代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

まじめに検討すればベーッシクインカムは若者に支持されない

2020年11月25日 | 政治経済(日本)

 ベーシックインカム賛美論がまかり通っているので、本当にそんな議論は支持されるのだろうかと疑問に思って、ちょっと試してみた。
 先月、勤務先の大学の2年生のゼミで、『世界』(岩波書店)9月号のベーシックインカム(BI)特集を教材として取り上げた。、とくにBI賛成の山森亮氏の論文「連帯経済としてのベーシックインカム」と、BIに批判的な今野晴貴氏の論文「ベーシックインカムを日本に導入しようというならば」の2本をそれぞれ読んでもらった上で、一人ひとりにBIに賛成か反対かをきいてみた。

 大学2年生の13人中、BIに賛成が4人、反対が9人という結果になった。ごく平均的な大学生に真剣に検討してもらえば、大方はBIなど空想的で、無意味な議論だと思うようだ。

 ちなみに反対の9人は、その論拠として

 ①財源がない。
 ②かりにBIが導入されたらブラック企業はすぐにその分で賃下げするから支給の意味はなくなる。
 ③社会保障が削減される。
 ④ニートが増える。
 ⑤ギャンブル、酒、タバコなどの依存症が増える。
 などを挙げていた。

 そこで、仮に財源が豊富にあって、なおかつ社会保障は現状を維持し、かつブラック企業対策やニート対策、依存症対策などをしっかりしたらどうかと問うと、賛成しても良いという人が9人中7人となった。しかし、そのような条件が満たされるなど、ほとんど夢物語でしかなさそうだ。

 さて、9人中2人は、それでもなお反対であった(2人とも女子であった)。
 そもそも、そんな財源があるのなら、医療や教育や環境など他のことにお金を使うべきで、一律にバラマキをするなど、お金の使い方として間違っているという意見であった。ちなみに、私もその2人の意見に賛成である。

 ベーシックインカムに使うようなお金があるのなら、医療費ゼロ、大学の授業料無償化、再生可能エネルギー100%も実現できるだろう。大切な財源を、人びとの命を救うため、地球を救うための投資に使うのではなく、刹那的な消費を煽るためにしか使えないような政府は、思考停止政府と言うべきであろう。


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