長野県知事選で民主党は独自候補を擁立できず自主投票になったそうです。滋賀県知事選について私の書いた7月5日の記事のコメント欄で、民主党長野県連の加藤学さん(私の高校の一年上の先輩)と以下のようなやり取りがありました。
<引用開始>
関様 (加藤学) 2006-07-06 18:10:12
滋賀県知事選の結果は民主党のジレンマを象徴した結果でした。県議・市議レベルは現職の総与党体制に擦り寄って、与党面して議員として生きていきたい。しかし、国政レベルでは政権交代を目指す以上、自民党との相乗りはできない。かといって、現職が勝った場合にそれに乗っていないと党のダメージは大きい。長野県の民主党もそうだが、多くの議員が自民党時代の与党体質をひきずっていて、対決姿勢に徹しきれていません。選挙は古い後援会組織を基盤に戦っているので、古い体質の支持層を切ることができません。政権を本気にとるのであれば、民主党は、国会議員から地方議員までもが、市民政党に徹しきって、新しい支持層の開拓に本気に乗り出さなくてはならない。そのためには、自ら抱える古い体質の支持層から距離をとる勇気も必要であるといえる。
加藤学様 (関) 2006-07-07 01:38:33
加藤さんが奮闘してこられたのも空しく、われらが故郷の信州民主党も滋賀県的な状況になっていること、大変に残念に思います。
思えば民主党の滋賀県連も、「ムダな公共事業の見直し」を訴えた嘉田候補に対し、民主党の「古い体質」の部分が拒絶反応を引き起こしたのでしょうか。
地道に、草の根の市民運動との連携を強化して、古い体質に依存せずとも自立できるよう長期計画で取り組んでいくしかないように思えます。
かくなる上は、信州においては、自民党候補への相乗りだけは避け、「自主投票」という選択をしていただきたく存じます。
<引用終わり>
この間、加藤さんは来る長野県知事選に民主党の独自候補を擁立しようと尽力されて来られたのですが、結局、信州の民主党の「古い体質」に足をひきずられてしまい、願いははたせなかったのです。悔しさがにじみ出るコメントでした。
それでも昨日の民主党の長野県連の幹事会では紛糾のあげく、「自民候補への相乗り」という最悪の事態だけは回避できたそうです。加藤さんのブログ参照。これでおそらく民主党支持者の多くは田中知事に投票するのではないでしょうか。
田中知事に関して「北欧型社民主義を目指す」という彼の理念は全く正しいと思いますが、残念ながら彼の場合、独善的なスタンドプレーが目立ち、敵ばかりつくっていたずらに県政を混乱させてしまいました。その点、小泉首相とある面では似ています。
しかし小泉首相は、その能力の低さ故か、肝心なところは全て官僚に丸投げの状態で、無干渉でした。そのため官僚にとってはそれなりにコントロールしやすい首相であり、それが霞ヶ関と永田町の摩擦を抑え、政権の維持につながったと思えます。
田中知事の場合、下手に能力が高いのが災いしてか、県の職員を信用せず、いたずらに干渉し、全部自分でやろうとしたため、県職員のやる気を引き出すのではなく、逆に萎えさせてしまったように思えます。
私の知っている県職員の方は、「(田中知事は)言っていることは90%正しいが、やっていることは90%間違いだ」とおっしゃっていましたっけ。
田中知事の改革理念を活かしつつ、田中知事には永田町に移ってもらって、民主党の公認候補であれ推薦候補であれ、調整能力の優れた知事が後を次いで、「改革」を安定化させるのが望ましいと思っていたのですが、このような結果になって残念に思います。
やはり長野県を統治するのは難しい。政党とかそういう問題以前で、あの県では松本が人を立てれば長野が反対し、長野が立てれば松本が反対するみたいなところで、有史以来、異なる地域同士で足を引っ張りあって、国として一つにまとまったことなどないのです。あの人たちは(自分もそうなのですが)、やたらと議論好きで暇さえあれば議論ばかりしてるのですが、結局、何もまとまらず何も決まらないという状況を延々と続けるのです。
武田信玄の信濃侵攻の折も、信州諸大名は決して一つにまとまって対抗することはなく、仲違いしているあいだに武田に個別撃破されていきました。
でも「外国人」である武田信玄に統治されている間だけは、信州は不思議とまとまって安定していたのでした。それで今でも信州人は、侵略されたにも関わらず武田信玄が大好きという不思議な状況です。
先日、滋賀県出身で信州大学で勉強していた知人と話していたのですが、「長野県は日本のユーゴスラビアで、田中康夫はチトーだ」と分析していました。けっこう当たっているかも知れません。長野はクロアチアで松本はセルビア、諏訪はスロベニアで上田は・・・・みたいに要するにお互いに違いばかり強調してまとまりがないのです。
県民の中から知事候補を立てようとすると、結局まとまらずに今回のような事態になってしまうのでしょう。本当に悲しいことです。「神戸から信州に舞い降りた」という田中康夫でないと信州はまとまらないのかも知れません。しかし、ならば田中知事には、武田信玄やチトー並みの調整能力を持って欲しいと切に願います。
<補記>
ちなみに田中知事の対抗馬として立候補を表明した村井仁前衆院議員は、郵政民営化に反対票を投じた造反議員であり、小泉政権を批判して野に下った気骨のある政治家です。知事選挙においても自民党の推薦は受けずに出るそうです。田中知事と村井仁前衆院議員を天秤にかけた場合、どちらを支持すべきか私もにわかには判断できずにおります。お二人の主張を今後よく比較して考えます。
<引用開始>
関様 (加藤学) 2006-07-06 18:10:12
滋賀県知事選の結果は民主党のジレンマを象徴した結果でした。県議・市議レベルは現職の総与党体制に擦り寄って、与党面して議員として生きていきたい。しかし、国政レベルでは政権交代を目指す以上、自民党との相乗りはできない。かといって、現職が勝った場合にそれに乗っていないと党のダメージは大きい。長野県の民主党もそうだが、多くの議員が自民党時代の与党体質をひきずっていて、対決姿勢に徹しきれていません。選挙は古い後援会組織を基盤に戦っているので、古い体質の支持層を切ることができません。政権を本気にとるのであれば、民主党は、国会議員から地方議員までもが、市民政党に徹しきって、新しい支持層の開拓に本気に乗り出さなくてはならない。そのためには、自ら抱える古い体質の支持層から距離をとる勇気も必要であるといえる。
加藤学様 (関) 2006-07-07 01:38:33
加藤さんが奮闘してこられたのも空しく、われらが故郷の信州民主党も滋賀県的な状況になっていること、大変に残念に思います。
思えば民主党の滋賀県連も、「ムダな公共事業の見直し」を訴えた嘉田候補に対し、民主党の「古い体質」の部分が拒絶反応を引き起こしたのでしょうか。
地道に、草の根の市民運動との連携を強化して、古い体質に依存せずとも自立できるよう長期計画で取り組んでいくしかないように思えます。
かくなる上は、信州においては、自民党候補への相乗りだけは避け、「自主投票」という選択をしていただきたく存じます。
<引用終わり>
この間、加藤さんは来る長野県知事選に民主党の独自候補を擁立しようと尽力されて来られたのですが、結局、信州の民主党の「古い体質」に足をひきずられてしまい、願いははたせなかったのです。悔しさがにじみ出るコメントでした。
それでも昨日の民主党の長野県連の幹事会では紛糾のあげく、「自民候補への相乗り」という最悪の事態だけは回避できたそうです。加藤さんのブログ参照。これでおそらく民主党支持者の多くは田中知事に投票するのではないでしょうか。
田中知事に関して「北欧型社民主義を目指す」という彼の理念は全く正しいと思いますが、残念ながら彼の場合、独善的なスタンドプレーが目立ち、敵ばかりつくっていたずらに県政を混乱させてしまいました。その点、小泉首相とある面では似ています。
しかし小泉首相は、その能力の低さ故か、肝心なところは全て官僚に丸投げの状態で、無干渉でした。そのため官僚にとってはそれなりにコントロールしやすい首相であり、それが霞ヶ関と永田町の摩擦を抑え、政権の維持につながったと思えます。
田中知事の場合、下手に能力が高いのが災いしてか、県の職員を信用せず、いたずらに干渉し、全部自分でやろうとしたため、県職員のやる気を引き出すのではなく、逆に萎えさせてしまったように思えます。
私の知っている県職員の方は、「(田中知事は)言っていることは90%正しいが、やっていることは90%間違いだ」とおっしゃっていましたっけ。
田中知事の改革理念を活かしつつ、田中知事には永田町に移ってもらって、民主党の公認候補であれ推薦候補であれ、調整能力の優れた知事が後を次いで、「改革」を安定化させるのが望ましいと思っていたのですが、このような結果になって残念に思います。
やはり長野県を統治するのは難しい。政党とかそういう問題以前で、あの県では松本が人を立てれば長野が反対し、長野が立てれば松本が反対するみたいなところで、有史以来、異なる地域同士で足を引っ張りあって、国として一つにまとまったことなどないのです。あの人たちは(自分もそうなのですが)、やたらと議論好きで暇さえあれば議論ばかりしてるのですが、結局、何もまとまらず何も決まらないという状況を延々と続けるのです。
武田信玄の信濃侵攻の折も、信州諸大名は決して一つにまとまって対抗することはなく、仲違いしているあいだに武田に個別撃破されていきました。
でも「外国人」である武田信玄に統治されている間だけは、信州は不思議とまとまって安定していたのでした。それで今でも信州人は、侵略されたにも関わらず武田信玄が大好きという不思議な状況です。
先日、滋賀県出身で信州大学で勉強していた知人と話していたのですが、「長野県は日本のユーゴスラビアで、田中康夫はチトーだ」と分析していました。けっこう当たっているかも知れません。長野はクロアチアで松本はセルビア、諏訪はスロベニアで上田は・・・・みたいに要するにお互いに違いばかり強調してまとまりがないのです。
県民の中から知事候補を立てようとすると、結局まとまらずに今回のような事態になってしまうのでしょう。本当に悲しいことです。「神戸から信州に舞い降りた」という田中康夫でないと信州はまとまらないのかも知れません。しかし、ならば田中知事には、武田信玄やチトー並みの調整能力を持って欲しいと切に願います。
<補記>
ちなみに田中知事の対抗馬として立候補を表明した村井仁前衆院議員は、郵政民営化に反対票を投じた造反議員であり、小泉政権を批判して野に下った気骨のある政治家です。知事選挙においても自民党の推薦は受けずに出るそうです。田中知事と村井仁前衆院議員を天秤にかけた場合、どちらを支持すべきか私もにわかには判断できずにおります。お二人の主張を今後よく比較して考えます。
自主投票ということで、民主党支持者の県民は、一生懸命に考えて一票を投じることでしょう。組織よりも個人の判断が尊重される、信州の有権者の真価が問われる選挙になるのではないでしょうか。
連合長野の組合員の皆様も、単純に組織の指令に従うのでなく、個人の判断を最優先に一票を投じて欲しいものです。