる代替は、レアメタルなどの資源価格の高騰から、AIやロボットそのもののインフレに帰結するだろう。
地球に存在する資源量と環境キャパシティーの物理的制約だけは、突破することは不可能だ。資源・環境制約があるから、いくらIT技術やAI技術が発達したところで、生産性の無限な解放というのは不可能なのだ(月や火星の開拓でもすれば別だが、それはまだかなり未来の話で、喫緊の解決策ではない)。
MMTでカネをバラまいて、ベーシックインカムや輸入資源多投型の土建ケインジアン路線を繰り広げれば、ただちにインフレに帰結するだろう。供給量が増えないのに、マネーだけ増えればインフレスパイラルに陥るのは当たり前だ。
そうならないための方策はただ一つである。輸入に頼る枯渇性の化石燃料の使用量をゼロを目指し、資源制約を受けないエネルギーや財やサービスの供給に投資を振り向けること、再生可能エネルギー100%を実現することである。枯渇しないのは再生可能エネルギー/資源のみなのだ。枯渇性資源は使い続ければ必ずや資源減少からインフレを起こすが、永続的に使用可能な再生可能エネルギーならば、資源減少からのインフレは原理的に発生し得ない。技術の進展とともに、必ず価格は低下していくのである。
また、レアメタルや鉄やアルミなどの金属資源に関しては、完全にリサイクルし、新規採掘を限りなくゼロに近づける定常社会を目指さねばならない。それらを実現するため、政府投資を集中させるのがグリーンニューディールだ。それが資源量の制約から発生するインフレを回避する唯一の方法だろう。
ベーシックインカムも供給を増やさず需要だけ増やすので、必ずやインフレの原因になる。しかしその財源を、社会的共通資本が生み出す生活必需性の高い財(医療、教育、エネルギー、食糧、水、住宅)を市場原理から切り離し、安価に安定供給するというベーシックサービスの実現に用いるのであれば、もちろんインフレにはならないのだ。
私は、ベーシックインカムにも一理あると考えています。私の認識では、現状のマクロ経済政策は、ゼロよりはるか低いマイナスの段階であり、穴を掘って埋める方がまだましです。現在の緊縮(虐殺)財政が、ある程度まともになるまでは、ベーシックインカムにもある程度の効果があると考えます。
MMT(現代貨幣理論)自体は一理あるはずなんですよね。問題は公共投資などをいかに資源的に持続可能なものにするかです。
>現状のマクロ経済政策は、ゼロよりはるか低いマイナスの段階であり、穴を掘って埋める方がまだましです。
う~んどうですかね。「穴を掘って埋める」ことが、最終的に持続不可能に追いやってしまうのなら、やっぱりせっかくのMMTも水の泡になってしまうでしょう。そこは相当危ういでしょう。
>現在の緊縮(虐殺)財政が、ある程度まともになるまでは、ベーシックインカムにもある程度の効果があると考えます。
それも分かります。ただ、個人的にはベーシックインカムよりも、生活保護を充実させるべきだと思います。セーフティーネットはあくまでもベーシックインカムではなくてあくまでも生活保護です。
この点、12434さんの指摘に同感で、資源枯渇と人材不足を解決する方向にお金を使わないと、当面はヘリコプターマネーで、よくても結局はインフレに帰結すると思います。
資金を出すときは、環境改善、資源の持続的利用、貧困緩和、食料、医療、教育など「社会的共通資本」部門に限るべきと思います。
ベーッシクインカムだと何に使われるか分からないので、私は承認できません。
私が気にしているのは、1にも2にも時間です。
マクロ経済の所得は、ミクロ経済の支出の結果であることからすると、緊縮財政というのは、相手が見えないだけで、首吊りの脚の引っ張り合い、殺し合いに他なりません。だから、緊縮(虐殺)財政と書いています。
そうすると、緊縮財政で失われる命は、少なく見積もっても、年間数万人に昇るでしょう。この数を大きく減らさない限り、惰眠を貪っていると言われてもしかたないのではないでしょうか。
>私が気にしているのは、1にも2にも時間です。
ただでさえ消費増税のせいで経済が壊されていたところに、コロナ自粛で追い打ちを受けましたからね。そのお気持ちは本当によくわかります。そういう状況を踏まえればベーシックインカムも一理あるでしょう。
個人的にはもう一度、一人当たり一律の10万円給付を実施して欲しいです。あとは一時的でいいから消費税を軽減税率0%にするのもありでしょう。
その一方で株で、億単位の不労所得を得ている人びとが激増してるのですから世も末です。
株式売却益に50%の課税をして、それを財源に年収300万円以下の層に限って、現金給付を行うという政策ならば賛成します。金持ちに現金給付するのは社会悪だと思います。