イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ザル物は追わず ~こんなお瑕疵な事もアルカナ~

2024-08-11 18:26:34 | デジタル・インターネット

 タロットカードをものするようになると、自然と、海外の出版社やゲーム玩具メーカーのサイト情報に親しく出入りするようになるもので。

 月河も4月の、連休入り前の週ぐらいだったかな?とあるオーストラリア=豪州の出版社のカミングスーンページでこれは!と来るデッキを見つけました。

 基本は、一般的なウェイト=スミス版に則ったフォーマットで、微妙に北欧的というかアイルランド風な匂いもある画風で、人物の服装がオリジナルのウェイト=スミスより“冬服”寄りなところが気に入りました。

 この会社はどちらかというとタロットよりはオラクルカードの発行数が多く、作風としては絵本っぽい、もっと言えばフェミニン・コンシャスな、さらに言えばレディコミっぽいモチーフと絵柄のデッキを好んで発刊している版元ですが、珍しくアーバンなグレイッシュ淡彩のトーンで、こちらの好みにどんぴしゃ。

 社名ほか固有名詞出しちゃうと、非常にレアケースかもしれない月河の体験が一般化されてしまうかもしれないので、かりに断崖出版白雪タロットとしておきましょう。

 リリース予定が6月5日。なにしろ海外、豪州の会社なのでねー、遅延したり難破したり、迷子になったりしないかなーと一抹二抹の不安はありつつも、英語表記で住所氏名を入力しクレカを登録。万一にそなえて、国内実店舗や公共料金の決済に使ってないカードで登録しました。

 待つこと約二か月。意外とあっさり、6月7日に“発送しました”メールが届きました。驚いたことに、メールのタイトルと主文は日本語。発送日時と追跡番号だけが英語。

 運送業者がオーストラリアのS川急便?みたいな会社で、追跡番号は母国を出てからハブ空港に到着するまでは有用なんですが、日本に入ったあとは日本郵便が配達代行するので、日本郵便管轄の別の追跡番号を調べなければならず、これがちょっとPCであっちへ飛びこっちへ飛びしたものの、結果的には約二週間半ほどで、ゆうパックと同じノリで到着。

 いや~国際メール便ってこうやって届くのね・・と感慨もそこそこに開梱してみました。タロットデッキって、基本的には22枚のメジャーアルカナ&56枚のマイナーアルカナ、計78枚の同サイズのカードに解説ブックが付いて、全体のサイズは、文庫本上下巻合本クラスから、大きいものになると六法全書もしくは百科事典サイズクラスまでまちまちですが、この“白雪タロット”は、そうね、研究社の英和中辞典ぐらい。

 外函を包んだ透明フィルムを開けて、外函のフタを開けると解説本の表紙があって、その下にカード本体が、さらに透明シュリンクフィルムに包まれて入っている。・・

 国際便を頻繁に利用する通販カスタマーがよく嘆いていて耳にするのが、運搬中の衝撃や気象条件のせいで外函が凹んだり潰れたり、濡れてシワシワになったり、ヘタしたら破れたりというアクシデントなんですが、本品、いまのところ問題ナシ。

 ・・しかし気を抜いてはイカン。きれーいにシュリンクで包んであっても、開けてチェックしたら一枚欠けてた、飛んでた、というケースもあるんでね。

 判型はスタンダードなウェイト=スミスよりタテ辺だけ5ミリぐらい長いかな、厚みはほどほど、シャッフルしやすさは中ぐらい。

 ぜんぶがぜんぶそうだというわけではありませんが、タロットカードは、梱包も解説ブックのページ順も、大アルカナワンド(棒もしくは杖)→カップ(聖杯)→ソード(剣)→ペンタクル(金貨)の順にとじてあるのがスタンダード。

 この白雪タロットは剣→金貨→棒→聖杯なのね・・と思いつつ枚数と数字を確認していたら、この段階でとんでもないことが発覚!

 大アルカナから棒の9くらいまでは何事もなかったんですが、棒10→コートカードの棒ペイジ(小姓)→棒ナイト(騎士)辺りから、肉眼でも明確に、左に向かって印刷がズレてるんですよ。

 しかもカードが進むごとにズレが大きくなり、最後の聖杯クイーンと聖杯キングに至っては、絵柄の左長辺の端が3ミリ近く切れて、右長辺には次の順番のカードの絵柄(聖杯キングの場合白地)を同じく3ミリぐらい食っちゃってる。

 裏返すとバッキングの、雪の結晶モチーフを並べて長方形を描いた図案が、こちらは(裏ですから)当然ながら右に向かって、やはり最大3ミリぐらいズレている。

 印刷ズレというか裁断ズレというか。絵柄そのものは、版元=断崖出版のカミングスーンページの画像で見たのと寸分たがわない美しさだっただけに、あまりに初歩的なこの不良品っぷりはショックでしたねー。小学校の図画っちゅうか、あせって8月31日にものした夏休みの自由研究みたい。

 このズレがこうやって表沙汰になったことで、このカードの製造方法、つまり1枚のでっかいカード用紙に、左から右に向かって絵柄を印刷して行って、かつ裏面は雪の結晶つなぎ長方形の図案を連続して印刷して行って、だーっとタテ、ヨコに裁断していく、という手順もわかってしまった。

 想像するとなんだかえらく大量生産チックで、自分でも驚くくらいどよーんと気分が落ち込む興醒めでした。カード一枚一枚、裁断してから、絵の面・裏面と印刷するような、ヴィスコンティ家やエステ家の私家版カード時代の様なご丁寧なクラフトアートワークじゃないことは、薄々ならずわかってはいましたけど。ここまでくっきりはっきりとやらかされちゃうとね。所詮は工業製品なのよ。仕込みバレバレ。

 もひとつもっと衝撃だったのは、これだけシロウトが見ても明白な印刷エラーが、、全78枚(厳密に言うと、このデッキは大アルカナにエキストラカードが2枚付いているので80枚)のうち、控えめに言っても19枚にわたっているのに、きっちりシュリンクで完全包装され完パケされて市場に出され、月河の様な海外からのオーダーに応じて出荷されている、つまり検品がまったくザルだということ。

 “断崖出版”、決してインディーズとか同人のたぐいじゃありません。タロット・オラクルカードに関連するスピリチュアルやウェルビーイング系をはじめとした書籍のほか、豪華図版入りのオリジナルカレンダーやダイアリーも数多く発刊している、まぁ斯界では大手の部類に入る版元です。

 なのにこんな、ある種“縁起もの”でもあるタロットカードのスピリットに泥を塗るような不良品を検品スルーではるばる赤道の向こう側のカスタマー(月河)に送ってよこすなんてね。

 ・・我に返るとすぐ購買ページに戻って返品手順を読み、気を取り直して、いま開梱したばかりのプチプチ封筒に包みなおして日本郵便の集荷サービスを頼んで返品、これまた意外とあっさり日本語のお詫び&返品受付メールが届いて、締め日の関係上一か月のタイムラグはあったもののカードで支払った代金も送料とともに翌月の引き落とし日に無事、返金。

 この、お金の出入りを含むいちばんナーバスになるプロセスに何の支障も無かったのは不幸中の幸いでした。

 ウェブ画像で一目惚れ、良き緊張感とともに注文したデッキだけに、一連の作業が終わるとドッと疲れてしまい、しばらく、二年以上なじんだいつものウェイト=スミスデッキを手にする気も、断崖出版はもちろん他の版元のサイトも、もっと前からおなじみでいままでのところ不良品に当たったことのない、国内大手販売サイトすらも渉猟する気にもなれず、虚脱状態でした。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 皆ツキがあった水無月 ~ベ... | トップ | テンションの“果て”?はて?... »

コメントを投稿

デジタル・インターネット」カテゴリの最新記事