代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

真田丸 第19回「恋路」感想

2016年05月15日 | 真田戦記 その深層
 徳川7000の大軍の前で高砂を踊っても、死の恐怖など微塵も感じなかったであろう真田源次郎。しかし今回は死を覚悟したでしょう。思えば、新府から野盗の群れの中を家族をつれての逃避行、本能寺の変からの人質を引き連れての安土脱出劇、ばば様を奪還するための小諸城潜入からの捕らえられての人質生活・・・・・・・・。ドラマが始まってから、もう危機の連続でしたが、観ている方にとっては、今回こそ源次郎にとって最大の危機だったように思えました。
 ここで死ぬわけがないと分かっているのに、なぜか観ていて冷や汗をかくほどでした。源次郎と茶々が二人で蔵の中に入って、しかも源次郎がウソをついていたことを知って、怒り心頭に達した秀吉がいつ切腹を命じるかと・・・・・。いやー怖かった。
 
 秀吉の求愛に折れて、親の仇の秀吉の側室になることを茶々が受け入れるというシーンは過去に何回も大河で繰り返されてきました。本当のところ、茶々はどういう心境で受け入れたのか、もはや誰も知る由のないことです。本人にしか分からない。
 今回の大河ドラマの茶々は、源次郎を救うために秀吉の求愛を受け入れたようにも見えました。実際、あそこで茶々が首を縦に振らなければ、秀吉の怒りの矛先は源次郎に向かったでしょう。
 
 茶々は、源次郎に「あなたと私は同じ日に死ぬの」という呪いの言葉を、山吹の押し花と共にかけてきて・・・・。きりちゃんが、あの山吹の押し花を呑み込んでくれたとき、何故かホッとしました。

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 さて、史実の茶々と源次郎がどういう関係だったかというのは、分からないことです。なので推測で描くしかありません。
 ちなみに「真田太平記」の淀君は、「これ、真田とやら・・・」って感じで、幸村を全く意にかけていない様子に描かれました。それを視聴しながら「それは違うだろう」と思っていたものでしたっけ。

 本当のところどうだったのでしょうか。推測する根拠となる史料があるとすれば、真田幸村(信繁)が大坂冬の陣の講和のあとに、義兄の小山田茂誠に送った手紙でしょうか。

 そこには、「殿様(秀頼のこと)御懇比も大かたの事にては無之候へとも、万気遣のみにて御座候」と書かれています。すなわち、豊臣秀頼の幸村への厚意も尋常でなく、それ故に城内から嫉妬も受けていて、気苦労ばかりが多いと綴られているのです。秀頼が幸村を信頼し、懇意にしていた事実は、すなわち淀君の幸村への好意が背景にあったからでしょう。
 
 この信頼のルーツは、茶々が大坂城や聚楽第にいた頃から真田源次郎を知っていて、それゆえ大坂の陣の際にも、特別に幸村に頼っていたのだと考えても不思議ではありません。そこから逆算して想像を膨らませていくと、今回のようなエピソードになるのだと思います。史実の行間であるこの辺は三谷脚本の真骨頂です。ヒヤヒヤ、びっくりしながら、楽しんで視聴していきたいと思います。
 
 


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2 コメント

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秀次の最期 ()
2016-05-22 15:02:30
 秀次の最期をどの説に依拠して描くのか・・・・今後の一つの見どころですね。最新の学説を反映してドラマをつくっているこれまでの経過から見て、りくにすさんの推測は当たるかも知れません。

 秀次の娘で信繁側室の配役も発表になっていました。これで信繁の正室・側室はみなドラマに登場することに・・・・。すごいことです。 
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秀次と三成と清正 (りくにす)
2016-05-21 23:32:22
ご無沙汰しております。
ドラマにとっても感じのいい関白秀次が登場したので、秀次のことが気になり、図書館で矢部健太郎の『関白秀次の切腹』(KADOKAWA)を見つけました。
この本によると、秀次が高野山に行きそこで切腹したのは秀吉が命じたからではなく嫌疑がかかった秀次が勝手にやったことだったのです。また、「秀次を断罪したのは五奉行」とされていますが、「切腹」の知らせが届くまでは豊臣政権では誰も秀次を死刑にするつもりはなかった、としています。
この説は2013年に発表されてネットの掲示板などで話題になったそうです。「真田丸」では信繁の願いに応じて三成に話を通してくれる秀次が出てくるのでこの説を取り入れているのかもしれません。
そう思うと今後どうなるのか楽しみ(?)であります。
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