
症例は受診時41歳女性
他院での治療中も不具合が改善されなく、私の知人の歯科医院に転院していた患者さんであるが
どうしても症状が改善されないということで、以前その知人が私の医院に患者さんを
連れてきた(チェルシーの患者さんとその歯科医ではない)ので、その日に診断を行い
原因を明確に指摘して、できる範囲の対処を行って、大まかな症状は改善させておいたのだが
その後、その医院で治療を進めていったが、どうもうまくいかないということで
患者さんは遠方にも関わらず、結局私のところで最終的な処置を行うことになった事例。
そもそもこの患者さんの歯科既往歴は、アカデミックなことを掲げる某歯科医院に
不定愁訴(顎の痛みや頭痛)を主訴に受診したところ、口腔内の診察から
矯正治療をしなければ不定愁訴は改善されなく、歯が折れたりして何本かの歯を失うと言われ
矯正治療を受けたらしいが、その矯正治療後に根破折が生じたとのことで
3本の歯を抜歯する結果となったらしい。しかも、その3本の歯を抜歯後も
他の歯が痛くなったとのことで、抜髄を行っても症状が改善されないため
その歯も抜歯をしなければならないかもと言われていたらしい…
そしてそこで受けた治療によって、かみ合わせもおかしくなり
精神的にもダメージを受け、仕事も続けられず辞めてしまったとのことであった。
当院受診時、患者さんが私に提示した、矯正治療を始める前の口腔内写真の資料を拝見した。
その資料をもとに、当時の不定愁訴について患者さんが書かれていたメモにあわせて
いくつかの問診を行ったことで、大体の当時の問題点が推察された。
もし、私がその当時みていたなら、当院で行っている通法の処置で、
きわめてシンプルに対処したであろう。その処置で十分に主訴は改善させることはでき
また予後的にもここまでの本数の歯は失うことはないだろう。
矯正治療は審美的要求が患者になければまず行わない。
当時の歯列環境で、不定愁訴の原因と将来的に歯を失うリスクがあるという判断は、
あながち間違いではないが、その理由に対して矯正治療を行う必要があるという見解は疑問である。
その判断の前に、行うべきことがある。
実際、矯正治療を行った後に、3本も歯を失う結果となっている。
矯正治療を行った場合、整った歯列にも関わらず、なぜ歯根破折が起こったり、
不定愁訴が改善されないかは、根本的な原因の解決を図っていないからである。
この症例から認識するべきことは、理想治療と称して理想をめざしても
基本治療をしっかり行ったとしても、総合的な知見から処置しなければ
治療はうまくいかないことである。
ちなみに当院で再介入したブリッジ補綴は、一見ブリッジを調整してセットするだけと
思われがちだが、咬合違和感症がある事例はそんなに甘くないことは明言しておく。
患者からは非常に高い満足を得られ、今後のメインテナンスも結局当院で行って欲しいとのことである。
この症例の治療内容は、多くの診査するべき内容やその処置中の動画と
治療ステップごとの写真があるが、これらはPGI名古屋の勉強会でその全貌を提示する。
ちなみにこの患者さんは当初、車で来られていたが片道90分近くかかるため、電車で来られるようになり、
木曽川駅からタクシーでくるが、木曽川駅はここ近年、とにかくタクシーがいない…
iバスもあるが、当院の近くの停留所は「となりのトトロ」でメイの父親が使用するバスのように
1時間に1本しかない…
当院は遠方から電車で来院する人が少なくないため、木曽川駅の待機タクシーの少なさなんとかならないか、、
大阪から通院してるある患者さんは、都会的に「TAXI GO」アプリを使用して
タクシーを手配するらしいが、木曽川駅でこのアプリを使用しても迎車が来る時間の遅さにびっくりしている…