前のエントリーで「日本版オリーブの木の結成を」と論じたところ、oozora通信様からオリーブの木について質問をいただきました。「オリーブの木」は、イタリアの中道左派連合のシンボルマークです。イタリア左翼民主党(=旧イタリア共産党)を中心として結成された政党連合のことであり、1996年から2000年まで政権を担当し、ユーロ加盟や財政再建など多くの政治的成果をあげました。おりしもイタリアの総選挙で中道左派連合が勝利し、5年ぶりの政権奪回となりました。あの下品で恥ずかしいベルルスコーニ首相がようやく退陣となりました。ヨーロッパからまた一つ従米右派政権が消えることは、大変にすばらしいことだと思います。
日本でも、イタリア型の「政党連合」を結成しない限り、決して「市場原理主義+自虐的従米ポチ」という最悪な人々の政治支配を葬り去ることはできないと思います。
小沢一郎氏は就任早々、マスコミのインタビューに答えて、菅直人氏でも口にできなかった「共産党との連携」を軽やかに口に出していました(4月11日『朝日新聞』『毎日新聞』など)。その発想ができる点で、小沢さんはすごい。私は前のエントリーで期待として「小沢氏には社民・共産との共闘も視野に入れて欲しい」と書いたのですが、その次の日の朝刊で早々に共産党との連携も視野に入れる発言を堂々としていたのは嬉しい驚きでした。
そのウルトラCをやらない限り、日本は決して変わらないでしょう。 やはりあの剛腕には期待できると思います。民主・共産・社民・国民新・新党日本・新党大地が選挙協力すれば、自公を過半数割れに追い込むのはさほど難しいことではありません。
その上でガンなのは、言うまでもなく日本共産党の唯我独尊ぶりです。本当に、日本共産党の指導者たちにはイタリア左翼民主党の爪のアカを煎じて飲ませたい・・・。
グラムシとトリアッティの思想を受け継ぐイタリア左翼の伝統というのは、要するに漸次的社会改良を目指す構造改革論です。
構造改革論の運動戦略というのはじつに単純なもので、要するに「敵を分裂させ、その時点においてもっとも反動的な勢力を少数の状態に孤立させ、より改良的な潮流に属する政治勢力を最大限味方につけて、反動派を叩く」ということです。
もっとも、こんな事はわざわざグラムシなど持ち出す必要もなく、2500年も前に書かれた孫子の兵法書でも読めば分かることでしょう。『孫子』の「謀攻編」では、「敵を分裂させ、大勢力を結集して、敵を孤立させ、戦わずして敵に勝つ」ことが最善の戦術だとされています。
諸葛孔明が、兵力では圧倒的に魏に劣る蜀であっても、呉と同盟することによって魏を破ることができると考えたのも同じことです。こういう戦術は古代から現代に至るまで変わらず通用するものなのです。
現在の日本では、宗教的な市場原理主義者と宗教的な米国崇拝者たちが、もっとも反動的な人々です。「日米安保は必要だが、今のように年次改革要望書を丸ごと受け入れていくような無原則な対米従属は改めねばならない」という人や、「市場経済体制を支持するが、カジノ的投機経済や安全をも軽視した規制緩和は誤っている」というように考える人々は、文句なく味方につけねばなりません。
共産党が、「小沢氏は結局のところ日米同盟の擁護者だ」といって共闘を断るとすれば、それは愚の骨頂です。小沢氏が、現在のような植民地的従米を是としないのならば、まずは小沢氏に加勢し、森派政権を叩くべきでしょう。その上で、屈辱的従米派が消え去り、日本がより改良された段階で、米軍基地問題などをめぐって小沢氏との対立点が出てきたら、そのときに初めて争えばよいのです。
「小沢氏は改憲論者だ」と言って共闘を断るのも同様に愚かです。小沢氏は、改憲問題は今の政治日程にすぐに乗せるような緊急を要する課題ではないと考えているようです。ならば、「今後10年は改憲問題を政治日程にのせない」という協定でも結んで選挙協力すれば良いでしょう。その間にまずは反動森派を壊滅させ、10年経って与党となった民主党が改憲を政治日程に乗せようとしたら、その時に改めて袂を分かって争えばよいのです。
もし孫子が現代日本にやってきて共産党の戦術を観察したとすれば、その用兵の愚かさに呆れ返り、「共産党とはじつは自民党政権の延命を目論む、自民党の別働隊なのだ」と結論するのではないでしょうか。
孫子は、兵士を疲れさせず、消耗させることなく、最大の成果をあげる必要性を強調しました。選挙の供託金も没収されることが目に見えているような勝ち目のない選挙区に党員を動員し、さんざんに疲れさせて消耗させた挙げ句、民主党の票を奪って自民党を勝たせてしまい、共産党の議席は減っても幹部は責任取らないなんてのは、言語道断だと思います。そこまで腐った執行部は、いずれは党員から見放されて終わりでしょう。
共産党は、まずは党の委員長を全党員の直接選挙で選出するように改革しては如何でしょうか。そうすれば、現在の幹部は権力を失って党は刷新されるでしょうし、党員ももっとやる気になるでしょう。少なくとも供託金が没収されるような選挙区に候補者を立てるなんて愚かなことはしなくなるのではないでしょうか。
30くらいの選挙区にしか候補者を立てていない社民党が8議席、270選挙区に候補者を立てた共産党が9議席というのはあまりにもバカげた資源の浪費です。民主党と選挙協力すれば、最小限のエネルギーで最大限の議席を確保できるでしょう。民主党も共産党も互いが互いを利することになるでしょう。そして自公政権は終わるのです。
共産党の不破哲三前議長は、兄の上田耕一郎氏とともに、もともと構造改革論者でした。宮本顕治氏が党内の構造改革派を批判し、処分しようとした際、不破氏と上田氏は「すいません」と自己批判し、自分たちの主張を放棄して党に残ったのでした。あのとき上田兄弟が構造改革論を堅持しようとしていたら、彼らも除名処分にされており、共産党の指導者になることはもちろんなかったことでしょう。共産党を除名処分にされた知識人の一人になっていたでしょう。要するに、その程度の節度のない軟弱な人々が共産党を指導し、現在のような劣勢に追いやってしまったのです。
もうあれから随分と時間が経ちました。そろそろイタリア左翼に学ぼうとしても良いのではないでしょうか。
日本でも、イタリア型の「政党連合」を結成しない限り、決して「市場原理主義+自虐的従米ポチ」という最悪な人々の政治支配を葬り去ることはできないと思います。
小沢一郎氏は就任早々、マスコミのインタビューに答えて、菅直人氏でも口にできなかった「共産党との連携」を軽やかに口に出していました(4月11日『朝日新聞』『毎日新聞』など)。その発想ができる点で、小沢さんはすごい。私は前のエントリーで期待として「小沢氏には社民・共産との共闘も視野に入れて欲しい」と書いたのですが、その次の日の朝刊で早々に共産党との連携も視野に入れる発言を堂々としていたのは嬉しい驚きでした。
そのウルトラCをやらない限り、日本は決して変わらないでしょう。 やはりあの剛腕には期待できると思います。民主・共産・社民・国民新・新党日本・新党大地が選挙協力すれば、自公を過半数割れに追い込むのはさほど難しいことではありません。
その上でガンなのは、言うまでもなく日本共産党の唯我独尊ぶりです。本当に、日本共産党の指導者たちにはイタリア左翼民主党の爪のアカを煎じて飲ませたい・・・。
グラムシとトリアッティの思想を受け継ぐイタリア左翼の伝統というのは、要するに漸次的社会改良を目指す構造改革論です。
構造改革論の運動戦略というのはじつに単純なもので、要するに「敵を分裂させ、その時点においてもっとも反動的な勢力を少数の状態に孤立させ、より改良的な潮流に属する政治勢力を最大限味方につけて、反動派を叩く」ということです。
もっとも、こんな事はわざわざグラムシなど持ち出す必要もなく、2500年も前に書かれた孫子の兵法書でも読めば分かることでしょう。『孫子』の「謀攻編」では、「敵を分裂させ、大勢力を結集して、敵を孤立させ、戦わずして敵に勝つ」ことが最善の戦術だとされています。
諸葛孔明が、兵力では圧倒的に魏に劣る蜀であっても、呉と同盟することによって魏を破ることができると考えたのも同じことです。こういう戦術は古代から現代に至るまで変わらず通用するものなのです。
現在の日本では、宗教的な市場原理主義者と宗教的な米国崇拝者たちが、もっとも反動的な人々です。「日米安保は必要だが、今のように年次改革要望書を丸ごと受け入れていくような無原則な対米従属は改めねばならない」という人や、「市場経済体制を支持するが、カジノ的投機経済や安全をも軽視した規制緩和は誤っている」というように考える人々は、文句なく味方につけねばなりません。
共産党が、「小沢氏は結局のところ日米同盟の擁護者だ」といって共闘を断るとすれば、それは愚の骨頂です。小沢氏が、現在のような植民地的従米を是としないのならば、まずは小沢氏に加勢し、森派政権を叩くべきでしょう。その上で、屈辱的従米派が消え去り、日本がより改良された段階で、米軍基地問題などをめぐって小沢氏との対立点が出てきたら、そのときに初めて争えばよいのです。
「小沢氏は改憲論者だ」と言って共闘を断るのも同様に愚かです。小沢氏は、改憲問題は今の政治日程にすぐに乗せるような緊急を要する課題ではないと考えているようです。ならば、「今後10年は改憲問題を政治日程にのせない」という協定でも結んで選挙協力すれば良いでしょう。その間にまずは反動森派を壊滅させ、10年経って与党となった民主党が改憲を政治日程に乗せようとしたら、その時に改めて袂を分かって争えばよいのです。
もし孫子が現代日本にやってきて共産党の戦術を観察したとすれば、その用兵の愚かさに呆れ返り、「共産党とはじつは自民党政権の延命を目論む、自民党の別働隊なのだ」と結論するのではないでしょうか。
孫子は、兵士を疲れさせず、消耗させることなく、最大の成果をあげる必要性を強調しました。選挙の供託金も没収されることが目に見えているような勝ち目のない選挙区に党員を動員し、さんざんに疲れさせて消耗させた挙げ句、民主党の票を奪って自民党を勝たせてしまい、共産党の議席は減っても幹部は責任取らないなんてのは、言語道断だと思います。そこまで腐った執行部は、いずれは党員から見放されて終わりでしょう。
共産党は、まずは党の委員長を全党員の直接選挙で選出するように改革しては如何でしょうか。そうすれば、現在の幹部は権力を失って党は刷新されるでしょうし、党員ももっとやる気になるでしょう。少なくとも供託金が没収されるような選挙区に候補者を立てるなんて愚かなことはしなくなるのではないでしょうか。
30くらいの選挙区にしか候補者を立てていない社民党が8議席、270選挙区に候補者を立てた共産党が9議席というのはあまりにもバカげた資源の浪費です。民主党と選挙協力すれば、最小限のエネルギーで最大限の議席を確保できるでしょう。民主党も共産党も互いが互いを利することになるでしょう。そして自公政権は終わるのです。
共産党の不破哲三前議長は、兄の上田耕一郎氏とともに、もともと構造改革論者でした。宮本顕治氏が党内の構造改革派を批判し、処分しようとした際、不破氏と上田氏は「すいません」と自己批判し、自分たちの主張を放棄して党に残ったのでした。あのとき上田兄弟が構造改革論を堅持しようとしていたら、彼らも除名処分にされており、共産党の指導者になることはもちろんなかったことでしょう。共産党を除名処分にされた知識人の一人になっていたでしょう。要するに、その程度の節度のない軟弱な人々が共産党を指導し、現在のような劣勢に追いやってしまったのです。
もうあれから随分と時間が経ちました。そろそろイタリア左翼に学ぼうとしても良いのではないでしょうか。
日本版オリ-ブの木の実現可能性が、共産党をも含めた大連合を前提とするなら、代替案さんが頭から湯気をだして叱ったとうの共産党さんであれば、ちょっと、まず無理でしょうか。(そこを何とかするのが小沢氏の腕の見せ所ですか)私は時局には疎いほうなのでそこらあたりはよくわかりませんけども、共産党さんは貴方の言はれるようにリアリズムに立つよりはどちらかというと原理主義の政党のようですから、説得はかなり難しいかなあと思いますが。
あまりにも世には「小泉自民はファッショ、でも
民主党もどうしようもない体たらく、社共はもう
とっくに終わっている、もちろん自民旧守は腐ってる、
この絶望も結局彼らを選んでいる有権者が
バカだからもうどうしようもない、もう絶望だ」
という日刊ゲンダイ的悲憤慷慨が幅を利かせている
ので、こういう具体的な指摘は実にありがたいです。
孫子を引用するのもよかったと思います。
孫子が日本共産党を見たらどう思うかというのも
まさに同感…僕もネーダーの一言だと思っています。
憲法についても同感…「民主化されない限り改憲は
危険だ、改憲は民主化、独立の後検討」というのは、
反小泉保守も同意できるはずです。
ただ、小沢氏の方からせっかくメッセージが発せされたのだから、これを受けなきゃ共産党はよほどのアホだと思って、勢いに任せて書いてしまいました。
『孫子』に関しては、来年の大河ドラマが井上靖の「風林火山」だと聞いたので、それにちなんで引用させていただきました。武田信玄の領土の増やし方というのは、まさに『孫子』に書いてあることを忠実に実行したと思っています。
政党が議席を伸ばし、影響力を高め、政権を取る方法も、基本的には変わりないと思います。
こんな唄ご存じですか。
このまま森派の支配が続けば、日本は戦争への途を突き進んでしまいそうです。
それを許すのか、それとも森派に比べてはるかに「ハト」な小沢氏と手を組むことで、それに「まった」をかける道を選択するのか、日本の平和ひいては世界の平和のために、日本共産党は決断すべきだと思います。
ご紹介の唄は知りませんでしたが、じゅんさんおブログから流れてきたチリ人民連合の唄は大変に懐かしく聴きました。以前、チリ人民連合の「ノー・パッサラン(そこを通すな)」が大好きでした。
いま世界で唯一、明るい希望が見えるのは南米ですね。
共謀罪も再び審議に入ってしまいました。街頭行動でもしたい気分ですが、食べるための日々の仕事に追われてブログの更新もままなりません。
どちらかと言えば、あれ程までにボロが出る自民党と同レベルのボロを出して、自力で政権奪取の機会を何度も逃している不甲斐ない民主党に政権を任せられないと多くの人が感じているから基本的には中道の自民の票を奪うことができないんでしょうな。
あと、もし仮に共産党が候補者をたてない場合の共産票の行方ですが、残念ながら民主には流れずに幾らかは近い社民に流れるか白票になる可能性が大です。
上のコメントにもありますが、良くも悪くも共産党は原理主義的なので、共産党執行部が民主との連立という方針を打ち出したら、共産党自体が分裂して他の新左翼と同じようにいたずらに力を弱めるだけだと思います。
ある年齢になると、とにかく生活を先ず支える、そこを外せぬのは何処も同じで、本当に日々もどかしい思いです。
この方もご存じかも知れませんが。
http://d.hatena.ne.jp/gushoukuuron/
野党連合の統一マニフェストをつくって各選挙区で候補者を一本化すべきでしょう。比例も「野党連合」で登録して、各党で話し合って名簿の順位を決めてしまうのが理想です。
ただ、どこまで小沢さんと話し合って譲歩しあえるかが問題です。小沢さんの「消費税の値上げ、所得税の引き下げ」は、多分に新古典派的発想の経済政策なので、共産・社民は納得できないでしょう。そこら辺で、小沢さんの方がむしろ共産・社民に譲歩してくれるとありがたいのですが・・・・。
>共産党自体が分裂して他の新左翼と同じようにいたずらに力を弱めるだけだと思います。
イタリアの場合、「共産党」が「左翼民主党」に党名変更した際、「左翼民主党」から「共産党再建派」が飛び出し、共産党再建派はさらに二分解しました。でも旧イタリア共産党の流れを汲む三つの政党は、いずれも「中道左派連合」に入っています。
小異を捨てて大同につきながら、大同の内部での知的なヘゲモニー争いというものは、別途やっていけばよいのです。イタリア左翼はそう割り切ってしまっているのでしょう。でも、そういうイタリア人の柔軟性は、「小異」を細かく気にする日本人にはムリでしょうか・・・・。
だとしたらもう絶望するしかありませんね。
じゅんさんのブログも今後も拝読させていただきます。