代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

国土強靭化とは不正・虚偽・無法の強靭化である

2014年08月10日 | 政治経済(日本)
  8月7日付けの新聞各紙が伝えているように、八ッ場ダムの本体工事は清水建設など3社でつくるJVが342億円で落札されたと発表された。本体工事への血税の投入は、地滑りを誘発し、さらなる巨額の血税を吸い込むブラックホールとなっていくであろう。浅間山の火山噴火の噴出物で覆われた八ッ場周辺の地質は脆弱で、水をためることによっていずれ周辺が崩れだすことは避けられそうにない。

 八ッ場ダムの本体工事をめぐっては、さる7月27日に『しんぶん赤旗』日曜版が、入札不正のスクープ報道をしている(下の添付記事参照)。国交省発注のトンネル工事で死亡事故を起こしたため指名停止処分を受けている鹿島建設と大林組のJVが入札の技術対話に参加していたというのがその不正だ。入札参加資格のない業者が入札に参加するのは、入札の運用基準に反する。

 
 ところがこの不正疑惑を赤旗がスクープしても、他紙はダンマリで一切報道しない。都知事選の際の舛添候補の政党助成金2億5000万円不正使用疑惑のときもそうだったが、テレビや新聞各紙のあいだには、「『赤旗』がスクープしたスキャンダルに関して、基本的に無視して後追い報道はしないこと」という秘密協定でもあるのだろうか?

 スクープしたのが赤旗の記者であれ、産経の記者であれ、誰であれ、事実としての重みは変わらないはずである。

 八ッ場あしたの会はこの不正疑惑が発覚したことを受け、ダム本体工事入札中止を申し入れたが、国交省は何事もなかったかのように本体工事の入札を強行。そしてマスコミ各紙はなにごともなかったかのように「本体工事落札」と報道する。 (八ッ場あしたの会HPを参照
 
 

 江戸川区の北小岩では、1mを整備するのに4000万円もかかるスーパー堤防の整備のために住居の強制解体が行われている。

 8月7日には国交省言いなりの「治水有識者(実態は無意識者)会議」が、那珂川の生態系に重大な悪影響を与えると懸念されている霞ヶ浦導水事業にもゴーサインを出してしまった。

 国交省としては、安倍政権が公共事業の大盤振る舞いを続けている間に、その効果が疑問視されているいわくつきの事業を片端から強行しようという算段なのであろう。その目的のためには不正行為も違法行為もすべてが黙認されている。これが国土強靭化の実態である。 




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