昨日の記事で、「他の途上国の農村と比べて中国の農村が優れている点が一つある。それは村を単位として農地が世帯ごとに均等に分割されているため、地主=小作の対立が存在しないし、土地なし農民も存在しないことだ」と記述いたしました。その点に関してちょっと補足します。私は現在、貴州省で継続的に植林に関する研究をしているのですが、「さすがは社会主義だ」と思わず感嘆してしまうという経験を何度かしています。本日は、そうしたエピソードを一つ紹介いたします。これから書くことは、日本のようにローマ法的な土地所有制度を持つ資本主義国では決して発生し得ないことだからです。
写真は、私が滞在していた村で撮影した「血判状」です。別に百姓一揆をしようという血判状ではありません。これは、地元のNGOが鎮政府と協同で、農民の生活用道路を整備した際、村民たちの間で交わされた血判状なのです。
生活道路の整備によって、村の5組と6組のAさんとBさんらの農地の一部が削られることになりました。土地が商品でしかない資本主義国であったら、AさんとBさんに土地収用の代金が支払われて終わりです。しかし、中国の村の場合はそうではありません。
中国の場合、農地とは村で集団的に管理するものなのです。所有権は村にあります。個人が自由に処分可能なものではありません。
この村の場合、道路の整備によって、一部の農家の農地が削られたことにより、組単位で農地の再分配を行なったのです。つまり、AさんとBさんが農地を失った分を、周囲のCさん、Dさん、Eさん、Fさん・・・らが少しづつ補填するという形で、各世帯均等に損失面積が割り当てられるように農地の割り換えを行なったわけです。
この写真では、その割り換えの面積で良いという合意文書に、各世帯の代表者が血判を押しているのです。土地の分配作業というものは、命にも関わることですから本当に真剣でした。私は、日本ではあり得ないその様子を見て、えらく感動いたしたものです。
日本の場合、江戸時代には一般的に「土地は村のもの」だったので、このような農地の割り換えというものはごく普通に行なわれていました。明治時代の地租「改正」によって、土地が個人で処分できる「商品」に転化してから、このような慣行はあり得なくなり、寄生地主制が進行したわけです。
もっとも、公共事業などの際、農民から文句が出ないような土地調整ができるかどうかは、村の幹部の性質にもよります。村の執行部が腐敗している場合、とんでもないことも発生いたします。
最近、外部の不動産ディベロッパーなどが、村の農地を強引に収用しようとした結果、農民の抗議行動が発生するという事件が頻発しています。ああいうケースは、土地が村の集団所有地であることをいいことに、村幹部が農民の合意を取り付けずに勝手にディベロッパーと土地売却の合意をしてしまうようなケースなのです。
写真は、私が滞在していた村で撮影した「血判状」です。別に百姓一揆をしようという血判状ではありません。これは、地元のNGOが鎮政府と協同で、農民の生活用道路を整備した際、村民たちの間で交わされた血判状なのです。
生活道路の整備によって、村の5組と6組のAさんとBさんらの農地の一部が削られることになりました。土地が商品でしかない資本主義国であったら、AさんとBさんに土地収用の代金が支払われて終わりです。しかし、中国の村の場合はそうではありません。
中国の場合、農地とは村で集団的に管理するものなのです。所有権は村にあります。個人が自由に処分可能なものではありません。
この村の場合、道路の整備によって、一部の農家の農地が削られたことにより、組単位で農地の再分配を行なったのです。つまり、AさんとBさんが農地を失った分を、周囲のCさん、Dさん、Eさん、Fさん・・・らが少しづつ補填するという形で、各世帯均等に損失面積が割り当てられるように農地の割り換えを行なったわけです。
この写真では、その割り換えの面積で良いという合意文書に、各世帯の代表者が血判を押しているのです。土地の分配作業というものは、命にも関わることですから本当に真剣でした。私は、日本ではあり得ないその様子を見て、えらく感動いたしたものです。
日本の場合、江戸時代には一般的に「土地は村のもの」だったので、このような農地の割り換えというものはごく普通に行なわれていました。明治時代の地租「改正」によって、土地が個人で処分できる「商品」に転化してから、このような慣行はあり得なくなり、寄生地主制が進行したわけです。
もっとも、公共事業などの際、農民から文句が出ないような土地調整ができるかどうかは、村の幹部の性質にもよります。村の執行部が腐敗している場合、とんでもないことも発生いたします。
最近、外部の不動産ディベロッパーなどが、村の農地を強引に収用しようとした結果、農民の抗議行動が発生するという事件が頻発しています。ああいうケースは、土地が村の集団所有地であることをいいことに、村幹部が農民の合意を取り付けずに勝手にディベロッパーと土地売却の合意をしてしまうようなケースなのです。