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代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

小規模農家を守ることは長寿社会の秘訣 ―だからTPPに反対しよう

2013年04月15日 | Stop! TPP
 昨年度、私の故郷の信州が男女とも平均寿命全国1位になった。産経新聞が、「なぜ長野県は長寿なのか」に関して興味深い分析をしていた。yahooニュースに掲載された記事を一部紹介します。

***『産経新聞』4月14日付け記事より***
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130414-00000523-san-hlth 

 減塩の機運が高まっていた約30年前、長野県で生まれた「ぴんぴんころり(ぴんころ)」という言葉がある。「ぴんぴんで元気に長生きし、病気をせずころりと死ぬ」という意味だ。
 
 (中略)
 
 (長野県は)自然に囲まれた環境のなか、庭先の畑で自分が食べる程度の野菜を作る小規模農家が非常に多く、90歳を過ぎても現役の人はざら。実際、高齢者の就業率は全国1位の29・9%に上り、「ぴんころ」を地で行く。

***引用終わり*****

 この産経新聞の福田涼太郎記者は、「小規模農家が非常に多い」ことが長野県の長寿の理由の一つという分析をしている。拍手を送りたい。

 私の祖父も亡くなる直前まで畑仕事をしていたものだった。亡くなる直前まで医者になどほとんどかからずに元気に過ごしていた。まさに「ぴんころ」の典型だった。  

 国民皆が小規模な農地を持てば、いまより平均寿命は延びて、老人医療費も削減でき、国民の健康・福祉にも、国の財政にも大きく寄与するであろう。農業の一つの型は、退職後の高齢者夫婦が支え、その息子さんが退職してからそのそれを引き継ぐという形態である。小規模な農地なら、高齢化もものともせず、後継者に悩むこともなく、退職世代を経営主体として持続的に回っていくのだ。それが国民の健康と福祉を維持する一つの型なのだ。

 しかるに日本政府とマスコミときたら、TPPに参加するにあたって、小規模な兼業農家など不効率だから淘汰して、農地の集積を進めよというわけである。そうなれば日本の平均寿命も縮むだろう。日本の原風景も破壊される。

 ぜひ産経新聞には、TPPに反対してほしい。

 「不効率」を維持することは、市場に算定されていない外部性も考えたら効率的なのだし、何よりも持続可能性が高いのだ。
 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
中小規模農家の権利を守るのは (たんさいぼう影の会長)
2013-04-24 21:36:04
 中小規模農家を守ることは、農の多様性と食料主権を守ることだというのが、国際的な食料主権運動「ビア・カンペシーナ」の中核的主張だという話が、今日読んでいた本に書かれていました。
 安全・安心な生活のためには
日米安保より食料安保
領土主権より食料主権
といったところでしょうか(ベタですが)。
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たんさいぼう影の会長さま ()
2013-04-27 22:20:43
 政府は、一方で「生物多様性」と言いながら、WTO、FTA、TPPこそ生物多様性破壊の元凶であるという明白な事実を、触れてはいけないタブーのようにして語りません。何とかせねばなりませんね。
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国民が健康であることが財産 (メルシー)
2013-05-23 10:50:04
初めてコメントいたします。

同じことを農学博士の鈴木宣弘教授もおっしゃっていますね。スイスでは「ナチュラル・オーガニック・アニマルウェルフェア・バイオダイバーシティ・景観」が農業のキーワードだそうです。
影の会長様が別の記事でコメントされていたように、減反でなく減農薬による生産減をしたとしたら、生産量は減るけれども上記のキーワードによる価値自体は上昇するでしょうね。
本来ならばアメリカからの不要な米輸入を一刻も早く断ち切り、小規模農家も増加させ米の自給率は100%以上に保っておくことが重要だと感じます。

今からでもTPPを止めるべく非力ながら発信したいと思います。
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GDPよりも大事な財産 ()
2013-05-24 13:55:04
メルシーさま
 本当にご指摘の通りと存じます。更新怠っている過疎ブログに書き込んでいただいてありがとうございました。ご指摘のとおりと存じます。
 効率化だのグローバル競争などの言説に踊らされて、環境や健康などの国民の財産を食いつぶしてはなりませんね。
 TPP止められるよう最後まで頑張りましょう。このブログは発信力がないので、ぜひツイッターなどでも発信して下さるとありがたく存じます。
 
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