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2024年4月、知人の先生がずっと苦慮している症例があるから、ということで
当院に患者さんを連れて来たことがあった。
咬合と顎位に問題があった症例を、ある程度まで症状が改善できるように当日に対処した。
あとはその知人の歯科医に、今後の治療手順について指示した。
そして数週間後、その患者さんからお礼の品をいただいていた。
つい先だって、突然その患者さんからレターパックが届いた。
「?」と思い中を開けてみると大量のチェルシーと駄菓子、チェコなどが入っていて驚いた。
手紙もあり、拝見するとその後の経過報告が書かれていたが、なんとも律儀な患者さんである。
入っていた菓子の中で、チョイスされたものが中々趣のあるものばかりだが
今回特に目を引いたのは、「不二家のハート型チョコ」、、懐かしい~、、
数あるチョコ商品の中でも、あえてこれをチョイスするこの意味は…と考える。
そもそも、この「不二家のハート型チョコ」は戦前から発売されていた古い歴史があるだけでなく
日本でバレンタインデーが定着するきっかけとなった商品である。
昭和33年に伊勢丹の売場にバレンタインセールと看板を出したことに始まり、
その時に登場したのが、まさにこのハート型のチョコレートで、
『日本のバレンタインチョコの原点の商品』である。
当時はさほど定着されず、売れ行きも微妙だったが、
翌年『女性から男性に』がキャッチフレーズにいっきに大ブレークしたのだ。
この頃はまだ純粋な女子が、純情な男子に贈る小道具に過ぎなかったのだ。
しかし、高級輸入チョコが流通し出すと大人もこれに参戦していった。
そして、キャンディーメーカーが勝手に「チョコのお返しはキャンディーで」ときめ、
3月14日をホワイトデーと決めて、世の男に呼びかけV-dayとW-dayは現在に至る。
そもそもセント・バレンタインデーは、2月14日の中世ヨーロッパの聖バレンチノ司教の殉職死を起源に、
クリスチャンの愛情を確かめる日となった背景がある。欧米などのキリスト教を信仰する者達の
家族や友人、恋人とちょっとしたプレゼントを交換しあって互いの愛情を表す習慣である。
日本ではこの由来が、マーケットにより裏の歴史を刻み始めたわけである。
このシンプルなハート型チョコをみて、そんな背景を思い返しながら、
商売的な歯科医療の意味ではなく、心(ハート)が込められた「医療の原点」を
思い起こさせるものであると、ふと思った。
世間一般的に、駄菓子でこんなことを考える私はおそらく変人にみえるであろう…