代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

惨事便乗型資本主義を終わらせよう コロナ禍の中での種苗法? 

2020年05月02日 | 政治経済(日本)
 renqingさんから「種苗法改正反対」のネットキャンペーンの呼びかけをいただきました。

 http://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2020/04/post-05dc69.html#more

一人でも多くの日本人がこの問題の重要性と緊急性(GW明けには国会審議再開)に眼を向け、自分の意見を持ち、ネット上でその意見を表明することを希望します。

 コロナ禍で問われているのは、グローバル化が必然的に生み出してきた危機に脆弱な産業構造の単純化(比較優位産業への特化)を終わらせ、危機にも頑強な地域ごとに多様性のある自立した経済構造を再構築することです。

 とくに、生存に不可欠な食料・水・エネルギー・医療などにかかわる「社会的共通資本」部門は地域ごとの自給率を可能な限り上昇させていくことこそ、安倍首相が大好きな「国家安全保障」にもつながるということです。

 ところが恐るべきことに、今国会に提出されているのが種苗法改悪法案。
 日本列島において弥生時代に農耕が開始されてからというもの、農作物は自家採種・自家増殖によって生産されてきました。安倍政権はなんと、種苗法を改悪して、農家が自家増殖できない農作物の品目を一気に増やし、将来的に原則禁止にしようというのです。もちろんこれは、日米構造協議以来の、アメリカの投資家たちからの改革要望を律儀にこなすだけの、いつも通りのルーティンワークでしょう。

 いったい、覇権国がその覇権を放棄しているときに、なんで「旧」覇権国の指令に従順であり続ける必要があるのでしょう? もういちいち言う事きかなくても、無理強いするパワーなんか米国にはないというのに。

 すでに自家採種が禁止されている品目は、2016年の82種から、現在では356種にまで増やされているそうです。びっくりポンです。いつのまに? 知ってました?
 いまは一部だけだと言うかも知れませんが、派遣法が一部の専門業種から始まって、全職種に拡大されていったように、いずれ国民の税金で公的な農業試験場などが生み出してきたような品種にまで対象が拡大されていくのは目に見えています。

 グローバルなサプライチェーンが崩壊しても、耐えられるよう、自給力のある危機に強い社会を作ることこそ今回の惨事の教訓です。農家が自家採種のノウハウを失ってしまったら、それこそ企業の生産活動がストップするような危機の際に、食料生産も止まって、国民は飢え死にしてしまうでしょう。
 
 それこそ神武天皇(仮にいたとして)以前から行われてきた日本列島の伝統を根こそぎ破壊しようというのです。
 新嘗祭から何から稲作にかかわる皇室行事も、皇居で継承されている自家採種の種もみで行われています。まず安倍は、天皇に向かって、自家採種を止めるように、新嘗祭もアメリカからの輸入米で行うようにと要求すべきでしょう。
 新自由主義的価値観で、日本の伝統を根こそぎ破壊するのが、「保守」とか「右派」とか名乗る政権のすることなのでしょうか? 

 明日の憲法記念日には、安倍首相は、ナチスばりの緊急事態条項を憲法に盛り込むことを憲法改正案として提唱するそうです。

 ショックの中で、その惨事に便乗して利権を拡大しようというのが惨事便乗型資本主義。
 もういい加減、こんなことを繰り返すのは止めにしよう。

 まずは休業補償を拡充するなど、人びとを救うことが先決。種苗法改正だの、憲法改正だの言っているヒマじゃないでしょう。

 女優の柴咲コウさんが、ツイッターで種苗法改悪反対の声をあげたところ、さっそく新自由主義ネトウヨたちの攻撃にさらされているようです。ネトウヨを吹き飛ばす声をあげていきましょう。

 

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
貴記事のリンクを貼らせて頂きました (renqing)
2020-05-03 02:13:13
関さん
 貴ブログ本記事のリンクを弊ブログ記事に貼らせて頂きました。
 それにしましても、国民の生命/伝統遺産の存亡に関わるトンデモ「改正」法案について、大手メディアで正面から取り上げられないのは何故なのでしょうか。コロナ・ウイルス禍の話題ばっかり。これでは、時の政府の提灯持ちと何のかわりがあるのでしょうか。
 上記で、「伝統遺産」と特に言ったのは、この法
「改正」を認めると、先輩の日本人たちが丹精をこめて蓄積した作物の遺伝/培養のノウハウが欧米のアグリビジネスにダダ洩れになるからです。
 なんと既に成立している農業競争力強化支援法により、種子の生産に関する知見を民間企業に提供することが、公的な試験場などに対して《義務付け》られています。あのモンサント(2018年にドイツの化学薬品メーカーのバイエルに買収されたので、現バイエル)に、日本人の税金で機能している農業試験場が蓄積している貴重な種子情報を提供しなければならないのです。唖然としてしまう事態です。 日本農業の競争力を弱化する支援法を成立させてしまっていたこと自体が、ある意味で外堀を埋められていた訳で、薄ボンヤリしていた私たち国民に落ち度はありますし、猛省しなければなりません。
 しかし、それにしても、日本の政府が、米国の植民地総督府に過ぎない、という事実と実態を有権者は肝に銘じないといけません。
 日米安全保障条約および日米地位協定という法的枠組みで、戦時には「自衛隊」が在日米軍司令官の指揮下に入ることは、既成事実化していますが、これを推進したのは、安倍の祖父/岸信介と麻生の祖父/吉田茂ですから、今の内閣なら何でもアリなのですね。
 安倍は何かと言うと「国難」と叫びますが、安倍内閣が、この列島史における有数の「国難」そのものである、と言うべきです。
返信する
恐るべし惨事便乗型資本主義 ()
2020-05-03 20:51:26
renqingさま

>農業競争力強化支援法により、種子の生産に関する知見を民間企業に提供すること

 ネトウヨさんたちは、「種苗法は日本の優良品種を中国や韓国に盗まれないようにするためだ」と叫んでいるようです。いったあの人たちは、どれだけオメデタイのだろうと、ため息しか出ないです。
 いや、またしても惨事便乗型資本主義にやられるのかと、恐ろしくなるばかりです。

 種子法廃止と農業競争力強化支援法と種苗法改悪などをあわせていくと、日本人の税金を使って公的機関で作り上げてきた優良品種の知的財産までもバイエルなどに奪われていくという近未来は明らかです。
 
返信する
財産権:「種(タネ)」と「才能」 (renqing)
2020-05-06 16:25:57
関さん
私ばかりのコメントで、本当に恐縮です。
私の知友から、種苗法「改正」について、応答があり、標題の弊ブログ記事を書きました。お手すきの折に、上記URLをご笑覧頂ければ幸甚です。
full title
財産権:「種(タネ)」と「才能」/ Property : seeds and talent: 本に溺れたい
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。