代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

軍産複合体のマッチポンプ ―ISに武器を提供してきたのはアメリカ!

2015年11月25日 | 政治経済(国際)
 第三次世界大戦が始まってしまったのかも知れない。資本主義が暴走すれば、必然的に世界大戦にまで突き進み、破壊の限りを尽くさない限り、その運動を止めようがないのかも知れない。狂った金儲け主義の暴風の前には、人間の理性の抵抗など風前の灯にすぎないのかも知れない。諸行無常 ―諦念を抱かざるを得ない。

 ISのテロが猛威をふるうなか、米国の軍事産業であるロッキード・マーティン社やボーイング社は武器輸出で繁盛してホクホクらしい。「デモクラシーナウ!」の以下の動画を観て欲しい。

http://democracynow.jp/video/20150407-2

 オバマ政権が最初の5年で認可した武器輸出額は1690億ドルで、ブッシュ政権8年間の武器輸出総額を任期半ばの5年で超えてしまったのだという。オバマは、第二次世界大戦後のアメリカでもっとも多くの武器を輸出した大統領になったのだと。

 なぜISはあれほど大量の武器を持っているのか? 
 この動画の中で、武器取引専門家のウィリアム・ハートゥングはその秘密を以下のように解説している。「CIAがアサド政権を転覆するために反アサド派の武装勢力に武器を提供し、その武装勢力の多くがISに走った」と。そう、ISの武器の大半はアメリカ製であり、実のところはCIAがISを強大化させたのである。

 あまりのマヌケさ、愚かさにクラクラする。私は本当に単にマヌケなだけかも知れないとも思うが、多くの人々はCIAがそれほどマヌケだとは思っていないから、「これは確信犯的なマッチポンプなのではないか?」と疑っているわけなのだ。
 だってISのおかげで、サウジやエジプトやトルコやヨルダンなど、周辺国は一生懸命になってアメリカから武器を購入するのだから。軍事産業は好景気に沸き、アメリカの貿易赤字も減ることになる。ISは、武器が主力輸出産業であるアメリカ経済に貢献しているのだ。

 上の動画で注目して欲しいのは、ロッキード・マーティン社のCEOのマリリン・ヒューソン氏へのインタビューである。マリリンはあけすけに次のように語っている。「北朝鮮をめぐる不穏な情勢が続いて、日中間にも緊張が走っているから、東アジアには、成長市場として期待をかけているのよ~」と。

 軍産複合体にとって、日中の対立は「期待の星」なのだ。そりゃ彼女・彼らにしてみれば、日本で工作して、中国への敵意と憎悪を煽り、中国の脅威を煽りたてるプロパガンダもしたくもなりますよ。日本人と中国人が何かの拍子で戦争を始めたところで、彼女・彼らにしてみれば「あら、黄色いサルどもが殺し合いを始めたわ」程度のものなんだから。

 アメリカの軍産複合体の術中にはまって中国への憎悪と敵対心を煽り続ける自称・愛国者。「自分たちの行為の本質がどれほど売国的か、いい加減に目を覚ませ」と声を大にして言いたい。


 最後に、ロッキード・マーティン社とボーイング社のこの一か月の株価のチャートを確認してみよう。11月13日金曜日のパリのテロ事件をまさに契機として、下がりかけていた両社の株価は反転して急上昇している。ロッキード・マーティンのマリリンCEOにしてみれば、「ISサマサマ」というところだろう。


ロッキード・マーティン社の10月25日から11月25日の株価の推移


ボーイング社の10月25日から11月25日までの株価の推移 




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