前回の記事の続きです。前の記事のコメント欄で、山澤さんがG・エドワード・グリフィン著(吉田利子訳)『マネーを生み出す怪物 -連邦準備制度という壮大な詐欺システム-』(草思社)という本を紹介してくださいました。面白そうだと思って読んでおります。私の目から見て、著者の主張は「半分支持できて、半分支持できない」というものです。間違っていると思う主張も多いのですが、FRS(米国の連邦準備制度)やIMFは「ウォール街の金融資本家によるカルテル組織だ」という主張などは、まずは当たっていると思います。
グリフィン氏は一見複雑に見える事実を、分かりやすく核心的にえぐり出す能力に優れており、面白い本ではあることは間違いありません。たとえば、この稿で話題にしてる米国の貿易赤字問題に関しては、以下のような記述をしています。
<引用開始>
「偽札という選択肢が可能なのは、その国の通貨が国際貿易の決済手段として受け入れられる場合だけで、アメリカはそういう特別な国だ。この場合、その国は無から通貨を創出することができるし、他の国々はその通貨を受け入れるしかない。そこでアメリカは稼ぐより多くのマネーを何年も使いつづけ、FRSが必要なドルをつくりだしてきた。
(中略)
FRSによって多額のドルが創出された事実にもかかわらず、外国人のドル需要は天井知らずのように見えた。その結果、アメリカは貿易赤字を自国の不換紙幣で -言ってみれば偽札で- 埋めることができたのだが、これは世界の他の国々には考えられない力技だった。
(中略)
じつはアメリカは貿易赤字になってもまったく損はない。それどころか損をするのは貿易相手国で、こちらは得をする。こっちは自動車やテレビを手に入れられるのに、向こうはあやしいマネーをつかむのだから。こちらは実体を手にする。向こうが手にするのは紙切れだ。
ただ、この交換には暗い側面がある。ドルが決済通貨として高い評価を得ているかぎりは、アメリカは稼ぐより多くのマネーを使い続けられる。だが、やがて運命のときが来て -そのときは必ずくるだろう- ドルが崩壊し、外国人がドルを欲しがらなくなれば、ただ乗りは終わる。」
G・エドワード・グリフィン、前掲書、124-125頁。
<引用終わり>
これは核心をえぐる記述です。「日本や中国は米国からの貿易黒字によって、実際には損をしているのだ」と私が主張するのも、こういう理由です。私は、グリフィン氏ほど過激ではないので、「偽札」とまでは言いませんが、米ドル刷は、遅かれ早かれ、その価値が2分の1程度にまで暴落することが約束されているという、世界でもっともリスクの高い「商品」であると思います。
日本は、この紙キレを継続して手に入れようとするがあまり、米国の「構造改革」要求を着実に受け入れざるを得なくなり、自国の伝統文化の核心である農業と農村を着実に破壊し、社会の安定性や安全性も犠牲にし、ボロボロにされてしまったのです。まさに米国は、「肉を切らせて骨を断つ」戦略によって、日本の破壊に成功してきたといえるかも知れません。ですから私は、「これ以上、米国から貿易黒字を得ようとすべきではない」と声高に主張するわけです。
もちろん、米国が「輪転機」の力を駆使して、日本製品や中国製品を手に入れようとする影で、米国の製造業労働者は大変な打撃を被ってきました。米国の労働組合のAFL-CIOの試算では、米国は中国からの輸入の急増によって、1989年から2003年までに150万人の雇用を失ったとのことです。これは大変な数字です。
一方で、中国は米国から加えられる農業自由化圧力の結果、9億人の農村人口の生活を不安定化させているわけです。
ちなみに米国は、全就業人口の中で、一次産業人口の割合は2.5%程度なのに対し、二次産業人口の割合は22%です。中国の場合、一次産業人口の割合は50%で、二次産業人口は18%です。
中国と米国の自由貿易は、お互いの社会において最重要な多数派の人口(米国の製造業労働者と中国の農民)を攻撃し合って、お互いに社会を不安定化させていると言ってよいでしょう。
米国の労働組合でも、そして議員の中でも、中国が人民元の切り上げを認められないのなら、米国は中国の工業製品に対して50%の制裁関税をかけるという主張が勢いを得ています。
中国としては、絶対に人民元の切り上げは認められないでしょう。既に中国はWTO加盟によって、穀物関税を15%にまで削減しました。その結果、中国の穀物の国内価格よりも、輸入穀物の価格の方が安くなってしまったのです。これで中国の農村の安定性は危機的な状況にあります。
かりに米国の要求に従って、人民元を20%切り上げるということは、農業関税をさらに20%削減するのと同じことを意味します。これでは農民が耐えられませんから、中国政府がアホでない限り、人民元の切り上げには決して応じられないわけです。中国では、農民の大規模反乱は、体制崩壊の序幕を意味するからです。それは、まさに自分たち自身が農民反乱によって政権を取った共産党だから、一番よく分かっていることでしょう。幸い、朱鎔基や温家宝といった最近の首相は、この点をよく分かっていました。中国では「下放」を経験した世代は、農民の気持ちをよく理解しています。「ポスト下放世代」が権力を握ったときには、いよいよ危ないかも知れません。
さて、解決策はあるでしょうか。米国政府も中国政府もともにアホでないのなら、米国は中国の工業製品に対し50%の関税を、そして中国は米国の穀物に対して50%の関税を相互にかけ合うという紳士協定でも結ぶべきだと思います。
それとも、米国の世界戦略が「肉を切らせて骨を断つ」にあり、あくまでも中国の不安定化を望むのでしたら、自国の工業労働者の生活を犠牲にしてでも、あくまで中国に穀物の輸出攻勢をかけるかも知れませんが・・・・。
中国は、一世帯あたりの平均所有規模が0.5ha程度しかないという世界でもっとも零細な農地所有構造をもちます。(何せ古代の農業文明の中で唯一継続している文明であり、同じ土地で3000年間も農業をやってきましたので・・・・。)
中国は驚くべきことに、世界の全農地面積の7%ほどの農地しか持たないのに、世界人口の22%も占める自国民を食べさせてきました。世界は、この事実だけでも、中国に「恩の字」だと思います。かりに、中国が本格的な食糧輸入国になったら、世界における飢餓の発生頻度は、飛躍的に高まるでしょう。
私は、これまでアジアの農村でフィールドワークをすることが多かったのですが、他の途上国に比べて中国の農村が何といっても優れている点が一つだけあります。それは、村を単位として農地が均等に分配されているため、一戸一戸は零細であっても、地主=小作の階層対立は存在しないし、土地なし農民もいないという事実です。フィリピンの農村などに行けば、だいたい30%ほどの世帯は土地なし農民なのです。
いまやWTO加盟の中で、中国農業が国際競争力をつけるためには、零細農民たちの土地使用権を奪って、農業の大規模化を実現するしかないという状況に追い込まれています。土地使用権の剥奪が常態化すれば、間違いなく農民は反乱を起こすでしょう。
ちなみに中国の農民は、世界の全農民の40%ほどを占めます。世界の農民の40%が動乱に及べば、世界の安定は確実に揺らぐでしょう。
世界の安定(食糧供給の安定と農民生活の安定)のためには、WTOも米国も、中国が「不効率」な超零細に平等分割された、社会主義的な土地所有構造を維持しつつ、自国農業を保護しながら国内自給を達成するという、従来の政策の継続を認めるべきだと思うのです。如何でしょうか。
それがイヤなら、米国は、中国の農村で発生した余剰労働力を、1億人ほどでも自国に招きいれて農地を与えるべきでしょうね。いわばアメリカの大規模農業経営と中国の零細農業経営を相殺するための、世界規模での農地改革(農地の再分配政策)です。
グリフィン氏は一見複雑に見える事実を、分かりやすく核心的にえぐり出す能力に優れており、面白い本ではあることは間違いありません。たとえば、この稿で話題にしてる米国の貿易赤字問題に関しては、以下のような記述をしています。
<引用開始>
「偽札という選択肢が可能なのは、その国の通貨が国際貿易の決済手段として受け入れられる場合だけで、アメリカはそういう特別な国だ。この場合、その国は無から通貨を創出することができるし、他の国々はその通貨を受け入れるしかない。そこでアメリカは稼ぐより多くのマネーを何年も使いつづけ、FRSが必要なドルをつくりだしてきた。
(中略)
FRSによって多額のドルが創出された事実にもかかわらず、外国人のドル需要は天井知らずのように見えた。その結果、アメリカは貿易赤字を自国の不換紙幣で -言ってみれば偽札で- 埋めることができたのだが、これは世界の他の国々には考えられない力技だった。
(中略)
じつはアメリカは貿易赤字になってもまったく損はない。それどころか損をするのは貿易相手国で、こちらは得をする。こっちは自動車やテレビを手に入れられるのに、向こうはあやしいマネーをつかむのだから。こちらは実体を手にする。向こうが手にするのは紙切れだ。
ただ、この交換には暗い側面がある。ドルが決済通貨として高い評価を得ているかぎりは、アメリカは稼ぐより多くのマネーを使い続けられる。だが、やがて運命のときが来て -そのときは必ずくるだろう- ドルが崩壊し、外国人がドルを欲しがらなくなれば、ただ乗りは終わる。」
G・エドワード・グリフィン、前掲書、124-125頁。
<引用終わり>
これは核心をえぐる記述です。「日本や中国は米国からの貿易黒字によって、実際には損をしているのだ」と私が主張するのも、こういう理由です。私は、グリフィン氏ほど過激ではないので、「偽札」とまでは言いませんが、米ドル刷は、遅かれ早かれ、その価値が2分の1程度にまで暴落することが約束されているという、世界でもっともリスクの高い「商品」であると思います。
日本は、この紙キレを継続して手に入れようとするがあまり、米国の「構造改革」要求を着実に受け入れざるを得なくなり、自国の伝統文化の核心である農業と農村を着実に破壊し、社会の安定性や安全性も犠牲にし、ボロボロにされてしまったのです。まさに米国は、「肉を切らせて骨を断つ」戦略によって、日本の破壊に成功してきたといえるかも知れません。ですから私は、「これ以上、米国から貿易黒字を得ようとすべきではない」と声高に主張するわけです。
もちろん、米国が「輪転機」の力を駆使して、日本製品や中国製品を手に入れようとする影で、米国の製造業労働者は大変な打撃を被ってきました。米国の労働組合のAFL-CIOの試算では、米国は中国からの輸入の急増によって、1989年から2003年までに150万人の雇用を失ったとのことです。これは大変な数字です。
一方で、中国は米国から加えられる農業自由化圧力の結果、9億人の農村人口の生活を不安定化させているわけです。
ちなみに米国は、全就業人口の中で、一次産業人口の割合は2.5%程度なのに対し、二次産業人口の割合は22%です。中国の場合、一次産業人口の割合は50%で、二次産業人口は18%です。
中国と米国の自由貿易は、お互いの社会において最重要な多数派の人口(米国の製造業労働者と中国の農民)を攻撃し合って、お互いに社会を不安定化させていると言ってよいでしょう。
米国の労働組合でも、そして議員の中でも、中国が人民元の切り上げを認められないのなら、米国は中国の工業製品に対して50%の制裁関税をかけるという主張が勢いを得ています。
中国としては、絶対に人民元の切り上げは認められないでしょう。既に中国はWTO加盟によって、穀物関税を15%にまで削減しました。その結果、中国の穀物の国内価格よりも、輸入穀物の価格の方が安くなってしまったのです。これで中国の農村の安定性は危機的な状況にあります。
かりに米国の要求に従って、人民元を20%切り上げるということは、農業関税をさらに20%削減するのと同じことを意味します。これでは農民が耐えられませんから、中国政府がアホでない限り、人民元の切り上げには決して応じられないわけです。中国では、農民の大規模反乱は、体制崩壊の序幕を意味するからです。それは、まさに自分たち自身が農民反乱によって政権を取った共産党だから、一番よく分かっていることでしょう。幸い、朱鎔基や温家宝といった最近の首相は、この点をよく分かっていました。中国では「下放」を経験した世代は、農民の気持ちをよく理解しています。「ポスト下放世代」が権力を握ったときには、いよいよ危ないかも知れません。
さて、解決策はあるでしょうか。米国政府も中国政府もともにアホでないのなら、米国は中国の工業製品に対し50%の関税を、そして中国は米国の穀物に対して50%の関税を相互にかけ合うという紳士協定でも結ぶべきだと思います。
それとも、米国の世界戦略が「肉を切らせて骨を断つ」にあり、あくまでも中国の不安定化を望むのでしたら、自国の工業労働者の生活を犠牲にしてでも、あくまで中国に穀物の輸出攻勢をかけるかも知れませんが・・・・。
中国は、一世帯あたりの平均所有規模が0.5ha程度しかないという世界でもっとも零細な農地所有構造をもちます。(何せ古代の農業文明の中で唯一継続している文明であり、同じ土地で3000年間も農業をやってきましたので・・・・。)
中国は驚くべきことに、世界の全農地面積の7%ほどの農地しか持たないのに、世界人口の22%も占める自国民を食べさせてきました。世界は、この事実だけでも、中国に「恩の字」だと思います。かりに、中国が本格的な食糧輸入国になったら、世界における飢餓の発生頻度は、飛躍的に高まるでしょう。
私は、これまでアジアの農村でフィールドワークをすることが多かったのですが、他の途上国に比べて中国の農村が何といっても優れている点が一つだけあります。それは、村を単位として農地が均等に分配されているため、一戸一戸は零細であっても、地主=小作の階層対立は存在しないし、土地なし農民もいないという事実です。フィリピンの農村などに行けば、だいたい30%ほどの世帯は土地なし農民なのです。
いまやWTO加盟の中で、中国農業が国際競争力をつけるためには、零細農民たちの土地使用権を奪って、農業の大規模化を実現するしかないという状況に追い込まれています。土地使用権の剥奪が常態化すれば、間違いなく農民は反乱を起こすでしょう。
ちなみに中国の農民は、世界の全農民の40%ほどを占めます。世界の農民の40%が動乱に及べば、世界の安定は確実に揺らぐでしょう。
世界の安定(食糧供給の安定と農民生活の安定)のためには、WTOも米国も、中国が「不効率」な超零細に平等分割された、社会主義的な土地所有構造を維持しつつ、自国農業を保護しながら国内自給を達成するという、従来の政策の継続を認めるべきだと思うのです。如何でしょうか。
それがイヤなら、米国は、中国の農村で発生した余剰労働力を、1億人ほどでも自国に招きいれて農地を与えるべきでしょうね。いわばアメリカの大規模農業経営と中国の零細農業経営を相殺するための、世界規模での農地改革(農地の再分配政策)です。
三國陽夫著の「黒字亡国」という新書があります。あるいは同氏の「円デフレ」もグリフィン氏と同様の内容を主張しています。
でも、それが破綻したときには…アメリカはいつでもカナダ以外の国境を核兵器も利用して完全に閉ざして天然痘をばらまき、世界各地への種籾と食料の供給を止めて石油と食料が自給できるヨーロッパとアメリカ+カナダだけが文明を維持し、他は大量死に任せて世界全体の人口を低いレベルに戻すという最後の手段をとることができます。
そうなってもアメリカはそれほど困らない以上…キリスト教がしみついていて、非西欧人全てを切り捨てる言い訳は建国以来できているので…脅しでアメリカを動かすことはできないのでは。
世界を崩壊させないほうが、世界全体で協力して「人類文明の幸福な(一人の餓死も選別もない)存続のための総力戦(戦争の代わりにエネルギー革命、世界大緑化で物、労働力双方の需要を稼ぎ、代わりに全員の生存を保障する)」に向かうほうがアメリカにとっても利益になる、とするほかないのでは。
ついでに、素朴な疑問ですが…農地改革、多数の土地所有零細農民というのは生産性、持続可能性、従事者の収入の三つとも常に最善でしょうか?
例えば農地改革の優等生である日本はどうでしょう。
日本の農業にも問題は多いと思うのですが。また、農業の生産性、持続可能性、従事者収入の三者とも高い優等生はどこでしょうか。
もちろん僕は、大規模地主制が一般に粗放で非効率、持続可能性の低い農法を行うことは理解しています。
どの程度の規模、どのようなシステムが、生産性も持続可能性も従事者収入も高めることができるでしょう。
ちなみに釈迦に説法と思いますが、中国は、過去幾度も統一王朝→崩壊→動乱→再統一のサイクルを繰り返してきました。
その際、大地主に土地が集中、小農が没落する社会の傾向も繰り返されているようです。
あと、中国は確かに少ない農地で多くの人口を養ってきたことは確かですが、中国文明自体の持続可能性についての評価はどうでしょう。確かに農耕文明自体は数千年持続させていますが、森林破壊はきわめて深刻です。
○緑化もきちんとやって持続可能な農業を行って
自給自足をしているところに褒美を出す。
できれば日本の昔の里のように、森と田畑が
統合された準閉鎖持続生態系が望ましい。
それなら労働需要もかなり必要になり、また
安定した社会が必要。
それに褒美として持続可能性を損なわない程度の
多少の化学肥料とエネルギーが与えられ、それが
それなりの高付加価値換金作物を生み出して
収益になる。
○関税より食料の大量移動と持続可能性が低い
大規模農法に対する関税とする(フードマイレージ
の石油、化石水や水準以上の農薬を用いる農法で
作られたものには高額の関税をかける)。
もちろんアメリカも、中国が環境や著作権を
損なったり奴隷労働で作ったりしているものには
容赦なく超高率関税でお返しする。
○ただし、持続可能性を確保するには農村に
都市の分もたくさん食料を作れ、とせっつくわけには
いかないので、そこは輸入もあり。
>世界を崩壊させないほうが、…アメリカにとっても利益になる、とするほかないのでは。
本当にそう思います。米国にひたすら理性の力をもって訴えるしかありませんね。あの国の惨状を一番憂いているのは、他ならぬ米国内の良心ある市民たちだと思いますから。
>農地改革、多数の土地所有零細農民というのは生産性、持続可能性、従事者の収入の三つとも常に最善でしょうか?
難しい質問ですねー。小規模農業でも環境に悪い農業もありますし、大規模でも環境にやさしい農業はあり得るとは思います。しかし、一般的には大規模経営の方が生態系に配慮しない農法が展開され、小規模で零細な農家が土と向かいあっている場合は、生態系にも優しい農法が展開されている場合が多いと思います。
私は、基本的には、「規模拡大による効率化」という市場原理主義からの要求を拒絶し、世界各国が農地改革を徹底的に行なって自作農民による小規模家族経営を実現することが、人間にも地球環境にももっとも優しいと思っています。
>どの程度の規模、どのようなシステムが、生産性も持続可能性も従事者収入も高めることができるでしょう。
これは世界各国の気候条件、生態条件によってそれぞれ大きく異なると思います。山からの水流に依存するアジアの灌漑稲作農業ならば、世帯当たり1haぐらいで生態的にも家計的にも最適だと思います。(市場原理主義からの理不尽な要求さえなければ)
ヨーロッパ型の畑作農業ならば、世帯あたり20ha以上は必要でしょう。
各地域の最適農業は、各地域の生態条件や文化がそれぞれ決めることだと思います。
>中国文明自体の持続可能性についての評価はどうでしょう。
華北平原の地下水などは、過剰くみ上げでかなりヤバイみたいです。でも曲りなりにも3000年間農業を続けてこれたのは、人糞の利用や、小規模な有畜複合経営など、東アジア(中国、朝鮮半島、日本)の灌漑稲作農業が、世界に冠として持続性に優れたものだったからだと思います。
近代農法で持続性は脅かされたわけですから、やはり伝統的有機農業を再評価せねばならないと思います。
じつはアメリカよりも日本の方が、水条件一つにしても農業の適地なのだということは声を大にして言わねばと思います。
中国の山の急斜面は、毛沢東のおかげでメチャクチャに開墾されてしまったので、これはなるべく林地に戻そうという、中国政府の現政策は、基本的に正しいと思います。しかし、実際に耕している農家の生活とどのように折り合いをつけるかというのが最大の問題です。(これが、現在の私の研究課題なのです)。
「持続不可能税」の発想は、大賛成ですが、実際に税率を計算する段階になると、「国益」が計算プロセスに反映されて、政治問題になり相当にもめそうですね。
とりあえず米国と中国のあいだでは、紳士協定で、中国が米国産穀物から50%関税、米国が中国産工業製品に対して50%関税を相互にかけ合う、といった線がややこしくなくて現実的だと思います。
円を垂れ流しています 小泉後継を名乗る人たちは外貨準備と言う名の使えない米国財務省証券の山(70兆円ほどは米国の金庫に保管されているとか)の処分と国地方合計1000兆円の債務をどう処理するか明らかにしなければいけません 又ご指摘の様に世界的食料不足は目の前で日本の農業の再生は避けて通れないところです 又寄らせてもらいます
破局へと向かいつつある現行の自由貿易体制に対する批判と代替案の提示は、今後とも続けていきたいと思います。またTBやコメントのやりとりができると嬉しく存じます。よろしくお願いいたします。