約1年ぶりに、美容室でパーマ。ここ十年ほどお世話になっているお店ですが、いつの間にか置いてある雑誌『CLASSY』『VERY』に加えて『STORY』も仲間入り。
客と一緒に、足並みを揃えてお店も、オーナーもトシをとってきてくれてます。至れり尽くせりで嬉しいような、アリガタ迷惑なような。
1年に2度、多い年で3度ぐらいしか美容室というところに行きませんが、この時間が年間で唯一、ファッション系の女性雑誌を集中的に読む時間でもあります。
月河の学生時代は『JJ』の第一次黄金期。卒業して社会人になって間もなく『CLASSY』がJJのお姉さん版という触れ込みで創刊。
だから、いまなら、まさに『STORY』を読めばドンピシャの年代なんでしょうが、いやー、このテの雑誌、たまに読むと驚きますね。
載ってるアイテム、推奨されてるファッション、その醸し出す雰囲気。切実に打ち出されるテーマは「如何に20代のルックス、テンションを維持するか」。
膝下丈のクロプトパンツにブーツ、ロングニットに超ロングネックレス、ゆる巻きヘア、ピンク口紅に“似合い色”と“挑戦色”のアイメイクなど、パッと見20代の女性誌で喧伝されてるファッションとほとんど変わりません。
ただ、モデルさんがプロ・読者代表ともに見事に40代で、モデルさんになるくらいの方々だから体型やお肌の張り色ツヤの劣化は最小限なのですが、最小限の衰えにとどまっているがゆえに、撮影技術の進歩、セレブっぽさを意識したロケ背景、スチール然と決めず、いかにも“お洒落な日常の一こまを切り取りました”的なポージングなどとも相俟って、なんか奥歯に物がはさまった様な、一種独特な写真映りになっている。
一種独特さを「あの人、カッコよくしてるけど、どっか…ねぇ?」と怪訝に思われなくするためにどういう方法が推奨されるかと言うと、“質の良い、高級なものを身につけること”。つまりおカネです。お店を探し回ってそういうモノを選ぶには時間もかかるということになると、ヒマも必要になってくる。
「20代を想定したデザインの服やヘアメイクを身にまとい続けて、体型や肌や髪質などが微妙になってくることに対しては、カネとヒマで立ち向かえ」というのが40代女性向けファッション誌の金科玉条らしいのでした。
どんなもんでしょう。20代当時に比べて、40代のいま現在のほうが“人に見られ、注目される機会の頻度が変わらない、もしくは増えた”“見られても気後れしないように装おうと思う気持ちが変わらない、もしくは強まった”という女性は、かなり特別な職業・職種、特別な環境の少数の人に限られるのではないかと思うんですが。月河がズレてるのかな。
ぶっちゃけ、人間「自分は人からどう見られているか」「他人に比べて自分の外見は見劣りがするのではないか」がいちばん気になって気になって仕方がないのは小学校高学年~高校初期がピーク、せいぜい大学生ぐらいまでで、あと就職面接、結婚コンシャスな時期にはまたちょっと気にするかな。その後はどんどんそういう“自分”へと内攻する気煩(わずら)いは右肩下がりに低減していくのが健康的、かつ平和で満ち足りた心理曲線というものじゃないでしょうか。40代でにわかにまたターボ噴かして上昇させてどうするよ。
40代になってまで思春期のように自分の身なりや見てくれに構うのが、みんなそんなに楽しいか?でも、“構わない”=“ゆとりがない、すさんだ、つまらない人生”だと言いたげな空気が、40代ファッション誌からは濃厚に立ちこめています。
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