代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

「真田丸」第15回と第16回の感想など

2016年04月30日 | 真田戦記 その深層
 すっかりブログを放置していて申し訳ございませんでした。もともとこのブログ、政治・経済の話題を中心にしていたブログなのですが、最近はすっかり「真田丸」ブログと化しています。時事問題等も十分に書けずに申し訳ございません。さらにこの間、諸事情で多忙であったため「真田丸」も二週連続でリアルタイムで見れないという状況に陥り、感想も書くことかないませんでした。失礼いたしました。
 録画視聴の「真田丸」第15話と第16話の感想などサラっと書いておきます。

 大坂編に突入して豪華キャストも次々に登場し、視聴率も上がっているようです。
 信州・上州のローカル話ばかりだと、とくに関西方面の方々にとっては遠い話という感じもあったと思います。大坂編突入で、俄然、全国区のドラマになってきたのではないでしょうか。それにしても第13回までは非常にローカルな話題ばかりのストーリーだったにもかかわらず、視聴率は善戦したといえるのではないでしょうか。これもひとえに、登場人物一人一人の人生がしっかりと描かれ、生き生きと躍動していたからだと思います。
 
 大坂編は、脚本を書く側にとって自由度が高く、書きたいように書ける部分ではないかと思います。なにぜ、真田信繁が秀吉のもとで何をやっていたのかほとんど何もわかっていませんから・・・。分かっていることと言えば、小田原攻めに参陣したとか、従五位下・左衛門之佐を叙任され豊臣姓も賜ったとか、大谷吉継の娘を正室に迎えたとか、伏見城の普請に携わったとか、なぜか前関白秀次の娘を側室に迎えているらしいとか・・・・断片的なことばかり。それ以外のことほとんど分からないのですから、想像を膨らませて自由に描けるわけですね。
 
 信繁が秀吉の馬廻り衆に取り立てられたという設定も、架空の設定かなと思ったのですが、最近出てきた新しい説としてあるようです。『文藝春秋』の今月号に「堺雅人vs時代考証担当の平山優+黒田基樹+丸島和洋」の豪華対談「真田丸の謎を解く!」という特集があります。その中で、黒田基樹先生が「信繁が馬廻り衆だったという記録が、真田家の歴史書に残っていた」と語っています。私も知らなかったのですが、少なくとも、「信繁=馬廻り衆説」は史料的根拠があるそうです。

 それにしても『文藝春秋』の対談は面白かった。堺信繁さんは、時代考証の黒田基樹さんが大の北条ファンであると知っていて、「今回の北条は、専門家としてどう見ていらっしゃいますか?」と、北条氏政の描き方に黒田さんが不満を抱いていないかと心配して気づかったりしています。私も、黒田さん、今回の北条氏政・氏直の描き方はあんまり喜んでいないのではないかと思っていたのですが、意外にも「氏政は、高嶋さんのキャラクターがピッタリですね」と満足そうでした。それにしても、主人公の役者さんと時代考証担当の歴史学者たちがこんなに楽しそうに対談している大河ドラマって過去にあったのだろうか、と思います。演じている役者さんたちも時代考証担当者たちもこんなに楽しそうなのであれば、ドラマも面白くなりますね。

 さて、明日の真田丸の見どころです。じつはドラマの設定の第16話から17話のこの時期(天正14年の春から夏ごろ)が、真田家にとって最大の危機を迎えた時期だと思います。秀吉が家康上洛のエサにしようと、家康に真田征伐の許可を与えたからです。秀吉が、上杉景勝に対し真田に援軍を出さぬよう釘を刺して、その中で言ったのがかの有名な「真田は表裏比興の者に候の間、成敗を加へられるべき・・・」という言葉でした。この「表裏比興」が400年間にわたって真田昌幸に冠せられることになった名誉あるニックネームなわけです。

 さて、徳川・北条のみならず、秀吉まで敵に回したのでは、さすがの真田昌幸もどうしようもありません。どうやって真田が絶体絶命の窮地を脱したのかなのですが、これが全くの謎なのです。何せ北条は7万ともいわれる大軍で沼田城を包囲し、家康も自ら出馬して上田城攻めをしようと、甲府まで進軍していた・・・・・という状況でした。

 「上杉景勝が仲介したのではないか」「秀吉が、対北条・徳川の抑えとして真田を残すことに軍事的メリットを感じ、心変わりしたのではないか」などいろいろと言われていますが、確かなことは分からないようです。
 いよいよ明日の第17回において、絶体絶命の危機をどう脱したのかという謎が解かれる回になります。史料的な答えが分からない問題ですから、自由に描けるわけで、三谷さんがどうこの謎解きをするのか楽しみですね。
 
 気になるのは、家康家中に入り込んでいる真田信伊の動きですね。信伊が何もしないわけがなさそう。また、秀吉の妹の旭姫も明日登場するようです。意外にも旭姫が真田攻め中止のカギを握っているとか・・・・? はたして真相はどうなのでしょう?? 乞うご期待!



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2 コメント

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信繫、馬廻衆 (mm)
2016-05-02 20:26:40
「真田丸」大坂編になってもこちらのブログを楽しみにしています。(その他の記事もちょこちょこ拝見しています。)さて、黒田先生が駿河台大学の「法学部からのお知らせ」に毎週月曜、「真田丸」ワンポイント解説を書かれています。ご存知ですか?その第13回目に、信繫馬廻衆になったことを書かれていますので、以下に引用しますね。

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少し後の文禄元年(1592)のことになりますが、『太閤記』にも引用されている「秀吉公名護屋御陣之図ニ相添候覚書」に、信繁が秀吉の馬廻衆であったことが記されているのです。
http://www.surugadai.ac.jp/gakubu_in/hogaku/2016/13.html
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コメントありがとうございました ()
2016-05-03 21:13:08
mmさま

 黒田先生の解説文の紹介ありがとうございました。黒田先生のその記事未読でした。勉強になりました。これは確かな史料ですね。ありがとうございました。

 最近更新が滞っていますが、書ける余裕があるときには書いてまいります。
 
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