先日もご紹介した「コロニー型住宅」の玄関~居間の様子です。
手前側が玄関で、手前にある収納は玄関で必要な小物入れ。
そこから、白く塗装された収納が、ちょうど1.2mほどの高さで連続しています。
用途としては棚が渡されていて、本棚としても使えるし、
生活まわりの収納としても使える。
なのですが、よく考えるとさりげないバリアフリーとして、
玄関から居間までの間、手すりとしても使えます。
実際にこの家では、手前側玄関の奥に高齢者が暮らす予定なので、
毎日の暮らしの中で
体力の落ちてきた人にも、健常者の人にとっても、
どちらにも使い勝手のいい、ユニバーサルデザインと言えると思います。
すごく自然で、全然、意図的に感じられない仕掛けですが、
このように見てみると、廊下部分の左右幅なども
過不足なくて、ヒューマンスケールとか、用途の工夫というものが
明確になっていると思います。
で、こういう仕掛けのいいところは、上部の平面をどのように飾ろうか?
とか、中の棚にはどんなものを、どの位置にしまおうか?
というように、暮らす人の想像力を刺激してくれる部分だと言うこと。
家は、出来上がっておしまいというものではなく、
そこに暮らす人の豊かな想像力が、その空間をもっと素敵なものにしていく、
そういう要素が強いものだと思うのです。
この写真の空間で言えば、手前側の上面には来客の心を和ませるような飾り。
そこから、徐々に、居間に向かって暮らす人の個性を伺わせるようなもの。
また、棚収納についても、生活まわりのモノを納めるだろう居間スペース、
それより前には、やはりいろいろな本を、
玄関と居間、という空間のグラデーションに沿って、置いてみたくなります。
そういう本を楽しむのには、廊下の壁がちょうどいい背もたれ。
しばし、そんな空想に駆られますね。
でも、そういう楽しみのためにも、全館暖房・あたたかさが必須。
このお宅では、しっかりとした断熱気密技術で
こういう暮らしをしっかりサポートしています。
冬場、こういう空間が寒くて使えない、というのでは
伸びやかな暮らしにはなりませんものね。
プランだけではなく、そのプラン通りに暮らしていくための
温熱環境のデザインというものも、やはり気遣って欲しいと思います。
建て主さんに、暖房室のみでの暮らしを強いる家、っていうのはいただけない。
アクティブに、室内すべてが冬場でも楽しめる家、っていうのが
北国住宅の、基本要件なのではないでしょうか。