イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

したいんですか?

2012-06-08 00:57:40 | 朝ドラマ

アニメと言えば、続く2010年上期の『ゲゲゲの女房』のOPは、現在BSプレミアムで絶賛再放送中なので毎朝再確認できますが、“客呼び込み係”としてはちょっこしズルい。て言うかズルいにもほどがある。

しげる(向井理さん)らしき古セーターの右手が描いたヒロイン布美枝(松下奈緒さん)の横顔が自転車をこぐリアル布美枝の全身になり、やがて生涯のパートナーとなるしげると夫唱婦随、ふるさとの野道を縦列並んで走りぬけて行く…という、字に書けば古典的な“ヒロイン顔出し、相手役つき”OPなのですが、リアル水木しげる先生と水木プロが、おなじみのオリジナル漫画キャラを気前よく“派遣”してくれたため、ヒロインカップルの周りに鬼太郎もいれば目玉親父もいる、河童の三平もいる、ねずみ男も寝そべってTV見たりしている、悪魔くんとメフィストフェレスもいる、一反木綿も猫娘もいて、額をあつめて布美枝たちの歳月が描かれているとおぼしき漫画本を読みふけっている。

昭和40年代~50年代頃の少年漫画やアニメに親しんだ世代なら、こんだけ懐かしく印象鮮烈なキャラが寄ってたかってOPで躍動して呼び込んでくれれば、そりゃもう生涯一度も朝ドラを観たことがなくたって“小屋”に足を布美……いやさ踏み入れてみますって。この作品が人気を得たことで、NHK以外の各局、各ドラマ制作も「持ちキャラ持ってる漫画家さんでドラマの題材にできる人いないか?」と2匹め3匹めのドジョウ狙いを考えたに違いありませんが、ダテに戦後の紙芝居時代から描いていまだ現役張ってる水木先生じゃありません。版元、放映権、TV局の垣根を超えてキャラ総結集させてくれるだけのチカラと心の広さを、クリエイターご本人も、その奥様もお子さんたちも揃ってふんだんに持っている稀有な例はこの先そうは出ないでしょう。本当にズルい。そして美味しい。

2010年下期の『てっぱん』は、てっぱんダンスで“一般人参加型”というOP新ジャンルを開拓しました(2010年以前は視聴してないので未知)。食、それも大勢でわいわい焼いて楽しむ“お好み焼き”というモチーフからの発想でしょうね。こういう全国の素人さん多数を巻き込んだ映像を出されると、“全国的に支持されてる、人気ドラマ”であるかのような錯覚が生じる。作戦としては悪くありません。応募して、自分たちの踊りをオンエアしてもらえた一般人の皆さんとそのご家族やご親戚、ご近所友人知人一同は首を長くして放送日を待ったでしょうから、延べ何千人かの『てっぱん』ウォッチャーを増やし視聴率をも若干押し上げたかも。

ヒロイン顔出しはなし…と思いきや、曲の最初で先頭で踊ってましたな。ロングショットで瀧本美織さんとわかるかわからないかギリギリのサイズ。「あれ、いま先頭にいたのあかりちゃんだよね?」「見逃した、明日確かめよう」「録画して静止画にしてみよう」と、これも地味に継続視聴の動機を与えてくれた。葉加瀬太郎さん作曲のふんわか優しいOPテーマに乗せて、結構したたかなプレゼンテーターでした。この項さらにさらに続く。

…と、続くで〆る前にひとこと。もう梅子(堀北真希さん)より松岡(高橋光臣さん)が“ヒロイン”でいいんじゃないか(@『梅ちゃん先生』)。

「聞きませんか?」「聞きませんよ」って。トロくさくて勘ニブでじれったい、そのくせ妙にせっかちなため、ひと粒で二度頼りない梅子が、今日ばかりは一瞬、ほとんどしっかり者の常識人に見えてしまいました。それほど松岡のピュアさが突き抜けている。ピュアさで突き抜ける、周囲を照射する、これすなわち“朝ドラヒロイン”の任そのものです。

脚本尾崎将也さんは、民放の連続ドラマですでにかなり当ててる人らしいですが、梅子のような少女ラブコメタイプのヒロインより、“浮いてる男”を書くのが得意で、書いてても楽しいのではないでしょうか。

コメント
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