9月11日の記事のコメント欄で、「アメリカの陰謀」とか「ユダヤの陰謀」みたいに言う人々が多いけれど陰謀論は怪しいし胡散臭い、といった趣旨のコメントを2ついただきました。私も回答しておいたのですが、それに加筆しながら新しい投稿として再度論じたいと思います。
ちなみに私のブログでは「アメリカの陰謀」とか「ユダヤの陰謀」といった表現は一度も使っていません。米国の金融業界(ユダヤ系が多いのは客観的事実ですが…)が、世界の金融自由化を通して、デリバティブやレバレッジド・バイアウトなどの手法を駆使し、キャピタル・ゲインを最大化しようと考えているだけのことだと思います。彼らはひたすらに儲けようとしているだけであって、陰謀でも何でもないと思うのです。
日本の金融機関が(ましてや郵貯が)、米国のヘッジファンドと競っても、負けることは目に見えていると思います。ですので、1998年にマレーシアのマハティール首相がやったように、制度的に規制をかけて、防衛するべきかと思います。
「それは不可能だ」「抗し難い」などと主張する人も多いのですが、マレーシアのような小国も実施できたことを、決して忘れないようにしていただきたいと思います。ナショナリストを自称する方々が、グローバルな金融自由化を「抗し難いから諦めろ」と主張するのは、私には理解不能です。
アメリカは陰謀をめぐらしているわけではありませんが、国益を追求して日本に政策的要求を呑ませようとはしています。過去の事例を見れば、そうした要求を呑むと、だいたい日本は不利益を被ってきました。そうしたことが繰り返されてきたわけですから、当然、免疫力をつけるべきだと思います。
1985年、米国に要求されたプラザ合意で日本は円高不況になって製造業の国外移転、産業構造の空洞化が深刻化しました。ついで日本は、日米構造協議で「内需拡大」を強要され、必要もない時期にむりやりリゾート開発だ何だと積極財政をやらされて、バブル経済が発生しました。マクロ経済的に見れば、あの時にこそ緊縮財政をすべきだったのです。
ちなみに当時の竹中平蔵氏は、「内需拡大のために積極財政をすべきだ」と言っていたそうです。彼はサプライサイダーどころか、当時はたいそう立派なケインジアンだったわけです。
あれだけバブルが膨らめば、当然金利を上げて金融を引き締めるべきでしたが、米国が金利の引き上げを許さなかったこともあり、バブルはますます膨らんでいき、遂にはバブル崩壊という破局に至ったのです。
そうした事実もあまりマスコミは取り上げないまま、何かバブル崩壊の後に日本が自発的に行なった公共事業の大盤振る舞い路線に全ての悪の根源があるように報道してきました。それは事実に反します。そもそも日米構造協議を通じて「内需拡大だ。積極財政をやれ。公共事業をやれ」とわめきたて、日本にそれを強要させたのは米国なのです。それで日本は400兆円以上もの公共事業のムダ金を使わされ、今の財政赤字の基を生み出したのです。
真実を隠して、第三者に濡れ衣を着せるような報道は、「情報操作」と呼ぶべきだと思います。陰謀説でも何でもなく、事実として広告代理店・宣伝会社の情報操作、世論誘導の効果は絶大であることは、多くの人々が指摘してきました。例えば、高木徹『ドキュメント 戦争広告代理店』講談社、などはお勧め文献です。
さて、金融の自由化が世界経済によいなどということは経済学的にも実証されていませんし、理論的にも全く根拠もないのです。金融自由化や市場原理主義の押し付けは、これまでにも、インドネシア、ロシア、アルゼンチン・・・と多くの国々を「崩壊」や「破綻」に追い込んできました。
中国も、アメリカに乗せられて金融を自由化してしまえば、本当に「崩壊」しかねないと思います。ただ、「崩壊」の先行事例が沢山あるので、多くの方々の期待に反するようで申し訳ございませんが、中国は簡単には引っかからないとは思います。むしろ中国よりも日本の「崩壊」の方が心配ですね。
ちなみに金融自由化を擁護するためのIMFの公式的な説明は、以下のようなものです。
「自由な資本移動は、貯蓄の地球規模での効率的な配分を促し、資源を最も生産的な利用に振り向けることに役立ち、したがって経済成長と経済厚生を高める」
スタンレー・フィッシャー(IMF元専務理事その後シティ・バンクの副会長に天下り)『IMF資本自由化論争』(岩波書店、4頁より)
彼らは、日本の郵貯を侵略戦争発動のために振り向けたとしても「最も生産的な利用」と主張するのでしょうか? 現実には資本自由化、金融自由化はバブルとその崩壊という「破壊」をたくさん生み出しましたが、あまり生産的な用途へは資金を流してきませんでした。
日本の総選挙の前日の9月10日に元西ドイツ首相のシュミット氏が、東京都内で講演して、「金融がグローバル化するなかでヘッジファンドに対する規制、監督が不十分。各国の経済・財政運営の懸念材料になっている」と発言をしています。http://www.nikkei.co.jp/china/finance/20050910d1f0901d09.html
日本びいきのシュミットさんですから、何とか日本の有権者に対し、小泉のやろうとしていることの危険性を訴えたかったのかも知れません。しかし、何せマスコミがほとんど報道しませんから、投票行動には何の影響も与えなかったでしょうが・・・。
「陰謀論」というと胡散臭いですが、ふつうに考えれば、シュミットさんのような懸念は発生すると思います。
それにしてもドイツの元首相が、こんなに親身になって日本のことを心配してくれています(何せドイツの境遇と重なりますから)。米国にそうした人がいるでしょうか? あまり心当たりはないのですが・・・・。(もちろんジョセフ・スティグリッツとかチャルマーズ・ジョンソンとか、日本を本気で心配してくれている尊敬すべき米国の知識人は多いですが、彼らは今の米国政界への影響力はないですし・・・・)。
日本はドイツと共に常任理事国入りも目指さねばなりません。それを妨害しているのは米国と中国の「同盟」なのですから、「敵は近くにいる。遠くの国と同盟しよう」と訴える日本の地政学論者の方々は、ドイツとの同盟を真剣に考えてもよいかも知れませんね。かつての日独同盟は最悪のものでしたが、今度は米国の覇権と市場原理主義の押し付けに「待った」をかけるための、理性的・進歩的な同盟になり得るのではないでしょうか。
ちなみに私のブログでは「アメリカの陰謀」とか「ユダヤの陰謀」といった表現は一度も使っていません。米国の金融業界(ユダヤ系が多いのは客観的事実ですが…)が、世界の金融自由化を通して、デリバティブやレバレッジド・バイアウトなどの手法を駆使し、キャピタル・ゲインを最大化しようと考えているだけのことだと思います。彼らはひたすらに儲けようとしているだけであって、陰謀でも何でもないと思うのです。
日本の金融機関が(ましてや郵貯が)、米国のヘッジファンドと競っても、負けることは目に見えていると思います。ですので、1998年にマレーシアのマハティール首相がやったように、制度的に規制をかけて、防衛するべきかと思います。
「それは不可能だ」「抗し難い」などと主張する人も多いのですが、マレーシアのような小国も実施できたことを、決して忘れないようにしていただきたいと思います。ナショナリストを自称する方々が、グローバルな金融自由化を「抗し難いから諦めろ」と主張するのは、私には理解不能です。
アメリカは陰謀をめぐらしているわけではありませんが、国益を追求して日本に政策的要求を呑ませようとはしています。過去の事例を見れば、そうした要求を呑むと、だいたい日本は不利益を被ってきました。そうしたことが繰り返されてきたわけですから、当然、免疫力をつけるべきだと思います。
1985年、米国に要求されたプラザ合意で日本は円高不況になって製造業の国外移転、産業構造の空洞化が深刻化しました。ついで日本は、日米構造協議で「内需拡大」を強要され、必要もない時期にむりやりリゾート開発だ何だと積極財政をやらされて、バブル経済が発生しました。マクロ経済的に見れば、あの時にこそ緊縮財政をすべきだったのです。
ちなみに当時の竹中平蔵氏は、「内需拡大のために積極財政をすべきだ」と言っていたそうです。彼はサプライサイダーどころか、当時はたいそう立派なケインジアンだったわけです。
あれだけバブルが膨らめば、当然金利を上げて金融を引き締めるべきでしたが、米国が金利の引き上げを許さなかったこともあり、バブルはますます膨らんでいき、遂にはバブル崩壊という破局に至ったのです。
そうした事実もあまりマスコミは取り上げないまま、何かバブル崩壊の後に日本が自発的に行なった公共事業の大盤振る舞い路線に全ての悪の根源があるように報道してきました。それは事実に反します。そもそも日米構造協議を通じて「内需拡大だ。積極財政をやれ。公共事業をやれ」とわめきたて、日本にそれを強要させたのは米国なのです。それで日本は400兆円以上もの公共事業のムダ金を使わされ、今の財政赤字の基を生み出したのです。
真実を隠して、第三者に濡れ衣を着せるような報道は、「情報操作」と呼ぶべきだと思います。陰謀説でも何でもなく、事実として広告代理店・宣伝会社の情報操作、世論誘導の効果は絶大であることは、多くの人々が指摘してきました。例えば、高木徹『ドキュメント 戦争広告代理店』講談社、などはお勧め文献です。
さて、金融の自由化が世界経済によいなどということは経済学的にも実証されていませんし、理論的にも全く根拠もないのです。金融自由化や市場原理主義の押し付けは、これまでにも、インドネシア、ロシア、アルゼンチン・・・と多くの国々を「崩壊」や「破綻」に追い込んできました。
中国も、アメリカに乗せられて金融を自由化してしまえば、本当に「崩壊」しかねないと思います。ただ、「崩壊」の先行事例が沢山あるので、多くの方々の期待に反するようで申し訳ございませんが、中国は簡単には引っかからないとは思います。むしろ中国よりも日本の「崩壊」の方が心配ですね。
ちなみに金融自由化を擁護するためのIMFの公式的な説明は、以下のようなものです。
「自由な資本移動は、貯蓄の地球規模での効率的な配分を促し、資源を最も生産的な利用に振り向けることに役立ち、したがって経済成長と経済厚生を高める」
スタンレー・フィッシャー(IMF元専務理事その後シティ・バンクの副会長に天下り)『IMF資本自由化論争』(岩波書店、4頁より)
彼らは、日本の郵貯を侵略戦争発動のために振り向けたとしても「最も生産的な利用」と主張するのでしょうか? 現実には資本自由化、金融自由化はバブルとその崩壊という「破壊」をたくさん生み出しましたが、あまり生産的な用途へは資金を流してきませんでした。
日本の総選挙の前日の9月10日に元西ドイツ首相のシュミット氏が、東京都内で講演して、「金融がグローバル化するなかでヘッジファンドに対する規制、監督が不十分。各国の経済・財政運営の懸念材料になっている」と発言をしています。http://www.nikkei.co.jp/china/finance/20050910d1f0901d09.html
日本びいきのシュミットさんですから、何とか日本の有権者に対し、小泉のやろうとしていることの危険性を訴えたかったのかも知れません。しかし、何せマスコミがほとんど報道しませんから、投票行動には何の影響も与えなかったでしょうが・・・。
「陰謀論」というと胡散臭いですが、ふつうに考えれば、シュミットさんのような懸念は発生すると思います。
それにしてもドイツの元首相が、こんなに親身になって日本のことを心配してくれています(何せドイツの境遇と重なりますから)。米国にそうした人がいるでしょうか? あまり心当たりはないのですが・・・・。(もちろんジョセフ・スティグリッツとかチャルマーズ・ジョンソンとか、日本を本気で心配してくれている尊敬すべき米国の知識人は多いですが、彼らは今の米国政界への影響力はないですし・・・・)。
日本はドイツと共に常任理事国入りも目指さねばなりません。それを妨害しているのは米国と中国の「同盟」なのですから、「敵は近くにいる。遠くの国と同盟しよう」と訴える日本の地政学論者の方々は、ドイツとの同盟を真剣に考えてもよいかも知れませんね。かつての日独同盟は最悪のものでしたが、今度は米国の覇権と市場原理主義の押し付けに「待った」をかけるための、理性的・進歩的な同盟になり得るのではないでしょうか。
アメリカ社会は、市民生活を送る上で模範とすべき制度が多いですが、アメリカ政府がそれを日本政府に取り入れるように求めることは、寡聞にして知りません。
以前、玉井袈裟男さんが、「日本はアメリカになっても何も困らない」そう言っておられました。民族国家の呪縛を意識から除けば、実に支持できる意見です。
私たちに与えられるのは、ハワイの地位ではなく、プエルトリコの地位だと思います。
http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/male/1132130757/l50
国際情勢を語る上では絶対に外せない根幹ですので議論に参加してみては。