噂の“アベノマスク”2枚組、取扱い会社がどことどこだ、誰つながりだで早くも香ばしくなってますが、すでに郵便ポストに届いたお宅もあるようです。ウチの地域は近隣どこも未着ですね。一応、現時点では全国屈指の感染拡大地域なんですけど。
これねぇ。タイミングが遅いとか早いとか、2枚じゃ大家族には足りないとか、不織布のサージカルマスクが品薄で皆血相変えてる中でいまどきスカスカのガーゼマスクってどうなんだとか現実的な事以前に、イメージとして、アイコンとして、安倍晋三首相みずからが送付にさきがけてモデル着用に及び、公的な場にも映像媒体にも露出しまくっちゃったのが決定的なしくじり大王でしなね。
なんであんなにこのタイプのマスクが似合わない顔の人を、わざわざモデルにしてご披露したんだろう。最初にテレビで見たとき、何かのギャグかコントかと思いました。何に似てるかと思ってちょっと考えたらすぐ思い出した。月刊『本の雑誌』の背の、沢野ひとしさんのイラストでした。
背の細いところの、いちばん天地の地に近い所に「本の雑誌社」って社名が入っていて、そのすぐ上に、毎号いるはずですマスク男。顔面面積比で布部分のせまーい感じ、ヒモばっかり目立つ感じなど、安倍さんのアベノマスク顔に実に感じが似ておる。
人から飛ばされる飛沫ディフェンス、自分が飛ばすかもしれない飛沫シャットアウトになんぼの効果があるかより、ショボ過ぎるだろう、ビジュアルが。
政府が如何にケチでしみったれか、如何に国民の困りごとのために自腹を切りたくないか、徴収した税金を少しでも使わずに済ませたくているかが、あのビンボくさいビジュアルからじゅんじゅんとにじみ出ています。
配り始める前に安倍さんが「洗って繰り返し使える“布”マスク」と説明してしまったのもまずかったですね。アレを聞いて、月河家では、いつぞのニュースで話題になっていた“水着メーカーが水着の素材で作った”みたいな、伸縮自在フィット感抜群の、二十一世紀の人間工学技術の結晶的なやつを全員想像していたもの。最初っから「お子さんが給食当番で使う昔ながらの“ガーゼ”マスクです」ってぶっちゃけてくれたほうがまだしもその後のガッカリ感が少なかった。
まぁ擁護するわけじゃないけど、安倍さんも言いだした当初は、自分がモデルになって延々カメラの前に出続ける羽目になるとは思わなかったんでしょう。あの似合わなさを見かねて「総理っ、ここはボクが、ワタシが着けて取材とか受けましょう」「総理はもっと高性能の、諸外国の首脳に見られても恥かかないやつを」と助け船を出す閣僚子分も居なかったんでしょうな。萩生田さんとか世耕さんとかなら、ノドまで出かかったけど、“・・・いや、オレのほうがもっと似合わない”と思って呑み込んでそう。
“言い出すべきかべからざるか、うーん、えーっと・・・”と考えて何週間も結論が出ないのが岸田さんで、言い出すも何もマスクの着け方自体わかってなくてアイマスクになったり鼻出しになったりするのが先輩の麻生さん。
誰がモデル着用したらオサマリがいいかな?と、ここ最近テレビのインタビューや討論番組で顔面を拝見する機会のあった見た閣僚級政治家の皆さんの顔を順番に思い出して、あのマスクを脳内で着けさせてみたら、茂木敏充外相、意外と似合う気がしませんか。小動物っぽいチマッとしたルックスに、チマッとしたマスクはナイスマッチなような。
小泉進次郎環境相もいけそうですよ。閣僚の中ではいちばん“給食当番経験”から年数隔たってない感じだし、ついでに白い三角頭巾と白い割烹着も着ていただいて「さあーみんな、きゅうしょくのじかんだよー」「のこさないでたべるんだぞー」って、小学校の先生が当番の実地指導してるみたいでいいじゃないですか。
・・・マスクに罪があるじゃなし。2月に家族で買い置きマスクの棚卸をしてみたときに、自分でも忘れていたのですがまさに、この“アベノ”タイプのガーゼマスクも5~6枚、タンスの奥にストックがありました。サイズは揃ってタテ95㍉×ヨコ135㍉で、安倍さんが答弁で説明していたのとまったく同寸、“大人用普通サイズ”の標準です。
メーカーはロート製薬、ニチバン、大三と結構、大手ばかり。たぶん2009年5月の、新型インフルエンザ日本上陸騒動以来、いま一般的になっている不織布プリーツ仕立てで都度使い捨てのサージカルマスクのほうが効果大だとアナウンスされる前は、風邪や花粉症やハウスダスト、大掃除対策時も、こんな感じのガーゼマスクが一般的でした。あの頃なら、今般のアベノマスクも、それほどショボいイメージを持たれず歓迎されたと思います。
当時、月河が気に入っていたガーゼマスクがサニークの“快適革命”。タンス防虫剤などでおなじみの白元が販売元で、ドラッグストアのほか調剤薬局の物販コーナーやコンビニ、駅のキオスクでも買えました。単価どれくらいだったかが記憶にないのですが、ネットで検索するといまは楽天市場でもamazonでも取り扱いが無い様で不明。
鼻の突起に添わせるワイヤーのノーズフィッターだけでなく、鼻部分が突き出て唇に向かって平らになる、横から見ると鳥類のクチバシっぽくも見える独特のフォルムでクチの前にスペースが確保され、圧迫感や呼吸をふさがれてる感がありません。しかもとかく痛かったりこすれたりキツかったりで悩む耳掛けゴムが、リボン状の平ゴムでアジャスターも付き、長さ調節可能。
洗って繰り返し使えるタイプの中ではこの“快適革命”が出色で、家族用にも、と当時複数枚買ったのですが、なぜか月河以外の家族全員に「顔に合わない」「ズレる」「生地のフチのパイピング布がこすれてカユくなる」等とイマイチ不評で、最終的にぜんぶ月河用のストックになりました。いまある不織布タイプの手持ちはそっくり家族に譲っても、月河ひとりだけならこれを手洗いしながらローテしていけばまるまるもう一シーズンいけそう。
これだけ長期間のマスク品薄が将来やって来ると、あの当時予測出来ていたら、コレもう家族のためじゃなくあと10枚くらい買っておくんでした。開封せず冷暗所保存なら、腐ったりカビわいたりするもんじゃないし。
いま製造再開すれば売れるのになぁ・・と思ったら、外袋の下に小さーくMADE IN CHINAの表示が。こりゃ見かけなくなったわけだ。がんばれ国産。