いきなりですが『マッサン』のドウカウイスキーは、いったいどんなことになっちゃっているんでしょう。ドラマはいま戦局険しくなりまさる昭和18年10月ですが、海軍さんは順調に生産品まるごと買い取ってくれているのだろうか。
今日(7日)午後、BS‐TBSで昭和56年の映画『連合艦隊』を放送していて、この年の4月に山本五十六司令官が・・なんて考えると心配になりました。戦艦大和出撃前の将兵さんたちもみんな一升瓶で日本酒飲んでいたしなあ。マッサンがこだわるスモーキーフレーバーはちゃんと海軍の士気を高めてくれたかしら。一時的にでも。
そんなこんなでここのところ、国産ウイスキー製造に一生を賭けた男とその妻の物語というより、もっとべたっと平坦に、全般的に戦争のもたらす悲しみを強調するお話になってます『マッサン』。
まぁ戦争になる前から、『ゲゲゲの女房』の茂さんが漫画を描いたり『カーネーション』の糸子がドレスを仕立てたりしていたくだりに比べるとマッサン、「ウイスキーを作っている」よりも「作れなくて悩んでる」もしくは「作ったけど売れなくて困ってる」時間のほうが尺(しゃく)的にやたら長かったですしね。
キャスティングディレクター奈良橋陽子さん自信の一押しで裾野の広いUS演劇界から抜擢されたシャーロット‐ケイト・フォックスさんも、微妙に役不足のまま終わりそう。「旦那を信じ、旦那の国を愛し、旦那の国の人々を愛して、学び、耐え、希望を持つ」以外、特に芝居のしどころがないのです。
NHK朝ドラだから、って言えばそれまでですけど、これなら日本的演技力そこそこで、カタコト芝居もできる日本在住の外タレさんでも間に合った気がしないでもない。いやもちろん本場のショービズで地味に堅実なキャリアを積んできたシャーロットさんの、太平洋を越えた勇気ある参戦でドラマの"格"は上がったと思いますが。
高い志(こころざし)を薄甘くちに料理して、大きめのウツワに余白たっぷりゆるめに盛りつけるのが朝ドラのつね。飽きさせないこと、胸焼けさせないこと、「もっと見たい」と思わせるくらいでやめとくこと。
ウイスキーは甘めでも辛めでも濃いくちが美味しいですけどね。